皆さんは「成人向け漫画」と聞いて、どんなイメージを抱きますか? 成人向けで活躍していた漫画家が一般誌に移ることを、ファンの間では俗に「上陸」なんて言ったりしますよね。商業的な成功へのステップと見なされがちですが、成人向け作品も決して稼げないわけではありません。ただ、世間を賑わす大ヒット作にはなりにくい…そんなイメージがあるかもしれません。
そんな中、最近X(旧Twitter)で「売れっ子成人向け漫画家、表紙だけ描いて本編は描かなくなる説」が大きな話題を呼んでいます。多くのユーザーから「あるある」「もはや常識」といった声が上がる一方、現代の成人向け漫画家たちの多様なキャリアパスを示す成功例も次々と挙げられ、議論は白熱。もはや漫画を描き続けるだけが道ではないようです。

議論の火付け役となったのは、あるユーザーのポスト。現代の成人向け漫画家のキャリアパスを、以下の5つのパターンに分類しています。
1. 第一線で成人向け漫画を描き続ける
2. 表紙だけ描いて、本文は描かなくなる
3. 一般向け作品に転身し、たまに成人向けに戻ってきても「なんか違う」感じになる
4. KADOKAWAなど大手出版社のオファーで、ちょっとお色気要素のある異世界転生系の漫画を描く
5. 月に一度だけFanboxやFantiaを更新して生存確認
ポスト主はさらに、このキャリアの変化を日本の職場文化になぞらえ、「熟練のエンジニアを管理職に昇進させて、現場から遠ざけてしまうようなものだ」と鋭く指摘しています。
このポストに対し、ネットからは様々な実例が寄せられました。例えば、代表作『銀河戦国群雄伝ライ』で知られる漫画家の真鍋譲治先生。商業漫画で大ヒットを飛ばしアニメ化までされた後、なんと自ら成人向け同人誌を制作。その後もKADOKAWAに重用され『月刊電撃コミックガオ!』の看板作家として活躍したかと思えば、再び商業成人向け漫画の世界へ。依頼は引きも切らず、近年では商業成人向け・一般向け・異世界転生系を同時に手がけるなど、まさに「業界の神」と呼ぶべきマルチな活躍を見せています。

また、女性漫画家の Cuvie先生のように、一般向けと成人向け作品を自由に行き来しながら、どちらでも高いクオリティの作品を発表し続ける「優等生」タイプの作家を挙げる声もありました。

その一方で、多くの紳士諸君がお世話になったであろう如月群真先生については、「もう描きたいものを描ききってしまったのかもしれない…」と、成人向け創作の第一線から遠ざかっている現状を嘆く声も聞かれました。

そもそも「売れっ子作家が表紙だけ描いて本編を描かなくなる」現象には、ファン側の切実な体験談も。ネットでは「成人向け雑誌の表紙イラストがド性癖で買ったのに、その作家さんの漫画は載ってなくて絶望した」という悲しい報告が後を絶ちません。人気が出た作家ほど、こうしたケースが増えていく傾向にあるようです。

さらに、キャリアの多様化は他の分野にも及んでいます。のり伍郎先生の『今泉ん家はどうやらギャルの溜まり場になってるらしい』や、桂あいり先生の『カラミざかり』、カヅチ先生の作品のように、もともと同人誌で爆発的な人気を博した作品が、単行本を待たずに一般誌での連載に移行するという、「一粒で二度おいしい」ケースも増えているとの指摘もありました。

中にはVtuberとしてデビューし、新たなファン層を開拓する漫画家も。また、FantiaやFANBOXといったサブスクリプションサービスでファンコミュニティを運営するクリエイターも急増しています。例えば、月額500円のプランに1000人の支援者が集まれば、それだけで月収50万円が確保できる計算です。こうした新しい稼ぎ方が確立されたことで、かつてのようにひたすら漫画を描き続ける作家が少なくなっているのも、時代の流れなのかもしれません。

ファンからは「先生が描き続けてくれるなら、たまにSkeb(スケブ)を開いてくれるだけでもう感無量です」といった、切実な声も上がっていました。

人気の成人向け漫画家が転身したり、活動が減ってしまったりするのはファンとして寂しいものですが、今回の議論を通して、彼らの作品がいかにファンの心に深く刻まれ、愛され続けているかが改めて浮き彫りになりました。一般誌への転身、筆を置く、あるいは第一線で描き続ける――。どんな道を選んだとしても、彼らが紳士たちの心に残した偉大な足跡が消えることはないでしょう。
via: togetter