米国特許商標庁(USPTO)のジョン・A・スクワイアーズ長官が、先日、任天堂が取得した物議を醸す「召喚キャラクターを戦わせる」特許の再審査を命じ、ゲーム業界や法曹界で大きな注目を集めています。

この特許は、その広範すぎる内容が『ポケットモンスター』シリーズの根幹をなすメカニズムをほぼ網羅しているとして、取得当初から批判の的となっていました。今回、公式に再審査が決定されたことで、任天堂が『パルワールド』に対して起こしている訴訟の根幹を揺るがしかねない事態となっています。
特許番号12,403,397、通称「397特許」は、プレイヤーが仮想空間でサブキャラクターを召喚して戦わせ、敵キャラクターの位置に応じて自動・手動の戦闘モードを切り替える、という内容です。この特許が、『ポケットモンスター』シリーズが長年培ってきたゲーム構造をほぼ網羅しているだけでなく、『ペルソナ』や『デジモン』、さらには『ELDEN RING』といった数々の作品と類似していると指摘されています。昨年9月に特許が承認された際、IP専門家のフロリアン・ミュラー氏は「そもそも承認されるべきではなかった」と厳しく批判。ゲーム特許弁護士のカーク・シグモン氏も「これらの主張は全く特許性がない」と断言しています。
スクワイアーズ長官は命令の中で、先行技術として参照すべき2つの旧特許が存在すると指摘しました。それは、コナミが2002年に、そして任天堂自身が2019年に出願した特許です。長官はこれらの文書が「特許の有効性を判断する上で極めて重要」であるとし、「実質的な特許性の疑義がある」と明確に述べています。
『Games Fray』の報道によると、今回の決定は「特許制度の乱用に対する世間の強い反発」が背景にあるとのこと。正式な取り消し命令ではないものの、業界ではこの特許が最終的に撤回されるとの見方が一般的です。任天堂には現在、2ヶ月の応答期間が与えられています。
この動きは、任天堂と株式会社ポケモンが『パルワールド』開発元のポケットペアに対して起こしている法的措置に、重大な影響を与えるでしょう。ミュラー氏は、今回の再審査が「任天堂の訴訟における信頼性をさらに損なうものだ」と指摘しています。

実は、任天堂は最近、日本国内でも同様の苦境に立たされています。昨年出願した「モンスター捕獲」に関する特許は、新規性がないとの理由で日本特許庁に却下されており、『ARK: Survival Evolved』や『モンスターハンター4』など、複数の先行ゲームが前例として挙げられました。
昨年以降、ポケットペアは『パルワールド』のゲームメカニズムを何度も修正し、物議を避ける努力を重ねてきました。例えば、球状のアイテムを投げて仲間を召喚する設定を削除し、プレイヤーの傍に直接出現する形に変更しています。特許を巡る攻防は激化の一途をたどっており、任天堂は訴訟の途中で特許内容を修正し、モジュールを「先行技術」と見なすべきではないと主張しています。
現在、訴訟は東京地方裁判所の中島基行裁判官によって審理されており、判決は来年になる見込みです。ミュラー氏は「任天堂が敗訴する可能性は着実に高まっている」と評価しています。
「ゲーム業界で最も象徴的な特許攻防戦」と称されるこの争いは、『パルワールド』の未来だけでなく、ゲーム業界全体の「創造性とメカニズムの境界線」を再定義する重要な意味合いを持っています。
via: Games Fray