故・臼井儀人先生による国民的漫画『クレヨンしんちゃん』。原作の連載は終了しましたが、テレビアニメは今なお続き、毎年の劇場版は大人から子どもまで多くのファンが楽しみにしていますよね。今年も『クレヨンしんちゃん 摩訶不思議!オラの妖怪バカンス~』と題した新作劇場版が公開されるなど、その人気は衰えを知りません。
さて、そんな『クレヨンしんちゃん』に登場する「野原家」といえば、ごく普通のマイホームという印象ですよね。でも、もしあの家を現代の日本でローンを組んで購入するとしたら、土地と建物で一体いくらになるのでしょうか? そして、月々のローン返済額は…? そんな気になる疑問について、ファイナンシャルプランナーの武藤貴子さんがマイナビニュースのコラムで試算し、ネットで話題を呼んでいます。

今回は、公示地価や建築費などのデータをもとに、野原家のマイホームが現代の価値でいくらになるのか、その試算を覗いてみましょう。
『クレヨンしんちゃん』は1990年代に連載・放送がスタートしましたが、物語の時代設定は特に固定されていません。舞台はおなじみ、埼玉県春日部市。野原家の住所は「埼玉県春日部市双葉町904」とされていますが、これは架空の住所です。作中で描かれる暮らしぶりは、豪邸というわけではないものの非常にリアルで、野原家は長年「ごく一般的なサラリーマン家庭」の象徴として親しまれてきました。
しかし、現代の視点から見ると、専業主婦のママ、持ち家(一戸建て)とマイカーがあり、子どもが2人にペットもいる…という野原家の暮らしは、実はかなり恵まれているのでは?と感じる人も多いのではないでしょうか。現代の基準では、むしろ“余裕のある家庭”と言えるかもしれません。

野原家は木造2階建ての一戸建て。1階にリビング、ダイニング、和室があり、2階に寝室などがある間取りから、3LDKと推測されます。
公式設定があるわけではありませんが、アニメの描写から家のスペックを推定すると、以下のようになります。
土地面積:約 115 平方メートル(約 35 坪)
延床面積:約 80 平方メートル(約 24 坪)
アニメでは広く見えることもありますが、実際の郊外にある一戸建てと比べるとややコンパクト。収納もそこまで多くない、いわゆる「コンパクトで実用的な家」といったところでしょうか。



では、本題です。もし今、この家を実際に購入するとしたら、一体いくらかかるのでしょうか?
まずは土地代から。2025年時点の春日部市の住宅地の公示地価(平均)を参考に計算します。1平方メートルあたりの価格は約89,600円。野原家の土地面積115平方メートルで計算すると…
89,600円 × 115㎡ = 約 1,030万円
次に建物です。作中ではしんのすけが小さい頃に購入した家ですが、今回は「今、新築で建てた場合」と仮定します。木造2階建て、延床面積80㎡の一般的な住宅の場合、建築費は…
約 2,000万円と試算されます。

つまり、土地と建物を合わせた合計金額は…
約 3,030万円!
この価格、実は現在の春日部市における新築一戸建ての相場とほぼ同じ。実際の市場でも、新築物件は3,000万~3,800万円前後で取引されることが多いようです。野原家のマイホームは、決して非現実的な設定ではなく、リアルな郊外住宅の価格水準だということがわかりますね。

では、この3,030万円の家をローンで購入した場合、月々の返済額はいくらになるのでしょうか? 頭金を2割(約606万円)用意し、残りの約2,424万円をローンで借りると仮定します。
【ローン条件】
・全期間固定金利
・金利:年2.08%
・返済期間:35年
この条件で計算すると、月々の返済額は約81,000円(ボーナス払いなし)となります。
この返済額、父ちゃんひろしの収入でまかなえるのでしょうか?
ひろしの年収を、役職などから600万円と仮定します。税金などを引いた手取り年収は450万~480万円ほど。月収に換算すると約37万~40万円となります。月々のローン返済額約8.1万円は、この月収の約20%に相当します。一般的に、住宅ローンの返済負担率は「20~25%以内」が無理のない範囲とされています。つまり、家計をしっかり管理すれば、野原家にとってこのローンは十分に返済可能なレベルだと言えるでしょう。

もちろん、決して楽々というわけではありませんが、みさえのやりくりと、一般的な子育て費用を考え合わせても、長期的に見て現実的な返済プランと言えそうです。
つまり、『クレヨンしんちゃん』の世界はファンタジーではなく、「年収600万円のサラリーマンが、郊外にマイホームを建てて家庭を築く」という、非常にリアルな日本の家庭像を映し出していたんですね。
▼ あのひろしでさえ、お昼のランチ代を切り詰めないと妻のみさえに怒られる…なんていうリアルな描写もありますしね(笑)。

二次元の作品を現実の物差しで測るのは野暮かもしれませんが、こうして見てみると、『クレヨンしんちゃん』の野原家の設定がいかにリアルで、現代にも通じるものであるかがよくわかります。
マイホームにマイカー、子どもは2人、そして妻は専業主婦として子育てに専念できる…。ひろしが一部で「理想の旦那様」として再評価されているのも、なんだか納得できちゃいますね。
via: マイナビ