『ポケットモンスター サン・ムーン』でポケモンのデザインリードを務めた、デザイナー兼イラストレーターの大村祐介氏が2月4日、自身のX(旧Twitter)で、「ウルトラビースト(Ultra Beast、略してUB)」のデザインにまつわる驚きの裏話を明かし、大きな話題を呼んでいます。なんとあの独特なデザインは、過去に通常のポケモンとしてデザインしたものの、ゲームフリークの杉森建氏にボツにされた案を、その理由ごと逆手にとって再構築したものだったというのです。

「ウルトラビースト」は、『ポケットモンスター サン・ムーン』で初めてその姿が公開された際、従来のポケモンとはあまりにもかけ離れたデザインから、ファンの間で「これって本当にポケモンなの?」「俺たちの知ってるポケモンじゃない…」といった困惑や批判の声が数多く上がりました。
▼ 当時の発表ポストには、戸惑いの声がズラリ…。

実際、公式サイトや特集ページなどでも、ウルトラビーストは意図的に「ポケモン」とは呼ばれないことが多くありました。しかし、ゲーム内ではちゃんとポケモン図鑑に登録される、正真正銘の「ポケモン」の一種です。2017年に発売された『ウルトラサン・ウルトラムーン』の図鑑説明では、「もともと すんでいた せかいでは ふつうに みかける いきもの らしい。」と、その生態の一端が明かされています。

こうした背景の中、開発に携わった大村祐介氏が明かしたのが、前述の「ボツ案再利用」説。通常のポケモンをデザインする際に、ゲームフリークの杉森建氏から指摘されたNG理由を、そっくりそのままウルトラビーストのデザインコンセプトに転用したというのです。
杉森建氏といえば、初代『ポケットモンスター 赤・緑』からポケモンのデザインを手がけてきたレジェンド的存在。その杉森氏のデザイン哲学を熟知した上で、あえて「真逆」を突いて生み出されたウルトラビーストが「ポケモンらしくない」と言われるのは、ある意味で当然の結果だったのかもしれません。
大村氏は投稿で、「UBのデザインは、昔杉森さんにボツにされたデザインを思い出し、その理由を逆手にとって方向性を調整したものです。なので、個人的な怨念の集合体みたいな側面もあって、ちょっと怖いですね(笑)でも杉森さんを恨んでるわけじゃないので誤解なきよう。」とコメントしています。
とはいえ、今ではすっかりプレイヤーにも受け入れられ、ポケモンファミリーの一員として愛されているウルトラビースト。ポケモンと触れ合える作品では、意外とキュートな一面を見せることも。大村氏も「怖すぎると仲間にしてもらえないので、その辺のさじ加減は難しかった」と、当時の苦労を語っています。
その後発売された『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』では、ウルトラビーストとはまた違った異質さを持つ「パラドックスポケモン」も登場しました。「ポケモン」という不思議な生き物たちが暮らす世界は、今なお広がり続け、進化を続けているようです。