イラストレーターやキャラクターデザイナーなど、絵を描くことを仕事にしている方は少なくありません。ACG(アニメ・コミック・ゲーム)業界も、そうしたクリエイターたちによって支えられています。
先日、ある日本の絵師がX(旧Twitter)に投稿した、納品間際のクライアントからの「無理な修正依頼」が、多くのクリエイターの共感を呼び、大きな話題となっています。

投稿によると、イラストが「全部画き終わり、まさに納品」という段階で、クライアントからこんな返信があったそうです。「完璧です!最後にキャラクターの角度を10度だけ、こっちに向けてもらえますか」。これに対し、投稿者が「それ、全部描き直しになります」と伝えたところ、相手は非常に驚いた様子だったとのこと。投稿者は「3Dじゃないんだよ」と、当時の心境を綴っています。
クライアントは、一枚の平面イラストさえあれば、Live2Dのようにボタン一つで角度を調整できるモデルが作れると勘違いしていたのかもしれません。「ちょっと回転させるだけ」で修正が完了すると考えていたようです。しかし実際には、2Dイラストで視点を変更するということは、構図から線画、彩色に至るまで、ほぼ全ての工程をやり直すことを意味します。

これは少し極端な例かもしれませんが、多くのクリエイターから「こうした勘違いは決して珍しくない」との声が上がっています。
この投稿が公開されると、「ヤバすぎる」「聞いてるだけで鳥肌が立った」「本気でそう思ってる人がいるのか?」といった驚きのコメントが殺到しました。

さらに、他のクリエイターからも同様の体験談が続々と寄せられました。例えば、「ラフの確認が済んで線画と下塗りが終わった段階で『座りポーズを立ちポーズに』」、「動画の納品直前に『インタビュー相手の目線をもう少しカメラに』(VR撮影ではない)」、「手作業で作った模型の原型が完成した後に『顔を3%大きくして』」、さらには「写真のレタッチ完了後に『手前の建物を丸ごと消してほしい』」など、もはや作り直しに近い要求の数々です。
多くのクリエイターが指摘するように、こうした「最後の最後でちゃぶ台返し」のような修正依頼は、さまざまな業界で頻繁に発生する問題のようです。その根底には、依頼主側の制作工程や技術的な制約に対する理解不足があるのかもしれません。

一方で、「一般の人には2Dイラスト、3Dモデル、AI生成画像の区別は難しい」という異なる視点からの意見も。テレビ番組などでアニメキャラクターが自由に回転するのを見て、どんなイラストでも同じように柔軟に動かせると誤解してしまうのも、無理はないのかもしれません。
これに対し、クリエイターたちからは、構図や角度、ポーズといった根本的な調整は、ラフ(下書き)の段階でしっかり固めておくべきだという声が上がっています。線画がFIXした後に変更を求められると、膨大な描き直しの時間とコストが発生してしまうためです。

もちろん、イラストは「回転ボタンを押せば、描かれていない裏側が自動で生えてくる」ような魔法ではありません。しかし、依頼主が制作過程に詳しくないケースは非常に多いため、やはり作業を始める前に、お互いの認識をしっかりすり合わせておくことが何よりも重要と言えそうです。
via: togetter