日本を代表するアニメーション監督、渡邊信一郎氏が、米国の映像ソフト会社「クライテリオン・コレクション」の人気動画シリーズ「Closet Picks」に登場しました。ニューヨークにある同社のフィルムライブラリーを訪れ、1500本を超えるクラシック映画のコレクションの中から、自身の創作に影響を与えたお気に入りの作品をピックアップ。その様子を収めた動画は公開後またたく間に話題となり、現在までに3万回以上再生されています。
数ある名作の中から、渡邊監督がまず手に取ったのはジョン・カサヴェテス監督の『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』。これについて、次のように語っています。
「この映画の好きなところは、ザラザラした残酷なリアリズムとドラマ性が融合していて、すごく新鮮に感じられる点です。2つのジャンルの境界線上にあるような、そういうところが好きなんです。」
続いてピックアップしたのは、日本の巨匠・鈴木清順監督による傑作『殺しの烙印』。「これはいつも人におすすめしている映画です……まあ、おすすめすべき映画じゃないかもしれないけど(笑)。個人的に大好きで、観ると混乱するけど、なぜか頭から離れなくなるんですよ」と、その魅力を語りました。

渡邊信一郎監督は、ドイツ表現主義の金字塔であるフリッツ・ラング監督の『M』もセレクト。さらに、フランスの喜劇王ジャック・タチのコンプリートBOXを見つけると、ひときわ嬉しそうな表情を見せました。
「彼はコメディを撮るけど、ただ笑えるコメディじゃない。キャラクターはクールに見えるのに、ポーカーフェイスでジョークを言うようなスタイルなんです」と語り、こうした独特のユーモアセンスが自身の作品に大きな影響を与えていることを明かしました。

動画では、武術の達人であり映画スターのブルース・リーについても言及。「小学生の頃からブルース・リーが大好きで、ものすごく影響を受けました」と語る渡邊監督。20代の頃に彼の作品に再会し、その哲学的な側面に深く傾倒していったそうです。「彼の作品を再発見したとき、その哲学が非常に面白くて、大きなインスピレーションを受けました」と振り返ります。

その影響は、代表作である『カウボーイビバップ』にも色濃く反映されているとのこと。「『カウボーイビバップ』のあるエピソードでは、彼の有名な言葉を引用しているんですよ」と、ファンにはたまらない裏話も披露しました。
『カウボーイビバップ』をはじめ、『キャロル&チューズデイ』、『マクロスプラス』、『スペース☆ダンディ』など、数々の名作を手掛けてきた渡邊信一郎監督。音楽や映画カルチャーを巧みに取り入れた、ジャンルレスな作風で知られています。今回の「Closet Picks」は、そんな渡邊監督のクリエイティビティの源泉を垣間見ることができる、ファン必見の映像となっています。
渡邊信一郎監督が選んだ作品リスト:

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』 — ジョン・カサヴェテス監督
『殺しの烙印』 — 鈴木清順監督
『M』 — フリッツ・ラング監督
『ジャック・タチ コンプリートBOX』(The Complete Jacques Tati) — ジャック・タチ監督
『ブルース・リー:グレイテスト・ヒッツ』(Bruce Lee: His Greatest Hits)