
いつまでも 絶えることなく
友達でいよう
大人気アニメ『ちいかわ』が、この夏、満を持して劇場公開!小さくて可愛い彼らが、熱帯の島で繰り広げる不思議な冒険、そして島に隠された知られざる秘密とは――。

物語は、顔に貼り付いた手紙から始まる。100倍の報酬と美味しい食べ物に誘われ、ちいかわたちは謎の人魚の島へ船で向かう。熱帯情緒あふれる現地の衣装に着替え、島民が開催する歓迎の祭典に胸を躍らせて参加する。今回のチケット購入で手に入れたくりまんじゅうも、美味しい食事と二日酔いの間を行ったり来たり。悩み知らずの、これもまた尊い幸せなのだろう。
夜の盛大な花火大会が終わり、ハチワレたち3人は、うさぎの無鉄砲な行動に巻き込まれ、海辺の禁断の洞窟へと迷い込んでしまう。そして、劇場版で最も圧倒的な存在感を放つ巨大生物が、ついにその姿を現す……。今回のアニメ制作陣は、海の魔物セイレーンの恐怖指数を時計回りに振り切ったと言えるだろう。登場するたびに迫りくる殺意を放ち、特に2匹の小さな人魚との二重唱は、まさに魔音と呼ぶにふさわしい。劇場の音響システムから大音量で響き渡る、魂を震わせるような高周波の歌声は、脳天を直撃し、不快感を伴いながら冷や汗が止まらず、座り続けることすら困難になるほど。セイレーンの魔力は決して侮れない!
しかし、今回の劇場版で最も「子供には見せられない」ダークな側面は、長らく人々を悩ませてきた、正義の思弁で語られるトロッコ問題のような道徳的ジレンマにある。人間の本性は常に利己的だが、その利己性が可愛らしい外見に包まれながらも、観客の目の前に赤裸々に具現化される時、たとえ比較的成熟した価値観を持つ大人であっても、そのギャップに精神的な衝撃を受けるだろう。幸いにも、うさぎの「ヤーハー!」というおなじみの叫び声が、鬱々とした気分を一時的に忘れさせてくれる。
しかし、最も胸を締め付けられるのは、やはり口数の少ないちいかわが、人魚の島の秘密を知った後の様々な行動だ。その純粋無垢な心は、人生で想像を絶するほどの重荷を背負うことになる……。エンディング、エンドロール後のサプライズを待つ間、ちいかわ本人が歌う『机さする』を静かに聴き入る。童心あふれる歌声の中に、ナガノ先生が歌詞に込めたちいかわたちの心情がじんわりと伝わってくる。「この世界の醜悪さに傷つけられ、ボロボロになるかもしれないけれど、交わした約束だけは決して忘れないで」。