「にじさんじ」VTuber夢月ロア、「後輩いじめ」デマを流した配信者と和解成立 約5年半の時を経て汚名を返上

ANYCOLOR株式会社は8月13日、同社が運営するVTuberグループ『にじさんじ』所属の夢月ロアさんに関する権利侵害行為について、情報発信者(いわゆる“物申す系”配信者)との間で和解が成立したことを発表しました。

2020年に浮上した「後輩いじめ」疑惑により濡れ衣を着せられていた夢月ロアさんですが、約5年半の時を経てついに騒動が終結。ファンからは安堵の声と復帰を期待する声が上がっています。

夢月ロアさんは2019年1月にデビューした『にじさんじ』のライバー。事の発端は、後輩ライバーである「金魚坂めいろ」さんとの“方言”が似ているとファンの間で話題になったことでした。これに対し、2020年10月、“物申す系”配信者の鳴神裁氏が内部情報を入手したとして、「夢月ロアが後輩の金魚坂めいろをいじめ、引退に追い込もうとしている」という内容の動画を投稿。この動画が大きな注目を集め、ネット上で大炎上する事態に発展しました。

その後、にじさんじ運営は2020年10月に「金魚坂めいろ」さんとの契約を解除したことを発表。その際、配信内外で契約で禁止されている行為に該当する言動があったこと、本人と協議の上で厳重注意を行ったものの、本人から引退の申し出があり、双方合意の上で契約を終了したと説明していました。

さらに、その他にも契約違反の事実が確認されたため、改めて契約解除通知を行ったことも明かされました。運営は夢月ロアさんとの関係についても説明しましたが、この一連の騒動により夢月ロアさんは「後輩をいじめた」という世間の批判に晒されることとなり、2020年10月に長期の活動休止を発表。卒業・引退はしないまま、表舞台から姿を消していました。

( 注:夢月ロアさんは活動休止中も個人の配信は行っていませんでしたが、一部のにじさんじ大型企画には登場しており、公式からグッズも継続的に販売されていました)

この騒動で受けた名誉毀損などの権利侵害を回復するため、夢月ロアさんはデマの発信者に対して訴訟を提起。2021年から弁護士に依頼し、自身の潔白を証明するために法廷で戦ってきました。

今回の和解にあたり、夢月ロアさんによるいじめや不当な嫌がらせ行為、また他のVTuberやANYCOLOR社と共同でそれらの行為を行ったという事実は一切存在しなかったことが双方で確認されました。金魚坂めいろさんの契約解除の理由が夢月ロアさんとは無関係であること、そしてそもそも「いじめ行為」自体がなかったことが明確にされています。

また、“物申す系”配信者の鳴神裁氏は、当時の情報源が「当事者本人、所属VTuber1名、そして社内の人間しか知り得ない情報を提供した人物」であったと説明。その上で、「得た情報の中に事実と異なる部分があったことは認め、謝罪しなければならない」と非を認めています。これらの結果を踏まえ、相手方から夢月ロアさんへの正式な謝罪を含む内容で、最終的に和解が成立しました。

これほどまでに解決が長引いた背景には、当時VTuberに関する訴訟の前例がほとんどなかったという事情があります。VTuberへの権利侵害は、同時にその「中の人」本人への権利侵害にもなり得るという複雑さから、この種の訴訟は成立が難しく、法的な攻防にも長い時間が必要でした。相手方の身元を特定するだけでも、非常に長いプロセスを要したとのことです。

本件は2023年2月から2023年11月にかけて刑事告訴が行われましたが、最終的に不起訴処分に。その後、2024年12月から2026年5月にかけて民事訴訟が進められ、相手方が謝罪を公表することなどを条件に和解が成立しました。

夢月ロアさんは陳述書の中で、この根も葉もないデマによって、2020年から2026年にかけて、SNSで毎日「やってないなら説明しろ」といったコメントや、それを遥かに超える量の批判、罵詈雑言といった誹謗中傷が止むことはなかったと綴っています。これほど長い間、絶えず悪意に晒され続けていたのです。

「私の人生には誇れるようなものは何もありませんが、それでも『夢月ロア』であることだけは、ずっと大切にしてきましたし、ファンの皆さんに恥ずかしくないよう、真剣に頑張ってきました。」

夢月ロアさん本人も13日、約5年ぶりに自身のX(旧Twitter)を更新。「やっていないことの証明はできないから、本当にたくさんの時間を無駄にしてしまいました」と胸中を吐露。騒動が起きた原因やその裏にある真実も理解したとした上で、「今回和解という形にはなりましたが、私が経験したことを少しでも理解してもらえたら」と綴っています。

ANYCOLOR社も、長きにわたり夢月ロアさんを支え、この件を心配してきたファンに向けて「『夢月ロア』を応援してくださっているファンの皆様には、長らくご心配をおかけいたしましたこと、改めて深く感謝申し上げます」と謝意を表明しました。

さらに、「現在、当社では体制を強化しており、所属VTuberが安心して活動に専念し、ファンの皆様が心からコンテンツを楽しめるよう、誹謗中傷や悪質な迷惑行為、情報の悪意ある漏洩などに対しては、民事・刑事の両面から一切の妥協なく、厳正な法的措置を講じてまいります」と、今後の対応について改めて表明しています。

事件がようやく一つの区切りを迎えたことで、ファンからは「ロアちゃん、本当に本当にお疲れ様でした」「やっと一区切りついたんだね。ゆっくりでいいから、いつかまた戻ってきてくれると嬉しいな」といった温かいコメントが多数寄せられています。

根拠のないデマを発端に活動を休止した2020年10月から、まもなく6年が経とうとしています。夢月ロアさんが今後、本格的に活動を再開するのか、本人の言葉が待たれます。