HBO MaxのDCユニバースドラマ『ランタンズ』(Lanterns)は高い評価を集める一方、劇中におけるハル・ジョーダンの描き方が一部ファンの間で物議を醸している。本作の脚本家ヴァネッサ・バーデン(Vanessa Baden)とジャスティン・ブリット=ギブソン(Justin Britt-Gibson)がこのほど「The Ringer-Verse」のインタビューに応じ、なぜハルを人種的偏見や世代特有の限界を抱えた人物として描いたのかを説明。実在する政治家同士の関係も、キャラクター作りの参考にしたと明かした。

バーデンが最も驚いたのは、相反する性質を同時に持つキャラクターを受け入れられない視聴者がいることだったという。自身がフロリダで育った経験を例に、こう語っている。
「私にとって本当に、本当に衝撃的だったのは、みんながハルの描写をもっと繊細に捉えられないらしいことです」とバーデン。「私は大勢の白人に囲まれて育ちました。彼らは陰ではNワードを口にするかもしれない。でも、何かが起きれば振り返ってあなたをかばうこともあるんです」
バーデンは、ハルが持つ偏見には、彼の年齢や育った時代、環境が関係していると考えている。
「ハルのさりげない侮辱的な言動を見て、確かに人種差別的な傾向があると思うことはできます。彼はある特定の時代、特定の環境で育った年配の男性だからです。でも同時に、彼はどこかで宇宙人と寝ていそうだし、自分が誰かを差別する人間だなんて、まったく思っていないでしょう」
さらに、「この2つは同時に成り立つんです。でも視聴者は時に、その両方が真実だということを受け入れられない。そこが私には本当に難しい。彼らは『なぜハルを人種差別主義者にしたんだ?』と言うからです」と付け加えた。

「なぜハルを人種差別主義者として書いたのか」という批判に対し、バーデンはこう反論している。
「違います。私は彼を60歳の男性として書いただけです。南部出身の60歳の白人男性の中には、確かにそうした問題を抱えていても、自分ではそう思っていない人がいる。だって彼らは、『俺は黒人と一緒にゴルフだってする』と考えるでしょうから」
ただし、原作のハル・ジョーダンは一貫してカリフォルニア州コースト・シティの出身とされている。ドラマ版で加えられた「アメリカ南部の白人男性」というバックグラウンドは、今回のキャラクター改変における大きな違いのひとつとなった。
さらにバーデンは、ブリット=ギブソンと共にハルとジョン・スチュワートの関係を構築する際、民主党の政治家ジョー・バイデンとカマラ・ハリスのコンビを参考にしたことも明かしている。
「現実世界でよく知っている人物を出発点にキャラクターを膨らませ、その要素を彼らの中に落とし込んでいきました」とバーデンは説明した。

ブリット=ギブソンによると、ハルが自分の後継者となるジョンに反発するのは、長年守り続けてきた自身のレガシーが脅かされるからだという。そこへ「若く、黒人で、ハンサムで、たくましく、自信に満ちた」後輩が突然現れれば、脅威を覚えるのは当然だと説明した。
バーデンはまた、アーロン・ピエールの比較的明るい肌の色も、ジョンがガーディアンズ・オブ・ユニバースに選ばれたという設定に影響したと指摘。脚本チームは「彼の外見は白人にとって受け入れやすい」という発想を物語に盛り込み、彼が選ばれた背景に新たな社会的意味を持たせたという。
今回の発言を受け、ファンの間ではキャラクター改変の許容範囲や、クリエイター個人の経験と政治的視点をコミックの映像化にどこまで反映させるべきなのか、議論が再燃している。現在、『ランタンズ』は第7話まで配信されている。