数々の人気アニメを手掛けてきたアニメーションスタジオ・MAPPAが、2026年に設立15周年を迎えました。その歩みを一望できる展覧会「MAPPA EXPO 15th Anniversary」が、2026年9月16日から12月7日まで東京・有楽町で開催されています。
そんな中、展覧会公式は10月9日、映画『DIGGER/ディガー』のプロモーションで来日したハリウッド俳優のトム・クルーズとアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督が会場を訪れたことを発表。2人は『呪術廻戦』や『チェンソーマン』などの展示を鑑賞したほか、アニメーターの平松禎史と対談し、映画とアニメそれぞれの制作手法について語り合いました。

会場に到着したトム・クルーズは、「本当に素晴らしいです。楽しみにしていました」と笑顔。イニャリトゥ監督も「息子がMAPPAの作品の大ファンなんです」と明かしました。
まず足を運んだのは『呪術廻戦』の展示エリア。トム・クルーズは並べられた原画を食い入るように眺め、細部までじっくりチェックします。アニメの制作工程にも強い関心を示し、平松禎史に「若いアニメーターは今も手描きなんでしょうか? それともデジタルが多いのでしょうか?」と質問しました。
平松は、自身が紙と鉛筆でアニメーターとしての技術を身につけてきたと説明。「若い世代はデジタルが多いですが、紙から始めることも重要だと思っています」と答えました。
これにトム・クルーズも、「同感です。よりアーティスト性を感じますね。それは録音も同じで、アーティストの声が残りますよね?」と共感。イニャリトゥ監督からは、アニメ1話の制作にどれほどのスタッフが携わるのかといった質問も飛び出しました。

続いて、3人によるクリエイター対談がスタート。『DIGGER/ディガー』を2度鑑賞したという平松は、「カメラ、色彩、音楽、効果音、そしてトムさんの演技も素晴らしく、映画館でなければ味わえない作品だと感じました」と感想を伝えました。
トム・クルーズは、現場のセットで細部まで作り込んだ映像を大スクリーンで見ることで、「まるで3D映像かと思うほどの凄まじい立体感」が生まれると説明。イニャリトゥ監督も、「私たちが何を描きたいのか理解してくださって、報われました」と喜びを語りました。

イニャリトゥ監督は、「本作は撮影前にすべてのコンセプトを固めました。スタジオに3つの壁を設置し、本編で使用するカメラとレンズを持ち込んで撮影した映像を、絵コンテのように使いました。さらに、それをもとに照明も作り上げていきました」と制作の舞台裏を披露。さらに、音楽と効果音の制作には1年を費やし、効果音には実際の動物の鳴き声も使ったことを明かしました。
また、イニャリトゥ監督は「本作の作り方は、アニメーションと似ていると思います。」とコメント。アニメではキャラクターだけでなく、道や家など、その背後にある世界まで構築する必要があります。同作でも、登場人物が置かれた状況や文脈に沿って、画面に映るすべてを作り上げたとのこと。「すべてのシーン、すべてのコマを、アニメーションと同じように一つずつ作り上げていきました。」と、こだわり抜いた制作過程を振り返りました。
平松は、これまでのイメージとは大きく異なる主人公ディガー・ロックウェルを演じた心境について、トム・クルーズに質問。トムは「本作は最も独創的な映画の一つだと思います。このようなキャラクターは、映画史上見たことがありません。」と回答し、「イニャリトゥ監督と一緒にこの作品を作り、このキャラクターを演じることができて光栄でした」と語りました。

対談の最後には、『DIGGER/ディガー』から刺激を受けた平松が、主人公ディガー・ロックウェルの描き下ろしイラストを2人にプレゼント。トム・クルーズは「平松さんが描かれたんですか?」と驚き、平松と固い握手を交わしました。イニャリトゥ監督も、日本語で「ありがとう」と感謝を伝えています。
イラストには、「There is TRUTH within a LIE(ウソの中にホンモノがある)」というメッセージも。これを見た2人はすぐさま反応し、「これこそが、この映画のテーマなんです」と共鳴しました。


対談後も2人は会場を巡り、『進撃の巨人 The Final Season』の「地鳴らし」を映像と立体美術で再現した展示などを鑑賞しました。


映画とアニメというジャンルの垣根を越えた今回のクリエイター交流。いつの日かトム・クルーズがアニメ制作に参加する、そんな激アツ展開も期待したくなりますね。