Netflixシリーズ『ONE PIECE』は、原作の魅力を可能な限り損なわずに映像化し、マンガ原作の実写作品における成功例のひとつとなりました。
しかし制作中には、予算の問題によって作品の方向性が危機に直面し、物語が原作から次第に離れてしまった時期もあったといいます。最終的には原作者の尾田栄一郎が介入したことで軌道修正され、Netflixも予算を見直すことに。シーズン1でショーランナーを務めたスティーヴン・マエダが、YouTube番組『Trash Taste』でその舞台裏を明かしました。
マエダは『Trash Taste』に出演し、全8話となったシーズン1の脚本について、制作開始から完成まで約2年を要し、実質的には3回近く書き直したと振り返っています。その大きな原因のひとつが、予算問題でした。
当初、制作チームは予定通り全10話分の脚本を完成させていました。ところが、Netflixの新たな幹部陣から、予算を半分に削減し、エピソード数も8話に減らすよう求められたといいます。制作チームはやむなく脚本を大幅に書き直し、シーズン全体の構成を再調整。しかしマエダによると、その結果、作品は「『ONE PIECE』本来の物語の運び方から、どんどん離れていった」そうです。

「その後、尾田先生が脚本を読んだのですが、納得してもらえませんでした。そして『これは、僕が当初合意した内容と違う』とはっきり言われました。」
尾田栄一郎が反対意見を示したことで、Netflixは制作方針を再検討。マエダによると、Netflixからは「原作により近いシリーズを作れるよう、必要な予算を用意します」と伝えられたそうです。さらに、Netflixは当初の予算削減要求を撤回しただけでなく、予算を「2倍に増額した」といいます。

予算削減を前提とした脚本の分かりやすい例が、ウソップの登場エピソードです。原作ではウソップの故郷・シロップ村を舞台に物語が展開しますが、当時の予算では「到底実現できなかった」とマエダは説明。その代案として、原作に登場する珍獣島のエピソードを取り入れる案が考えられました。珍獣島には、体が宝箱にはまった男・ガイモンが暮らしています。
予算削減版の脚本では、麦わらの一味が島で遭難し、そこでウソップと出会う展開になっていたとのこと。マエダは「それはそれで悪くない物語でした。でも、それは『ONE PIECE』ではありませんでした」と振り返っています。


さらに尾田栄一郎の意見は、“鷹の目”ジュラキュール・ミホークの登場シーンにも影響を与えました。制作チームは当初、予算上の制約から、ミホークが海賊の一団を倒した後、浜辺でモンキー・D・ガープから連絡を受けるという登場シーンを予定していたそうです。
しかし尾田は、ミホークの登場を「もっと大規模なもの」にしてほしいと要望。Netflixもこの提案を受け入れ、ミホークが戦闘中に船を一刀両断するド派手なシーンが実現しました。

こうした舞台裏からも、尾田栄一郎がNetflixシリーズ『ONE PIECE』の制作に深く関わり、その意見が最終的な作品の仕上がりに大きな影響を与えていたことがうかがえます。
一方、マエダは原作者の意見を受け止めたNetflixの姿勢も高く評価しています。「原作者本人から『自分の作品の実写版が嫌いだ』なんて言われたい人はいません。だからこそ、『分かりました。もう一度見直しましょう』と応じた当時のNetflixの判断は、改めて評価したいです。こうした対応は、実際にはかなり珍しいことです。」
▼YouTube番組『Trash Taste』インタビュー完全版
現在、Netflixシリーズ『ONE PIECE』はシーズン1とシーズン2が配信中。シーズン3は2027年に配信予定です。