METAL BUILDシリーズといえば、アレンジの効いた「華麗」なデザイン、高度な「可動」性能、そして「緻密」なディテールが魅力のブランドです。これまでも数々の名作を生み出してきましたが、今回の新たな挑戦はどのような驚きを見せてくれるのでしょうか。
『魔神英雄伝ワタル』は、多くのファンにとって忘れられない作品です。放課後にテレビにかじりついて観ていた、かつての少年たち(今や立派な大人たち)にとって、そのトイは特別な魅力を持っています。
まずは可動性能から見ていきましょう。
頭部
頭部が大きいのは龍神丸のデザイン上の特徴ですが、可動ギミックにも工夫が見られます。頭部は前後にスライド可能で、前に出すと左右の可動域が少し広がります。上を向かせたい場合は、首の装甲を調整することで、さらに可動域を拡大可能。顎を引く動きは十分ですが、左右への回転はやや苦手なようです。今回の龍神丸の設計における一つのポイントが「金龍の内蔵」ギミックで、頭部の赤いクリアパーツからは、うっすらと龍の頭部が透けて見えます。
レビュー中に誤って龍の頭部を外してしまったのですが、胸の内部にも龍の体が見えるようになっています。
※品質管理(QC)の問題点:私の個体は頭部の関節が緩く、角度を保持できずにすぐ下を向いてしまいました。
腕部
腕部の可動域は標準的です。肩アーマーの可動はあまり広くなく、特に右肩アーマーの前面パーツが少し外れやすく、ポージングの際にストレスを感じました。腕はロール軸で回転し、肘の曲がり具合も十分。手首もさらに深く曲げることができます。両腕を胸の前で合わせられるかというと、腕を上に掲げる「登龍剣」のポーズであれば可能ですが、正面で合わせるのは難しいです。胸部装甲を調整することで腕の可動域が広がるため、「登龍剣」のポージングは問題なく決まります。
※品質管理(QC)の問題点:私の個体は右腕の関節も緩く、ポーズを保持できずに垂れ下がってしまい、これも遊びやすさに大きく影響しました。
ハンドパーツ
デフォルトで装着されているハンドパーツは、3本指がそれぞれ独立して可動しますが、塗装が少し独特な印象です。その他に、剣持ち手と平手が付属します。3本指が可動するハンドパーツでは剣をしっかりと保持できないので、注意が必要です。
腰部
腰部には十分な可動域があり、曲げると内部にある青い龍の珠が見えます。これが「龍の骨格」を模したフレームの一部です。腰を動かすと背中の装甲が連動するギミックも搭載されており、非常に凝った作りになっています。
脚部
脚部は、股関節が大きく開脚でき、前後への可動も問題ありません。膝を曲げて膝立ちのようなポーズも可能ですが、もともとの脚が短いため、あまり見栄えは変わりません。足首の可動範囲は良好で、ロール軸もあり、接地性は非常に高く安定しています。
武器
武器は登龍剣と、龍雷拳用のエフェクトパーツが2つ付属します。登龍剣は長すぎず短すぎず、ちょうど良いサイズ感で、手の中でしっかりと保持できます。両手持ちも問題ありません。一方、龍雷拳のエフェクトパーツは手に装着した際の安定感がいまひとつでした。
台座
他のMETAL BUILDシリーズのアイテムとは異なり、今回の台座は支柱の角度調整ができません。そのため、ディスプレイスタンドを使ってポージングさせる際には大きな制約があります。
以上、客観的な仕様について見てきました。ここからは、個人的な感想と分析になります。
個人的には、今回の新たな試みは成功した部分と、そうでない部分があると感じました。
成功点は、龍神丸を非常に華麗に、美しく仕上げているところです。撮影していると、その輝きに何度も目を奪われました。「金龍」を骨格とするコンセプトも非常に面白いです。また、本体はサイズが大きく、手に取った時のずっしりとした重量感も満足度が高いです。
しかし、残念ながら不満点も少なくありません。
まず品質管理(QC)の問題です。私の個体では、頭部と腕部の関節が緩く、垂れ下がってしまう問題がありました。これは合金トイで最もがっかりする点です。何度も遊んだ後ならまだしも、箱から出してすぐにこの状態というのは受け入れがたいです。さらに、右肩アーマーの前面パーツは最初から「破損した状態」でした。
次に、台座の問題です。METAL BUILDシリーズ本体のクオリティは進化し続けていますが、台座はいつまでたっても変わり映えしません。しかも、他に選択肢となるような高品質なスタンドもありません。凝ったポーズで飾りたいファンにとって、この仕様は本当にがっかりさせられます。本体の出来が良いだけに、それを活かせない台座が足を引っ張っているのです。
「金龍」のデザインは非常に魅力的ですが、惜しむらくは電飾ギミックがない点です。もし頭部や腰部にLEDが内蔵されていれば、このアイテムの魅力は格段に増したことでしょう。
また、龍神丸というキャラクターのデザイン上、マーキングを追加したり、華美な塗装を施したりするのが難しく、結果としてシンプルなデザインの中で工夫を凝らすしかありません。
この点を考慮すると、龍神丸はROBOT魂、METAL ROBOT魂、NXEDGE STYLEといったブランドで展開する方が適していたのかもしれません。ファンがMETAL BUILDに期待するものは、他の3ブランドとは異なります。現在、各ブランドはそれぞれにターゲット層を見つけ、良い方向に発展しています。例えば、ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.シリーズは、『0083』や『第08MS小隊』の展開でシリーズ全体が活気づき、多くのファンに支持されるロングセラーとなっています。
率直に言って、龍神丸のデザインは元々可動域を確保しにくく、マーキングを追加する余地も少ないため、METAL BUILDの長所を最大限に発揮できたとは言えません。よほど大胆な「魔改造」を施さない限り、この課題をクリアするのは難しいでしょう。
私は、どんなトイに対しても、まずは楽しむ気持ちで向き合っています。しかし、どうしても看過できない点については、今後のより良い製品開発への期待を込めて、指摘する必要があると考えています。これからも、ファンの心を潤す素晴らしい製品が登場することを願っています。