漫画制作において、ある程度の知名度があり、有名出版社で連載を持つ漫画家さんなら、多かれ少なかれアシスタントさんがいるのは周知の事実ですよね。ごく一部の「全部自分でやっちゃうぜ!」という猛者を除けば、締め切りに追われる中で作品を完成させるには、アシスタントさんの存在が不可欠なんです。
でも最近の作画スタイルって、昔ながらの手描き、いわゆるアナログ作画から、どんどんデジタル化へシフトしてますよね。昔ながらの手法を突き詰める新人漫画家さんは、どうやら減っているみたい。そんな中、日本のメディア Real Sound さんが、先日『最遊記』の作者である峰倉かずや先生がアシスタントを募集した件について、報じていました。

( 画像提供 / @kaz_minekura )
峰倉かずや先生がアシスタント募集で投稿されたポストによると、先生ご自身も「この時代にアナログ原稿の作画助手さんを探すのは本当に大変」と認識されているようです。背景が描ける方なら超助かる!とのことですが、トーン作業経験しかない方も大歓迎とのこと。峰倉先生のようなベテラン漫画家さんは、昔ながらの制作スタイルを維持されている方が多いですが、その分、若いアシスタントさんを見つけるのがかえって難しくなっている現状がうかがえますね。
漫画産業全体の生産量は過去最高を記録しているものの、これはWeb漫画の人気が爆発しているから、というのが実情。紙媒体の書籍や雑誌の売上は下がり続けていますが、電子書籍はグングン伸びています。メディア構造が拡大するにつれて、従来の出版社だけでなく、IT企業など異業種からの参入も相次いでいるんです。
漫画の需要が増え、漫画家さんの数は増えているのに、彼らをサポートするアシスタントさんは不足気味。主な原因は、今の助手さんたちのスキルが、仕事に対応しきれていないケースが多いからだとか。十分なトレーニングを受けられていないのが現状のようです。以前のコロナ禍の影響で、アシスタントの遠隔作業が当たり前になった結果、お金をもらいながら学ぶ形になっても、効率がイマイチ…なんてことも。

( 画像提供 / @kaz_minekura )
特にデジタル作画が主流の今、アシスタントさんの立場はさらに厳しく、問題も複雑化しています。遠隔でしかアシスタントを頼めない漫画家さんの多くが、「思ってたのと違う…」とクオリティに満足できず、結局全部自分でやっちゃう、なんてケースも少なくないそう。その結果、クリエイターが体を壊してしまう、なんて悲しい事態も頻発しているとか。
多くの漫画家さんが口を揃えるのは、「昔ながらの対面方式こそ、アシスタントが早く成長できる秘訣だった」ということ。アシスタントさんは、まだデビュー前の志望者や新人漫画家さんが多く、実践で学ぶべき手作業の技術は、遠隔では教えにくいんですよね。しかし、リモートワークが普及したことで、この「対面で育てる」というモデルが機能しなくなり、結果として「即戦力」のアシスタントを見つけるのは至難の業に。かといって、スキル不足の人を遠隔で指導するのも難しい…だからこそ、ますます人探しが困難になっているんです。

( 画像提供 / @kaz_minekura )
もちろん、これは漫画家さんだけの問題ではなく、出版社側が漫画家さんに適切なアシスタントを見つけるためのリソースをどれだけ提供できるか、という点も大きいでしょう。でも、今の環境がどんどん厳しくなっているのは確かなこと。これも、時代の進化がもたらした漫画制作界の変化の一つなのかもしれませんね。
via: Real Sound