パートナーの趣味やコレクションが理解できず、大切なものを勝手に捨てたり、壊してしまったり…そんな夫婦間のトラブルが後を絶ちません。お互いの「好き」を尊重できるかどうかは、夫婦円満の大きなカギと言えるでしょう。
そんな中、ある「模範的な夫婦」の在り方がX(旧Twitter)で大きな話題となっています。小説家の池田明季哉さんの奥様が、夫の“ガチすぎるロボット玩具コレクション”と、それに対する「なぜ、そんな夫の趣味を許せるのか」という自身の考えを綴った投稿が、多くのネットユーザーの心を掴んでいます。

小説家・池田明季哉さんの奥様であるイケダトモミさんが執筆したnoteの記事では、ロボットオタクである夫のコレクションに対する考えが語られています。中でも特に注目を集めたのが、「上半身が発売されるかどうかも分からないのに、6万円もするロボット玩具の下半身を買ってきた」という衝撃のエピソード。一体なぜ、そんな“暴挙”を許すことができたのでしょうか。
イケダトモミさんによると、夫は出会った頃からの筋金入りのロボット好き。自らを「狂気の玩具者」と称し、自宅にあるロボット玩具は100や200ではきかない数だとか。部屋の棚は大小様々なロボットで埋め尽くされ、収まりきらないものは収納ケースに入れられてクローゼットを占拠。それでもまだ足りず、部屋の隅に積み上げられているという、ガチ勢っぷりが伺えます。
一方、ご自身はロボットに全く興味がないとのこと。夫と10年以上暮らす中で、『トランスフォーマー』や『ミクロマン』、『ダイアクロン』といった単語は耳にしたことがあるものの、どれがコンボイでどれがメガトロンなのか、さっぱり区別がつかないそうです。

夫との長年の生活で、ロボットへの興味は湧かなかったものの、玩具に関する知識だけは増えていったと語ります。例えば、「玩具は基本的に一度しか生産されず、売り切れたら絶版になる。再販される保証はない。だから、本当に欲しい玩具が出たら、その場で決断しないと二度と手に入らないかもしれない」――これはオタクなら誰もが頷く“あるある”ですね。
その一例として挙げられたのが、2023年4月にタカラトミーから発売された『ダイアクロン』シリーズの「陸上機動戦艦〈グランドダイオン〉」。全高約45cmにもなる超大型ロボットの“下半身”だけで、お値段なんと63,800円(税込)。そう、6万円超えで買えるのはロボットの下半身のみで、戦艦にも変形するというスグレモノ。しかし、本当にヤバいのは、この商品が発売された時点で、合体するはずの上半身が影も形も発表されていなかったことなのです。

下半身と合体する上半身がどんなデザインなのか、いつ発売されるのか、そもそも本当に発売されるのかすら分からない。まさにファンへの信頼が試される仕様です。
もし無事に上半身が発売されれば、合体後の総額は12万円を超え、全高は90cmに達するかもしれない……。しかし、もし下半身の売れ行きが悪ければ、上半身は“伝説”となり、手元には6万円超えの下半身だけが残る可能性も。それでも猛者たちは「とりあえず買っとけ」とばかりに予約に走り、瞬く間に完売したのでした。
(ちなみに上半身はその後、無事に発売されました。詳細はこちら)

そして、池田家にも63,800円の“ロボ下半身”がやってきました。この話を他人にすると、大抵は目を丸くされるそうです。「心が広いね」と褒められることもあれば、「大丈夫?」「それでいいの?」と心配されることも。
中にはもっとストレートに「私なら無理」「絶対許さない」「離婚案件だわ」と言ってくる人も。その真意は「パートナーがロボット玩具に大金をつぎ込むなんて、理解できない。それだけの価値があるの?」ということなのでしょう。

しかし、イケダトモミさんは「価値はある」と断言します。もし今「6万円あげるから好きに使っていいよ」と言われても、特に欲しいものは思い浮かばない。誰かが買ってくれるなら欲しいものはいくつかあるけれど、「どうせすぐ使わなくなるかも」という考えがよぎってしまう、と。
そんな彼女が、夫がロボットの下半身にお金を使うのを見て思ったのは「いいなあ」という気持ちでした。高価なものを買ったことへの羨望ではなく、「これほどまでに熱中できるものがある」ことへの羨ましさ。自分のお金で手に入れようと思えるほど好きなものがあり、それを手に入れた時の夫は本当に幸せそうに見えた、と綴っています。

他人が言う「価値のあるお金の使い方」は、決して絶対的なものではありません。大切なのは自分の心が本当にときめくものを見つけること。たとえ高価であっても、自分がその価値を認められれば、喜んでお金を払えるはず。そんな「大好き」なものがあれば、人生はもっと楽しく、自分らしく生きられるのではないでしょうか。
「どうして旦那さんの趣味を許せるの?」と聞かれるたび、彼女はこう答えるそうです。「あなたも、自分の心に従ってお金を使ってみたら?」と。家計を圧迫しない範囲で、パートナーが自分の好きなものにお金を使い、幸せを感じている。それは何の問題もないどころか、むしろ良いことしかない。それでも許せないと感じるなら、問題は相手ではなく自分自身にあるのかもしれない――「自分も、あの人のように人生を楽しみたい」という嫉妬心から来ているのではないか、と鋭く指摘します。
▼ 夫である池田明季哉さんも、奥様の投稿をリポストしています。
この投稿には、イケダトモミさんの論理的で心のこもった文章に多くのネットユーザーが感銘。「夫の趣味を尊重し、異なる視点から物事を捉える姿勢が素晴らしい」「他人の意見に流されず、自分の考えをしっかり持っている」と、池田明季哉さんは本当に素敵な奥様を持ったと称賛の声が相次いでいます。

一方で、「許す」という言葉のチョイスに違和感を覚えるユーザーも。「夫婦で話し合った家計に影響がないのなら、そもそも“許す”という表現自体がおかしいのでは? パートナーが幸せなら、それは受け入れられるべきことだ」といった意見も見られました。

パートナーの趣味に疑問を感じることはあるかもしれません。しかし、生活に支障のない範囲であれば、お互いを尊重し、理解し合うことが円満な関係を築く秘訣なのでしょう。このご夫婦の素敵な関係性は、多くの人にとって理想の形として受け止められています。
今回のような考え方が広まれば、コレクションを勝手に捨てられたり壊されたりといった悲しい争いが、少しは減るのかもしれませんね。
via: togetter イケダトモミ note 文章