連載開始から50年以上が経った今も愛され続ける、池田理代子先生による少女漫画の金字塔『ベルサイユのばら』。昨年7月、MAPPA制作による「完全新作」劇場版アニメの制作が発表され、多くのファンを驚かせました。公開は2025年1月31日に予定されています。
この度、作者である池田理代子先生(77歳)がORICON NEWSの独占インタビューに応じ、連載当時からの時代の変化や、社会現象を巻き起こした宝塚歌劇、そして創作に込めた想いなどを語りました。

以下、インタビューの主なやりとりをご紹介します。
記者:『ベルサイユのばら』は連載開始から50年以上経った今も愛され続けていますが、意外にも連載期間はわずか2年だったんですね。人気作がすぐにアニメ化される現代とは違い、最初のメディアミックスが宝塚歌劇の舞台だったというのも、当時としては珍しかったのではないでしょうか。
池田先生:当時は本当に珍しいケースでしたね。宝塚歌劇団からお話をいただいたときは、期待と不安でいっぱいでした。「もし失敗したらどうしよう?」と、初日の幕が上がるまでずっとドキドキしていました。初代オスカルを演じられた榛名由梨さんも「幕が上がるまで怖かった」とおっしゃっていたのを今でも覚えています。
記者:しかし、1974年に初演された宝塚版『ベルサイユのばら』は社会現象になるほどの大ヒットを記録しました。当時、漫画家のお友達と海外旅行から帰国した際、空港で記者に囲まれて初めてその人気を実感されたそうですね。
池田先生:ええ、懐かしい思い出です(笑)。成田空港に着いたら、外国の方に「あなたは女優さんですか?」と声をかけられて。「どうしてですか?」と尋ねると、「テレビカメラがたくさん来ているけど、全部あなたのためでしょう!」と言われたんです。あんな経験は初めてで、その瞬間に「ああ、『ベルばら』は宝塚ですごいことになっているんだな」と実感しました。

記者:先生の作品では、女性でありながら「男性」として生きるオスカルというキャラクターが非常に印象的です。連載当時は今よりも男女格差が大きく、女性が社会で活躍する機会も限られ、賃金の不平等もあった時代でした。時代が変わり、女性の社会的地位は向上したと感じられますか?また、作品を通して伝えたかったメッセージはありますか?
池田先生:昔に比べれば、男女の格差は少しずつ埋まってきていると感じます。ただ、世界的に見れば日本はまだまだ遅れている部分も多いですね。それでも、若い世代ではそうした考え方自体が薄れてきているようにも感じます。
私が連載していた頃は、女性が出世する機会なんてほとんどありませんでしたし、私自身、お給料が男性の半分だった経験もあります。「同じ雑誌で同じくらいの人気で連載しているのに、どうして私の原稿料は男性の半分なんですか?」と尋ねたことがあるんです。その時の返事が忘れられません。「男は家族を養うもの、女は男に養ってもらうもの。だから男性の給料が高いのは当たり前だ」と。
当時はそれが当たり前の社会だったんです。『ベルサイユのばら』は、特に女権思想を広めようと思って描いたわけではなく、あくまで私が描きたいものを描いただけなんです。でも、そうした不平等に疑問を呈する私は「変わった人」だとか「おかしい」とか言われました。今思えば、だからこそ自分に正直に描き続けられたのかもしれません。

記者:半世紀が経った今も、『ベルサイユのばら』が世代を超えて読者を魅了し続ける理由は何だと思われますか?
池田先生:世代によって、共感するポイントが違うのかもしれませんね。例えば、若い読者の方は登場人物たちの華やかな衣装に惹かれるかもしれませんし、年齢を重ねた読者の方は、彼らの愛や葛藤により深く共感してくださるのかもしれません。同じような経験をされた方なら、キャラクターたちの心の内をより理解していただけるのではないでしょうか。

記者:今回の劇場版にどのような期待を寄せていらっしゃいますか?
池田先生:今回の劇場アニメは、監督も脚本も女性の方(監督:吉村愛さん、脚本:金春智子さん)が担当してくださっていて、制作に9年もの歳月をかけてくださったそうです。この令和の時代に、再びこの作品がアニメ化されるのを見届けられるなんて、本当に感無量です。
『ベルサイユのばら』を描いていた頃、私はまだ24歳でした。今はもう「死をどう受け入れるか」を考える年齢になりました。今回のアニメを拝見して、私はずっと自分の信じる道を生きてきたんだなと改めて確信しました。この作品が、観てくださる方々にとっても、自分の選んだ道を信じて進む力になってくれたら嬉しいです。

まさに伝説的な作品が、令和の時代に劇場版としてスクリーンに帰ってくる…これはもう「超絶ルネッサンス」と言っても過言ではありませんね!日本では2025年1月31日の公開が決定しており、ファンならずとも見逃せない一本となりそうです。
via: Oricon News