『ゴッドガンダム弐式』のデザイン秘話! 今川泰宏監督「METAL BUILDの企画が来た時、真っ先に思ったのは『武器を足さなきゃ!』でした」

先日発表されたMETAL BUILD『ゴッドガンダム&ゴッドガンダム弐式』。特に、30周年記念の外伝小説に登場する『ゴッドガンダム弐式』のデザインが、その中華風のテイストや武装の多さからファンの間で大きな話題を呼びましたよね(詳しくはこちらの記事で!)。

そんな中、3月31日にBANDAI SPIRITSの公式サイト「魂ウェブ」にて、『機動武闘伝Gガンダム』の総監督であり、今回のMETAL BUILDの監修も務めた今川泰宏氏のインタビュー記事が公開! 商品のデザインコンセプトや、アニメ放送当時の裏話について熱く語っています。

ここでは、インタビューの中から特に興味深い部分を抜粋してご紹介します!

――今回の「ゴッドガンダム弐式」には監督のアイデアがふんだんに盛り込まれているとのことですが、デザインコンセプトはどのようなものだったのでしょうか?

今川監督:とにかく武器を足したかったんです! 僕はカンフー映画で育った世代でして、小6の時にブルース・リーの『燃えよドラゴン』に衝撃を受けました。ジャッキー・チェンも好きですが、一番はやっぱりリー・リンチェイ(ジェット・リー)の『少林寺』ですね!

――『少林寺』といえば中国武術の代表作ですが、『Gガンダム』でいえばサイ・サイシーのバックボーンですね。

今川監督:僕が一番好きなのは、映画の中でみんなが色々な武器で修行するシーンなんです。図鑑でしか見たことなかったような武器が実際に使われているのを見て、ものすごく興奮しました! だから、METAL BUILD ゴッドガンダムの企画が立ち上がった時、真っ先に思ったのが「絶対に武器を足そう!」ということでした。

――今回の武装は、まさに中国武術といった趣ですね。

今川監督:ちょうど『Gガンダム』の放送が終わった頃に、香港の作家・金庸の武侠小説が翻訳出版され始めたんです。小説の最後には色々な武器の解説が載っていて、すごく憧れましたね! だから「武器架も付けませんか?」なんて提案もしたくらいです(笑)。今回、METAL BUILDで多彩な武器を実現できたのは本当に感無量です。しかも、「ゴッドガンダム弐式」では全ての武器をコアランダーのウイングに収納できる。これは僕も予想外で、デザインを見たときは思わず「おぉ~、そう来たか!」と唸りましたよ。

――「ゴッドガンダム」といえば、やはり背中の「日輪」が象徴的ですよね。

今川監督:当時はメカデザインにあまり口出しできなかったんですが、制作チームから「何か希望はありますか?」と聞かれたので、すかさず「日輪、日の丸を背負わせて戦わせましょう!」って言いました(笑)。だって、後半のガンダムファイトはオリンピックやワールドカップみたいなものですし、ゴッドガンダムはネオジャパン代表ですからね!

――それがシャイニングガンダムとの差別化にも繋がり、非常にアイコン的なデザインになりましたね。

今川監督:当時はまだ総監督としてメカデザインにどこまで意見していいか分からなかったんですが、ゴッドガンダムの時はチームから意見を求められて、それがすごく嬉しかったんです。でも、『新機動戦記ガンダムW』でウイングガンダムが出てきた時は、心の中で「しまった!」と思いましたね。

――といいますと?

今川監督:デビルガンダムには翼があるので、ゴッドガンダムに天使の翼があれば「悪魔と天使」という対比ができたなと。でも、当時はそこまで考えが及ばなかった。今になってMETAL BUILD版を見ると、やっぱり「日輪」で正解だったと思います! 天使の翼だと、両機のビジュアルが似すぎてしまったかもしれませんしね。

「こんなのガンダムじゃねえ!」――当時の葛藤とブレイクスルー

――当時、『Gガンダム』を手がけることになった時のお気持ちはいかがでしたか?

今川監督:いやもう、苦痛でしかなかったですよ。当時のガンダムファンに刺されるんじゃないかと本気で思ってましたから(笑)。「ロボットプロレス」を否定するわけじゃないですが、宇宙世紀のガンダムは、いわばそこから「袂を分かった」作品じゃないですか。それなのに僕が「ガンダム」の看板で、またプロレスの方向に引き戻すわけですから、本当に怖かった。実は、この設定に一番抵抗していたのは僕自身で、心の中ではずっと「こんなのガンダムじゃねえ!」って叫んでました。自分の中で消化するのに、かなり時間がかかりましたね。

――しかし結果的に、当時のファンだけでなく子供たちの心も掴み、宇宙世紀以外のシリーズの先駆けとして絶大な人気を博しました。

今川監督:ええ、子供たちが見てくれたのは本当に意外でした。気持ちが楽になった転機は、第10話「恐怖!亡霊ファイター出現」のファラオガンダムですね。あの回は完全に子供向けに振り切って作りました。そして、東方不敗が出てきてから一気に火が付きましたね(笑)。

――新宿での東方不敗の登場が、作品のターニングポイントになったわけですね。

今川監督:当初は「この作品には敵がいない」とよく言われて悩みました。主人公の力に対する明確な「カウンター」がないと、ドラマが作りにくいんです。それと、序盤で特に頭を抱えたのがシャッフル同盟の4機――ガンダムマックスター、ドラゴンガンダム、ガンダムローズ、ボルトガンダムです。ガンダムファイトのルール上、頭を破壊すれば勝ちなんですが、彼らは玩具を売らなきゃいけない主役級の機体。そんな機体の頭をぶっ壊すわけにはいかないじゃないですか。プラモにとって「顔は命」ですからね! 今思えば他のやり方もあったんでしょうけど、当時は考える余裕もなくて、力技で進めるしかなかった。だから第2話から第5話の彼らの紹介回が、ちょっと理屈っぽくなっちゃったんですよね(笑)。

――アニメのオープニングについてもお聞かせいただけますか?

今川監督:僕はオープニングの映像を本編に組み込むのが好きなんです。中でもお気に入りは、最終回でアレンビーが「妖精」みたいになってドモンを励ますシーン(笑)。新しい女性キャラが登場したからにはOPに入れないと、と思って入れたカットが、まさか最終回で活きるとは。これは我ながら嬉しかったですね。

なるほど、小説版とアニメ版を手がけた今川監督ご本人の解説とあれば、この中華風デザインやてんこ盛りの武器にも納得ですね! まさに監督の「好き」が詰まったデザインだったというワケです(笑)。

インタビューの全容は「魂ウェブ」で公開中なので、気になる方はぜひチェックしてみてください!

via: 魂WEB