2025年4月13日に開幕し、半年間にわたって開催される「2025年日本国際博覽会(大阪・関西万博)」。世界中から多くの来場者が訪れ、各国のパビリオンが大きな話題を集めています。
そんな万博会場に、とあるコスプレイヤーが登場し、ネット上で大きな議論を巻き起こしました。コミックマーケット104(C104)で『ダンジョン飯』マルシルのコスプレを披露し、一躍注目を集めたコスプレイヤーの鹿乃つの(@shikano_tsuno_)さんです。彼女がマルシルの姿のまま万博を訪れたところ、「面白い!」という好意的な声が上がる一方で、「ここはコスプレ会場じゃない」「著作権侵害にあたるのでは?」といった批判的な意見も噴出する事態となりました。

発端は、鹿乃つのさんが4月23日に投稿したポストでした。前日に万博をコスプレ姿で楽しんだ経験をシェアし、「万博でコスプレはOK?」という多くの疑問に答えたのです。彼女は、万博公式サイトでは禁止物品の規定にさえ抵触しなければコスプレでの入場が許可されている点に触れ、さらに実用的な参加のコツをまとめました。
会場内に更衣室はなく、トイレでの着替えもNG。一番確実なのは、ホテルなどで着替えてからタクシーで会場に向かう方法です。作品のジャンルや衣装の露出度について明確な制限はありませんが、だからといって「何を着てもいい」わけではありません。もし他の方に迷惑をかけてしまえば、今後のコスプレに対する許容度に影響が出る可能性もあります。
この投稿は瞬く間に拡散され、9000件以上のリポストと2万件近い「いいね」を獲得。「参考になった」「万博に行きたくなった」といったコメントが寄せられる一方で、反対意見も現れ始めます。「いつからコスプレは『禁止されてなければOK』になったんだ?」「コスプレはイベント会場でやるべき。トイレでの着替えを断られている時点で察するべきなのに、タクシーで乗り付けるのを推奨するなんて」「著作権侵害の可能性を忘れてないか?」といった厳しい声が上がりました。




確かに、日本では専用のイベントでもない限り、公共の場でコスプレをする文化は一般的ではありません。周囲への迷惑を懸念する風潮が根強いことも事実です。しかし、大阪・関西万博の公式サイトQ&Aを確認すると、コスプレでの入場は認められています。ただし、更衣室の提供はなくトイレでの着替えも禁止されているため、どうやって衣装を準備するかは参加者次第ということになります。

批判の声に対し、鹿乃つのさんは後の投稿で反論。「いいね稼ぎや承認欲求のために万博でコスプレした」という批判は事実ではないと否定しました。
そして、「ルールとマナーを守って万博を心から楽しんだだけ。この楽しみ方は、大阪市長や吉村知事にもリポストという形で間接的に肯定してもらえた。主催者側も認めているのに、一体何が問題なのでしょうか? それなのに、なぜ私の行動を否定し、『頭がおかしい』『犯罪者予備軍』とまで言われなければならないのか。あまりに理不尽ではないですか?」と、胸の内を綴りました。
彼女は、曖昧なルールの中でマナーとモラルを遵守し、万博という冒険を楽しんだことで、結果的に主催者側からも認められたと主張。その上で、「自分を攻撃してくる人たち、その中には同じコスプレが好きな人もいるのに、なぜ文化や創意工夫を否定しようとするのか理解できません。キャラクターへの愛が、ただの注目集めだと批判されるのも心外です」と続けました。

SNS上で賛否両論を巻き起こしたこの一件について、鹿乃つのさんは後にニュースサイト「ENCOUNT」のインタビューに応じ、この問題の核心について自らの口で語りました。
彼女は、コスプレが法律上グレーゾーンであることは認識しているとしつつ、「もし原作者の方が本当に嫌だと言うのであれば、私たちはそれを尊重してやめるべきです。でも、その判断をするのはクリエイター本人であって、周りの人がとやかく言うことではありません」と強調。さらに、「今でもコスプレをアンダーグラウンドな文化だと見る人が多いですが、これは素晴らしい創作活動なのに、古い価値観に縛られ続けるのはおかしいのではないでしょうか?」と問題提起しました。
また、今回の騒動は「適切な二次創作とは何か」を社会全体で再考する良い機会だと語ります。こうしたオープンな議論を通じて、コスプレや同人文化がよりメインストリームに近づく可能性を信じていると述べました。

もし将来、明確な法規制ができてコスプレが禁止されるようなことがあれば、その時はまた皆で声を上げて議論し、抗議するだろうと臆することなく語ります。「なぜなら、これは単なる趣味ではなく、多くの人にとって文化的な生活の一部になっているからです」と、その理由を述べました。
「どんな価値観にも無限の可能性が秘められています。できない理由を探して制限するより、どうすれば世界がもっと面白くなるかをみんなで考えたい。建設的な方法で『どうすればできるか』を見つけるほうが、ずっとクールだと思います」と語りました。

さらに、4月25日にはウクライナから帰国した元戦場ジャーナリストという異色の経歴を持つVTuber・旅野そらさんの配信番組にも出演。今回の件について自身の考えを語り、批判に真正面から向き合う姿勢が多くの支持を集めました。
今回の一件は、コスプレは公共のイベントスペースで許容されるべきかという問いを投げかけ、さらには「著作権」「公共の場」「文化的表現」といったテーマに対する人々の様々な考え方を浮き彫りにしました。何が「正解」なのかは簡単には言えませんが、鹿乃つのさんのように、まず行動を起こし、議論のきっかけを作ることこそが、私たちがこの問題に真剣に向き合う第一歩なのかもしれません。