東堂いづみ原作の魔法少女アニメ『プリキュア』シリーズ。今年放送開始となったシリーズ第22作『Idol プリキュア~あなたとわたし~』も大人気で、長年続く東映の看板シリーズとしての貫禄を見せつけています。
東映アニメーションが2025年8月に発表した第1四半期決算によると、国内ライセンス収入は前年同期比136%増、バンダイナムコの玩具・模型事業の売上も同147%増と、いずれも過去10年で最高の記録を更新しました。まさに『プリキュア』シリーズは、今が史上最強の時期と言えるでしょう。では、なぜ現在の『プリキュア』はこれほど驚異的なパフォーマンスを発揮できているのでしょうか?

▼ 東映アニメーションの『プリキュア』国内ライセンス収入は前年同期比136%増

▼ バンダイナムコの『プリキュア』玩具・模型事業の売上は前年同期比147%増

日本のメディア「ねとらぼ」でコラムニストのkasumiさん()が解説するところによると、その強大な人気と商業的成功を持続させているのには、大きく3つの理由があるようです。
▼ 理由その1:今年の新作『Idol プリキュア~あなたとわたし~』が持つ圧倒的な吸引力
2025年の新作『Idol プリキュア~あなたとわたし~』は、子どもたちの間で絶大な人気を博しています。作品のテーマは「アイドル」。近年のトレンドである「推し活」の雰囲気と見事にマッチしており、子どもたちは変身アイテムやおもちゃを通じて、キャラクターの世界に自分を投影し、より深く作品に没入できるのです。
さらに、劇中でキャラクターがアイテムを使用するシーンは、そのまま最強の販促となり、『プリキュア』の玩具は軒並み「女児玩具売上ランキング」の上位を占めています。全国各地でのイベントやキャラクターショー、そしてオールスターズ映画の継続的な公開も、子どもたちのファン層をがっちり固めるだけでなく、かつてのファンの呼び戻しにも成功しています。

▼ 理由その2:大人ファンをガッチリ取り込む戦略
近年の『プリキュア』シリーズは、子どもたちだけでなく、積極的に「大人市場」の開拓にも乗り出しています。以前から「大友(おおとも)」と呼ばれる大人のファンは存在していましたが、公式が子ども向けと大人向けで明確にマーケティングを分けるようになったのは、ここ最近のこと。2025年上半期には、コラボカフェやアミューズメント施設「ラウンドワン」との共同企画など、大人をターゲットにした展開が相次ぎました。
特に画期的だったのが、この夏に池袋で開催された「プリキュア♪きらきらカーニバル」で、初めて「大人専用回」が設けられたことです。これにより、大人のファンが前方の席でショーを鑑賞したり、限定グッズを手に入れたりできるようになり、「プリキュアは子どものためのもの」というイメージを覆しました。オフィシャルショップでも、従来の子ども向けグッズだけでなく、大人がコレクションしたくなるようなアイテムが多数販売されています。
( 注:「大友」とは、子ども向けコンテンツを愛好する大人のファンを指す俗称です )


▼ 理由その3:シリーズの多角化と新規企画の成功
近年の『プリキュア』シリーズ最大の特徴は、その展開の多様化にあります。デフォルメ企画「ぷちきゅあ~Precure Fairies~」や、大人向けの続編アニメ『キボウノチカラ~おとなプリキュア'23~』、『魔法つかいプリキュア!!~MIRAI DAYS~』、さらには男子高校生を主人公にした舞台『Dancing☆Starプリキュア』は、その人気からすでに第3弾の上演が決定しているほどです。
これらの多角的な展開は、シリーズ20周年を機に打ち出されたもので、IPとしての可能性を様々な方面に広げています。こうした企画が、関連グッズやイベントと連動することで、長年のファンを飽きさせないだけでなく、新たなファン層の獲得にも繋がっているのです。


実際に、最近の『プリキュア』関連イベントでは、大人の観客の割合が目に見えて増加しています。これは、東映アニメーションが2023年の20周年を機に、大人、特に若い女性ファンを取り込もうとした戦略が功を奏した結果と言えるでしょう。
その一方で、一部の大人のファンがイベントやキャラクターショーで子どもたちの観覧を妨げてしまうといった「大友のマナー問題」が浮上し、公式が成人ファンの参加を制限する事態になったこともありました。『プリキュア』シリーズのメインターゲットが、あくまで子どもたちとその家族であることは忘れてはなりません。とはいえ、商業的に大きな成功を収めていることは事実であり、このIPが今後どのような進化を遂げるのか、ますます目が離せませんね。
via: ねとらぼ