『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』うさぎ役・小澤亜李がアフレコ秘話を語る ラップシーンの反響に「まさかこんなにウケるとは」

『ちいかわ』初の劇場版アニメ『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』は、2026年7月24日に公開され、公開から2週間で興行収入50億円を突破する大ヒットを記録しました。

このほど、うさぎ役を務める声優・小澤亜李さんのロングインタビューが公開されました。テレビアニメの短編から劇場版へとスケールアップした今回のアフレコを振り返るとともに、うさぎというキャラクターへの思いや映画制作の舞台裏について語っています。

2022年のテレビアニメ放送開始以来、小澤亜李さんは、ちいかわ役の青木遥さん、ハチワレ役の田中誠人さんとともにキャラクターたちの成長を見守ってきました。以下、インタビューの内容をQ&A形式で紹介します。

Q:まず、「島編(セイレーン編)」が映画化されると聞いた時、率直にどう思われましたか?

小澤亜李:テレビアニメが始まる前に、ちいかわ役の青木遥ちゃんと一緒にインタビューを受けたことがあって、その時に「テレビアニメは1話1分だけど、いつか映画になったらいいね」と話していたんです。まさか、あの時に話していたことが何年も経って本当に実現するとは思いませんでした。

最初はどんな映画になるのか、なかなか想像できなかったのですが、それ以上にうれしい気持ちが大きかったです。スクリーンで上映される作品になったことが、本当にうれしかったですね。

Q:映画のアフレコでは、最初に青木さんとお二人で収録されたそうですね。

小澤亜李:はい。一人で収録することもありましたが、ほとんどは遥ちゃんと一緒でした。休憩中にもいろいろな話ができて、とても楽しかったです。テレビアニメと映画ではお芝居の仕方が少し違いますし、今回はアドリブもかなり増えたので、改めてうさぎというキャラクターをどう演じるか考える機会になりました。

一度の収録は20分くらいでしたが、いつもご一緒しているスタッフの皆さんとの収録だったので、とてもスムーズに進みました。

Q:ちいかわとうさぎのセリフは普通の会話とは異なるので難しそうですが、お二人とも簡単な指示を受けるとすぐに調整され、収録もとてもスムーズでした。

小澤亜李:キャラクターに対するみんなの理解が一致していて、目指している方向も同じだからだと思います。そのため、まったく違うお芝居をいくつも試してみるようなことは、あまりありません。

私の中にあるうさぎ像と、スタッフの皆さんが思い描いているうさぎ像がほとんど同じなので、普段は「制作側が何を求めているのか分からない」と感じることもほぼありません。ただ、映画では新しい挑戦もたくさんあったので、難しい部分もありましたし、最後までちゃんとうさぎらしさを保てているか、不安に思うこともありました。

Q:うさぎは特に体力が必要そうですね。映画で船を漕ぐシーンも、とても迫力がありました。

小澤亜李:あのシーンは本当に大変でした(笑)。最初は呼吸のリズムをつかめなくて、何度か録り直しました。それに、人生で初めてあんなに何度も続けて「イーヤハ!」と言いました。ほとんど息をつく暇もなかったです(笑)。

テレビアニメだったら、あのシーンだけで1話分になっていたと思います。一つの場面をあれほど長く演じられるのも、劇場版ならではの新鮮さでした。

Q:映画では、これまでの何倍もの時間をうさぎと一緒に過ごすことになります。改めて感じた新しい魅力はありましたか?

小澤亜李:うさぎの一番の魅力は、どんな時でも自由でいることだと思います。楽しい時も、ピンチに陥った時も、自分のペースを崩さない。それが、うさぎらしさですよね。

いつも無表情で、慌てることも怖がることもなく、ずっと変わらず落ち着いているからこそ、逆にとても頼もしく感じます。映画でも、その自由さと頼もしさが存分に発揮されています。みんなと一緒に危機に直面していても、うさぎがいるだけで「きっと大丈夫だろう」と思わせてくれるんです。

Q:うさぎを演じるうえで、特に面白いと感じることや難しいこと、こだわっている部分を教えてください。

小澤亜李:うさぎには、あまり「人間らしい」音を出させたくないと、ずっと意識しています。例えば食べる場面でも、人間のキャラクターを演じる時のように細かな息遣いを入れるのではなく、うさぎならではの余裕や、あえてリアルさを抑えた雰囲気を表現したいと思っています。

映画はアクションシーンが多く、リアクションのアドリブもテレビ版の10倍くらいありました。その中でも、うさぎ本来の個性を失わないように、常に意識していました。

さらに、アフレコでは映像に合わせなければならず、口が開いているかどうかによって声を入れられる場所も限られます。そのため、アドリブにもさまざまな制約があり、その点はとても難しかったです。ただ、テレビ版から長く一緒に制作してきたチームだからこそ、実現できた表現だと思います。

Q:今回はラップシーンも収録されました。最初に知った時は、どう思いましたか?

小澤亜李:最初に思ったのは、「遂に来たか!」でした。原作にもともとあるシーンですし、ファンの方からも「小澤さんのうさぎの声でラップを聴きたい」と言っていただいていたので、「いつかは演じることになるんだろうな。でも、いつになるんだろう」とずっと思っていたんです。

それが今回、映画でついに実現したので、すごく楽しみでした。

Q:ラップとなると、やはり事前に練習が必要だったのではないでしょうか?

小澤亜李:そうですね。もともとラップを歌った経験がありませんでしたし、『ちいかわ』の音楽は、どんな曲調になるのかまったく予想できないことが多いので、原作を読みながら、こっそり自分で練習していました。「一応、準備しておこう」と思って。

ところが、実際に届いた楽曲は自分が想像していたものとまったく違っていて、それまでの練習が全部無駄になりました(笑)。

Q:原作を読んでいて、以前から「ぜひ自分で演じてみたい」と思っていた場面はありますか?

小澤亜李:やっぱりラップのシーンですね! 実際に曲をいただいてからの収録は、本当に楽しかったです。テレビ版でも、うさぎの人気エピソードを演じる時はいつもプレッシャーを感じながら全力で取り組んでいます。今回のラップも緊張しましたが、一生懸命演じました。

それから、先ほどお話しした船を漕ぐシーンも印象に残っています。原作を読んだ時には、劇場版であれほど迫力のある大きなシーンに膨らむとは思っていなかったので、とても驚きました。

Q:劇場版ならではの映像表現も見どころですが、小澤さんが特に楽しみにしている部分はどこでしょうか?

小澤亜李:予告編を見ただけでも、全体のテンポがとてもゆったりしていて、1話1分のテレビアニメとはまったく違うと感じました。キャラクターたちの動きもより細やかになっていて、一つ一つの場面がたっぷりと時間をかけて描かれています。

みんなが島での暮らしを楽しんでいる時の表情がどれも本当にかわいくて、見ているだけで癒やされます。キャラクターも風景もキラキラしていて、まさに映画ならではの映像になっています。

また、これまでにも戦闘シーンはありましたが、映画の迫力はまったく違います。私が見た時点ではまだ未完成の映像でしたが、それでも十分な衝撃がありました。完成版がどれほどすごいものになるのか、本当に楽しみです。

普段はうさぎが一人で行動したり、ちいかわやハチワレと一緒に行動したりすることが多いですが、今回はみんなが並んで戦い、力を合わせます。そこも映画ならではの魅力です。さらに、最初から最後までふんだんに使われている音楽にも、ぜひ注目してほしいです。

Q:青木遥さん、田中誠人さんとともにテレビ版を歩んできましたが、お二人の成長を感じる部分はありますか?

小澤亜李:ちいかわは、一つの声だけで「うれしい」「心配している」といった細かな感情を表現しなければならないことが多いのですが、遥ちゃんは監督からの指示をすぐに理解して、その場ですぐ表現できるんです。

ここ数年で本当にどんどん上達していて、一緒に収録するたびに、思わず「すごい! かわいい!」と言ってしまいます(笑)。

誠人くんは、声の高さをコントロールするのがとても上手です。声の高低を意識して演じるほど、実はお芝居は難しくなります。少し低くするだけでも、まったく別のキャラクターのように聞こえてしまうことがありますから。

キャラクターの声を保ちながら、きちんとお芝居も成立させている姿を見て、ずっと努力しているんだなと感じています。

Q:小澤さんご自身は、長くうさぎを演じてきたことで、何か変化を感じていますか?

小澤亜李:自分でも……以前より少し「大物感」が出てきたような気がします(笑)。演じ始めた頃は、うさぎを「小さくてかわいい生き物」だと思っていたので、意識して声を高くしていました。

ところが、いつの間にかどんどん声が低くなっていて(笑)。今、昔の映像を見返すと、自分でも「昔はこんなに声が高かったんだ!」と驚きます。時々、うさぎ本来のかわいらしさを薄めてしまっていないかな、と反省することもあります。

Q:最後に、映画を楽しみにしている観客の皆さんへメッセージをお願いします。

小澤亜李:『ちいかわ』はテレビアニメの頃から、ナガノ先生の世界観をとても大切にし、できる限り原作に忠実に作られてきました。そのため、原作の世界観が好きな方はもちろん、普段は「ちいかわってかわいいな」と感じているくらいの方でも、この作品のエンターテインメントとしての魅力を十分に楽しめると思います。

映画ももちろんかわいいのですが、それと同時に、ナガノ先生の作品ならではの空気感もしっかりと残されています。原作ファンの方なら、きっと見ながら「そうそう、これが『ちいかわ』なんだよ!」と思っていただけるはずです。

ちいかわたちが繰り広げる大冒険を楽しみに、ぜひ映画館でご覧ください!

via: 『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ