『銀魂』作者・空知英秋、アニメ化は失敗覚悟だった 「正直、コケるだろうなと思ってました」

空知英秋さんによる人気作『銀魂』は、今年でアニメ放送20周年。さらに完全新作映画『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』も公開され、ファンから好評を博しています。

『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-<超炎上版>』の9月25日上映開始を記念し、翌26日には舞台あいさつを開催。坂田銀時役の杉田智和さん、志村新八役の阪口大助さん、神楽役の釘宮理恵さんが登壇したほか、原作者の空知英秋さんからサプライズコメントも到着しました。空知さんはアニメ化当時、「コケるだろうな」と思っていたことを明かし、それからまさかの20年を迎えた心境を語っています。

『銀魂』の初代担当編集・大西恒平さんは、空知さんと初めて会ったときのことを振り返りました。

「もう20年以上前のことです。空知先生が『週刊少年ジャンプ』に漫画を投稿し、僕が担当することになりました。先生は当時、北海道に住んでいたので、『東京見物に来なよ』『東京に来て、ついでに打ち合わせもしよう』とずっと誘っていたのですが、『絶対に嫌です』と言って、どうしても来てくれなかったんです。本人が来ないなら仕方がないので、2月の大雪が降る真冬の北海道まで、僕のほうから会いに行きました。それが初めての打ち合わせです。最後には2人でちょっと熱く握手して、『一緒に頑張って、ジャンプで連載を目指しましょう!』と話したことを覚えています」

まさかの「先生が来ないなら北海道まで行く」エピソードに、会場からは笑いが起こりました。

アニメ企画の始動から放送開始まで、当時どのように感じていたのかを聞かれた大西さんは、次のように振り返ります。

「先生とは『アニメ化なんて夢のまた夢でしょ。この作品、そんなに人気もないし、見る人も少ないでしょ。』なんて話していました。でも完成したアニメを見て、そこでようやく『あ、本当にアニメになったんだ。』と実感したくらいです」

ここで、原作者の空知英秋さんから寄せられたコメントがサプライズで紹介されました。

空知さんは「今だから言えますが、正直、当時はコケるだろうなと思っていました。『銀魂』特有のノリや空気感をアニメで再現するのは難しそうでしたし、再現できたとしても、それを理解してくれる人は少ないだろうと思っていたので。ただ僕としては、『一緒に銀魂を作りたい』と手を挙げてくれる人がいただけでうれしかったですし、その人たちが楽しくアニメを作ってくれたなら、それで目的達成というか。別にすぐ終わってもいいや、くらいに思っていました。だから特に口出しもしませんでしたし、期待していたのは漫画の印税だけです。まさかアニメ効果で、あんなに印税が伸びるとは思っていませんでした。ありがとうございました。」と、ぶっちゃけ全開の本音を披露しました。

コメントが読み上げられると、会場は笑いと大きな拍手に包まれました。

キャストオーディションやアフレコ当時の思い出について、志村新八役の阪口大助さんと神楽役の釘宮理恵さんも愉快なエピソードを披露。なんと、当時オーディションを受けていた全員が、坂田銀時の名前を読み間違えていたそうです。

杉田智和さんは「当日はガチガチに緊張していたので、正直あまり覚えていないんです。でも振り返ってみると、当時所属していた事務所の人がオーディションを受けることになって、『杉田君もついでに受けてみる?』と聞かれたとき、『はい』と答えて本当によかった。今でもそう思っています。」と回想しました。

杉田さんが思い出を語り終えると、空知さんからのコメントが再びサプライズで登場。キャストオーディションについて、こんな選考秘話が明かされました。

「ぱっつぁんと神楽は、声を聞いて一発で決まりました。銀時はものすごく悩みましたね。杉田さんはオーディションの途中、声が裏返って甲高くなるところがあって、その感じが『YAWARA!』で松田を演じたときの関俊彦さんっぽくて、気に入ったので推しました。僕、関さんが好きなので」

初めて明かされたまさかのキャスティング秘話に、登壇者と観客からは笑いと驚きの声が上がりました。

連載開始からアニメ化、そして現在まで20年以上にわたり高い人気を誇る『銀魂』。作者本人はアニメ化当時「コケる」と思っていたそうですが、気付けば新作映画が公開されるほどの長寿シリーズになりました。しかも空知さんいわく、アニメ効果で印税も大幅アップ。うれしい大誤算とは、まさにこのことかもしれませんね。