
さようなら、すべてのエヴァンゲリオン

2021年、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』によって新劇場版シリーズはひとまず完結を迎えました。しかし、先日の30周年記念イベントでは新作アニメの制作も発表され、今後の展開にも期待が高まります。前回のヤシマ作戦ジオラマから約1年。今回製作するのは、同じく松村しのぶ氏が原型を手掛けた海洋堂のARTPLA最新キットです。『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の南極決戦で、使徒化したアスカを取り込み再起動、インパクトを引き起こしたエヴァンゲリオン第13号機。2本の槍を手に世界を睥睨する「最後の執行者」の圧倒的な姿を再現します!

本キット最大の見どころのひとつが、2本のロンギヌスの槍です。ランナー1枚を丸ごとクリアーレッドで成形し、透き通るような鮮烈な赤を実現。刃が90度ひねられながら先端へ収束していく立体的な形状からは、海洋堂ならではの緻密な金型技術がうかがえます。

完成したロンギヌスの槍は全長約33センチ。RG エヴァンゲリオン初号機と並べれば、その規格外のサイズが一層際立ちます。

ひとまず仮組みした、今にも崩れそうなダークバイオレットの本体と組み合わせてディスプレイ。絶望の象徴たるロンギヌスの槍を、一本は天へ、もう一本は地へと向けた構図が、世界を滅ぼす神殺しの威容を鮮烈に描き出します。

初期デザインでは、アスカのエントリープラグは第13号機の右手に握られているだけでしたが、松村しのぶ氏のアレンジによって、現在のように口でくわえられ、今にも真っ二つに砕かれそうな凄惨な姿へと変更されました。脳内には思わず「今日の日はさようなら」の穏やかなギターが流れ始めます(また胃が痛くなってきました……)。

とはいえ、今回もっとも悲惨な目に遭っているのは、足元で台座代わりに踏みつけられているエヴァンゲリオン新2号機αの生首でしょう。

劇中では、アスカが左目の眼帯を外して「裏CODE:999」を発動。新2号機αへ使徒の血を注入し、自らのA.T.フィールドを突破します。しかし、第13号機に一歩先を越されて返り討ちに遭い、頭部まで遠くへ投げ飛ばされてしまいました。シンジくん、いくらなんでも容赦がなさすぎます!

濡れた質感の巨大な口は大きく開かれ、暗赤色の舌も力なく垂れ下がったまま。あまりにも凄惨な最期です……。

新2号機αは全体を赤紫で下塗りし、ハイライトにフレッシュカラーを加えてコントラストを強調。さらにクリアーレッド、オレンジ、パープルを重ね、肉塊にまだわずかな体温が残っているかのような生々しさを表現しました。

背面には、生物化した外装甲が鱗のようにびっしりと並びます。ひと目見ただけでは、海に生息する節足動物のようにも映る異様な造形です。

頭部付近にある2枚の大きな骨板には、表面のモールドを生かしながら、暖色寄りの血管グラデーションを吹き付けています。

台座の塗装を終えたところで、その上に立つ本体にも着手します。第13号機の内部には、筋肉の隆起や筋繊維が驚くほど緻密に刻まれています。外装甲を取り付けると、この見事な肉体美がほとんど見えなくなってしまうのが惜しいところです。

とはいえ、いつまでも裸のままというわけにはいきません。塗装を終えたパーツに接着剤を付け、順番に組み上げていきます。

使徒を生贄として疑似シン化を起動し、人類補完計画を完遂する。

魂を浄化するフォースインパクト――最後の執行者、降臨!

初号機を思わせるシルエットを持つエヴァンゲリオン第13号機は、2本のエントリープラグを用いる複座式操縦システムを搭載。頭部には、細長く鋭い金色の眼が一対並びます。

反対側の顔では、眼球が赤く染まり、異様にせり出した劇中の姿を再現。疑似シン化へ移行する直前の、禍々しく残酷な形相です。

上半身に配された鮮やかなグリーンのマーキングは、蛍光塗料で塗装しました。ブラックライトを当てることで、ひときわ強烈な発光表現を楽しめます。

通常形態の腕部には、黒い袖のようなラバー状の被覆構造が見られます。松村しのぶ氏は、無機質な装甲と有機的なラインを見事に融合。この部分は光沢塗装を施し、滑らかで艶のある質感に仕上げました。

胸部装甲の下に隠された第2の腕は、解放することで大きく伸展。四本の腕を禍々しく広げた、威圧感あふれるシルエットへ変貌します。

胸部にある黒いコアには、『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』で渚カヲルがフォースインパクトを止めるため、ロンギヌスの槍を突き立てた際の穴が残されています。腰から腹部にかけての外装甲は筋肉構造の大部分を覆っていますが、その隙間から肉体がわずかにのぞくことで、人造人間兵器としての生々しさがさらに強調されています。

脚部では、今回採用したグラデーション塗装の効果を確認できます。赤紫を基本色としつつ、エッジや陰になる部分へ濃い紫を吹き付けることで、紫の奥から赤みが透けて見えるような深みのある色彩を狙いました。

視線をふくらはぎへ移すと、綾波を思わせるほど軽やかな足取り……に見えて、実際には新2号機αの生首を容赦なく踏みつけています。この構図そのものは劇中には登場しません。松村しのぶ氏によれば、映画の一瞬をそのまま切り取るのではなく、複数の場面から前後の物語を想像し、新たな情景として再構成することがデザインの狙いなのだそうです。

人類補完計画、その最後の儀式を発動する引き金として。すべてはこの瞬間のために――父が望んだ、神殺しを成し遂げるために。

死ぬまで 死ぬまで
命が尽きる、その時まで

誇りにしたいから
――「VOYAGER〜日付のない墓標〜」より
