造形師・榎木ともひでが『あしたのジョー』矢吹丈の頭部像を制作 「立体化不可能」な髪型を再現し、ちばてつやさんを追悼

以前ご紹介したフィギュア造形師の榎木ともひでさん(@eyewater_e)。『ドラえもん』の「スネ夫の髪型は立体化不可能」という定説に挑み、スネ夫の髪型を見事に再現した模型で大きな注目を集めました。その後には『鉄腕アトム』版も制作しています。

漫画界の巨匠・ちばてつやさんが87歳で亡くなったことを受け、榎木さんは代表作『あしたのジョー』に登場する「矢吹丈の髪型」を立体化。独自の構造とアイデアを駆使した完成度の高い作品に、再び驚きの声が上がっています。

アニメや漫画を見ていて、「このキャラの髪型、現実ではどうなっているんだ……?」と疑問に思ったことがある人も多いはず。アニメキャラの髪型は見る角度によって長さや形が変わり、そもそも立体として成立しているのか分からないものも少なくありません。

矢吹丈の髪型もその代表格です。作画の角度によって髪の長さやシルエットが違って見えるため、まさに二次元だからこそ成立するデザインといえます。

榎木さんによると、矢吹丈は以前から制作してみたい題材だったとのこと。ちばてつやさんの訃報に接したことをきっかけに、実際に手を動かし始めたそうです。「前方へ突き出した髪は、見る角度を変えると左右へ位置がずれて見える」という仕組みを把握していたため、制作は想像以上にスムーズに進んだといいます。

粘土で造形された頭部は、丈らしい表情や顔立ちまでハイレベルな仕上がり。最大のポイントとなる髪も、塗装後の見え方を計算しながら形状を整えています。

髪には異なる角度の折れや面を組み合わせるアイデアを採用。見る方向ごとに必要なシルエットが現れるよう造形することで、「立体化不可能」と思える髪型を成立させています。

今回は、これまでの作品で使ってきた「世界一黒い塗料」こと「真・黒色無双」を使用せず、エナメル塗料を筆塗り。イラストを思わせる独特の質感に仕上げています。

それでも、左右から眺めると髪の位置が変化して見える構造は健在。まるで「不可能図形」を本当に立体化してしまったかのようです。

▼作品の展示動画

ユニークな発想で「立体化不可能な髪型」に再び挑み、見事に攻略した榎木さん。ちばてつやさんへの追悼の思いが込められた作品でもあります。榎木さんのXでは、ほかにもさまざまな造形作品を公開中。フィギュア造形師としてワンダーフェスティバルにも参加しているので、気になった人はぜひチェックしてみてください。

via: X@榎木ともひで