
フィギュアやグッズを探していると、必ずと言っていいほど目にする「景品」という言葉。なんとなく意味はわかるけれど、実は他の商品と混同していたり、正確な定義は知らないという方も多いのではないでしょうか?今回は、そんな「景品」がどのような商品なのかを詳しく解説していきます!
所謂「景品」とは?
「景品(けいひん)」とは、もともと日本で使われている言葉で、一般的にイメージされる安価なフィギュアだけを指すものではありません。その広義の定義は以下のようになります。
抽選、ポイント交換、ゲームなどのイベント、あるいは商品やサービスの購入に付随して提供される「非売品で、公式の定価がない」アイテムのこと。
これが「景品」の最も広い意味での定義です。例えば、商店街の福引の賞品、パチンコ店で玉数に応じて交換できる品物、コンビニのポイント交換キャンペーン、あるいは特定の商品を一定数購入するともらえる「おまけ」などがこれにあたります。日本では、こうした顧客の購買意欲を促進するための「付加サービス」として提供される品物は、すべて「景品表示法」における景品として定義されています。
▼ドラマなどでよく見かける商店街のガラポン抽選会。

そして、私たちが普段ホビーの世界で「景品」と呼んでいるものは、その中でも特に「プライズ」、つまり英語の Prize と呼ばれるものがほとんどです。これは、ゲームセンターなどに設置されている「プライズゲーム機」をプレイして獲得する景品のことを指します。代表的なのはクレーンゲーム機で、プレイヤー自身のテクニックで勝ち取る、まさに「賞品」といったニュアンスのアイテムです。
▼セガが展開する「UFOキャッチャー」はプライズゲーム機の代名詞的存在。数多くのシリーズ機が登場しており、同社の人気ゲーム『龍が如く』シリーズにも度々登場します。

▼こちらはKONAMIの新型プライズマシン「トレジャーロード」。ルーレットのようなゲーム性が特徴です。
プライズとして提供されるアイテムの種類は非常に多岐にわたります。最もポピュラーなのはアニメやゲームキャラクターのフィギュア(※1)ですが、他にもぬいぐるみ、キーホルダー、クッション、タオル、CD、お菓子、ポスターなど、実にさまざまです。これらのアイテムに共通しているのは、一般の小売店では販売されず、公式の定価が設定されていない「非売品」であるという点です。メーカーから直接ゲームセンターに納品され、ゲーム機の景品としてのみ提供されます。
(※1:英語の「figure」、日本語では「フィギュア」。立体造形物の総称です。)
▼造形クオリティの高いアニメやゲームキャラクターのフィギュアは、ゲームセンターで最も人気のあるプライズのひとつです。

▼近年のプライズフィギュアは品質が非常に高く、キャラクターの魅力を生き生きと再現したものが数多く登場しています。

▼もちろん、一般販売されている高価格帯のスケールフィギュアと比較すると、コストが考慮されているプライズフィギュアは、細部の表現や塗装の工程、使用される素材の多様性といった面で、より高価な製品のほうが精巧に作られています。

また、景品のパッケージでよく見かける「アミューズメント専用景品」という表記。この「アミューズメント(Amusement)」は「娯楽」を意味し、つまり「ゲームセンターなどの娯楽施設専用の景品」であることを示しています。「プライズ」と並んで、景品フィギュアのパッケージで頻繁に目にする言葉です。
▼景品のパッケージには、通常、アミューズメント施設向けの景品であり、一般販売されていない旨が記載されています。

▼正規品のプライズ景品は、外箱の印刷が鮮明でメーカーのロゴが入っているほか、版権許諾を示す証紙シールが貼られているのが一般的です。

冒頭で景品は「非売品」だと説明しましたが、「それならなぜ、ホビーショップなどで普通に販売されているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。これは、景品の流通経路に理由があります。メーカーが玩具店に直接景品を卸すことはできません。しかし、一度プレイヤーがゲームセンターで獲得した景品を中古品としてショップに売却(買取)し、そのショップが再販する形であれば、ルール上問題ないのです。
▼日本中の多くのホビーショップでは、ゲームセンターで獲得された景品の「買取」を行っています。特に人気のキャラクターフィギュアなどは、高値で取引されることも少なくありません。

そのため、ホビーショップを訪れると「買取」という文字を目にすることが多いはずです。店頭に並んでいる景品は、そうしてお客さんから買い取られたものが多く含まれています。一度市場に出た景品は、需要と供給によって価格が変動し、人気の高さや生産終了などの要因で価格が高騰することもあります。(プライズの原価は、日本アミューズメント産業協会の自主規制により800円を超えてはならないと定められています。詳細は後述します)
「一番くじ」と「景品(プライズ)」の違いは?
近年、多くのファンに親しまれている「一番くじ」。これも景品と同じなのでしょうか?結論から言うと、この二つは全く異なるものです。BANDAI SPIRITSが展開する「一番くじ」は、1回数百円程度のくじを購入し、その場でめくって対応する賞品が必ずもらえるという仕組みの商品シリーズです。プライズゲームのように、お金を投入しても何も獲得できない「空振り」がありません。お金を払えば必ず何かしらの賞品が手に入るという点では、カプセルトイ(ガチャ)に近い販売形態と言えるでしょう。事前に賞品ラインナップが公開されており、何が当たるかわからないドキドキ感を楽しむ商品です。
▼BANDAI SPIRITSは、『ドラゴンボール』、『ONE PIECE』、『鬼滅の刃』といった大人気作品をテーマにした「一番くじ」を数多く展開しています。また、サンリオやタイトーといった他社も、タイトーの「タイトーくじ本舗」など、同様のくじ商品を展開しています。
一方、プライズゲームで景品を獲得するには、プレイヤー自身の腕前や空間認識能力が求められます。通常、1プレイ100円で、運が良ければ数回で景品が手に入ることもありますが、苦手な人だと数千円以上つぎ込んでも取れないこともあります。これが両者の最大の違いです。
日本のプライズに関する自主規制
プライズ文化が根付いている日本では、「景品表示法」に加えて、アミューズメント施設を運営する関連事業者が業界団体を組織しています。例えば「日本アミューズメントマシン工業協会(JAMMA)」や「全日本アミューズメント施設営業者協会連合会(AOU)」といった団体(現在は統合され「日本アミューズメント産業協会」)が、消費者の権利を守るために様々な自主規制を設けています。
代表的なルールをいくつかご紹介します。
◎景品の小売価格は800円(税抜、税込880円)を超えてはならない。例えば、市販価格15,000円のスマートフォンを景品にすることはルール違反となります。
(補足:この800円という上限は、あくまでプライズゲームにおける業界の自主規制です。法律で定められた強制力のあるものではありませんが、ほとんどの事業者がこのルールを遵守しています。なお、より広範なキャンペーンなどを対象とする「景品表示法」では、景品の上限額は取引価額によって変動します。詳細は消費者庁のウェブサイトをご参照ください。この記事ではプライズゲームの景品に絞って解説しています。)
◎景品は、消費者が事前に内容物を把握できるよう、写真などで明確に表示しなければならない。例えば、中身が全く見えないカプセルなどを景品にすることは違反となります。
◎以下の様な禁止品目を景品にすることはできない。例:下着、アダルト商品、タバコ、酒、現金、金券、医薬品、刃物など、法律や公序良俗に反するもの。
◎著作権を侵害する海賊版や模倣品、許諾を得ていない同人グッズなども景品にすることはできない。
◎生き物(動物・ペット類)を景品にすることも禁止されている。(関連する飼育用品などは、衛生局の許可が必要な場合があります)
日本では、事業者の多くがこうした自主規制に則って運営しているため、比較的安心してゲームを楽しむことができます。