ガンプラファン待望の人気キット『RG 1/144 Hi-νガンダム』が本日、ついに発売を迎えました。しかし、キットそのものの魅力以上に、悪質な転売行為が再び大きな話題となっています。近年、ホビー業界で深刻化する転売問題。特にコロナ禍における生産数の減少、巣ごもり需要の増加といった要因が重なり、その勢いは増すばかりです。その結果、本当に商品を求めているファンが手に入れられないという状況が続いています。
RG 1/144 Hi-νガンダム Image credit:BANDAI HOBBY SITE

各地で横行する転売行為 人気商品は発売日当日に買い占められる
転売を行うのは、小遣い稼ぎの個人から、大勢の人員を雇って買い占めを行う組織的なグループまで様々です。多くの模型店スタッフによると、彼らの多くは商品知識が全くなく、中には日本語を話せない者もいるとのこと。店に来るなり商品名も告げず、いきなりJANコードを尋ねてくるケースもあるようです。ターゲットとなった商品は発売日当日に狩り尽くされ、その日の夜にはフリマアプリやオークションサイトで定価の1.5~2倍以上の価格で出品されています。
メーカー希望小売価格4,950円(税込)の「RG 1/144 Hi-νガンダム」は、発売日当日に2倍以上の価格で転売されている。 Image credit:メルカリ

火に油を注いだ業界関係者の発言 「買えないのは努力が足りないから?」
このような投機的な転売行為は当然非難されるべきですが、一部の経済学者や大学教授、さらにはホビー業界の著名な雑誌編集者までもがこれを擁護するような発言をすることがあります。1969年創刊の老舗模型雑誌『ホビージャパン』の編集者(本名:伊藤大介、通称「ぺ」)がSNS上で「転売は業界の発展に貢献する。買えないのは努力が足りないからだ。」といった趣旨の発言を行い、大炎上しました。当該編集者は即座に解雇されましたが、この一件を機に転売問題への議論はさらに拡大。特に人気商品が常にターゲットとなるバンダイをはじめ、メーカー側もこの問題に一層真摯に向き合わざるを得なくなりました。
伊藤大介氏の不適切な発言は、職を失うだけでなく、読者の『ホビージャパン』に対する信頼を大きく損なう結果となった。 Image credit:Twitter


増産と迅速な再生産告知で転売ヤーを牽制
BANDAI SPIRITS ホビーディビジョンは、特に需要の高い複数のキットについて生産体制を強化。「HGUC 1/144 ナイチンゲール」、「RG 1/144 Hi-νガンダム」、「MG 1/100 エクリプスガンダム」、「30MM SIS-G00 リシェッタ [カラーA]」、「ULTIMAGEAR 千年パズル」といった人気商品の増産を発表しました。さらに、発売日直後に再生産の月を告知することで、供給が安定することをファンに伝え、転売行為を抑制する狙いです。
「HGUC 1/144 ナイチンゲール」の品薄と転売が、先の『ホビージャパン』編集者炎上事件の引き金となった。 Image credit:BANDAI HOBBY SITE

・HGUC 1/144 ナイチンゲール 2021年9月、12月 再生産予定
・MG 1/100 エクリプスガンダム 2021年10月、2022年1月 再生産予定
・RG 1/144 Hi-νガンダム 2021年11月、2022年1月 再生産予定
・30MM SIS-G00 リシェッタ [カラーA] 2021年10月、12月 再生産予定
・ULTIMAGEAR 千年パズル 2021年9月下旬 再生産予定
同様に転売の標的となっているのがコトブキヤです。近年、同社が展開する『メガミデバイス』や『創彩少女庭園』といった美少女プラモデルシリーズは、そのクオリティの高さから絶大な人気を誇り、発売と同時に品薄になることもしばしば。「結城 まどか【桃桜高校・冬服】」や「メガミデバイス 金潟 すぐみ」なども価格が高騰しました。これに対しコトブキヤは、バンダイに先駆けて迅速な再生産と再販月の告知を実施。さらに公式オンラインショップでは、お一人様1個までの購入制限や抽選販売を行うなど、対策を講じています。
・メガミデバイス 金潟 すぐみ 2021年11月 再生産予定
メカニックデザイナーの海老川兼武氏がデザインを手がけた「メガミデバイス 金潟 すぐみ」。大型の武装が付属するプレイバリューの高さで、非常に高い人気を誇る。 Image credit:KOTOBUKIYA

定価10,450円(税込)の「メガミデバイス 金潟 すぐみ」は、15,000円を超える価格で取引されることも。 Image credit:メルカリ

販売店も奇策で対抗! 内袋開封から専門知識クイズまで
メーカーだけでなく、販売店の側でも転売ヤーを阻止するための様々な対策が講じられ、ファンの信頼を集めています。先日、名古屋市のおもちゃ屋「おもちゃのミッキー」が実施した対策は、SNSなどで大きな話題となりました。同店では、品薄になりやすい人気プラモデルを販売する際、購入者の同意を得て内袋を開封し、ランナーの一部を切り取るというもの。これにより、転売ヤーが「新品・未開封品」として高値で出品することを防ぎます。もちろん、本当に組み立てるファンにとっては全く損のない、非常にスマートな方法です。
「おもちゃのミッキー」店内に掲示された案内 Image credit:おもちゃのミッキー

さらに強硬な対策で知られるのが、大手量販店の「ヨドバシカメラ」です。過去には「METAL BUILD エヴァンゲリオン」シリーズの販売時に、商品名を言えない転売ヤーへの販売を拒否したことがニュースになりました。今回の「RG 1/144 Hi-νガンダム」販売に際しても、お一人様1個の購入制限、割り込み防止の整理券配布、外箱への捺印といった対策を実施。一部店舗では、店員が専門的な質問を投げかけて転売ヤーをあぶり出し、列から退去させたという報告もあり、その毅然とした対応は多くのファンから称賛されています。
商品名を日本語で答えられなかった転売ヤーが逆上する場面も。 Image credit:FNNプライムオンライン


ヨドバシカメラは様々な対策を講じ、転売ヤーの買い占めを厳しく防いでいる。 Image credit:Twitter



こうした様々な努力にもかかわらず、残念ながらフリマアプリなどでは多数の「RG 1/144 Hi-νガンダム」が転売されており、その多くがすでに売り切れています。メーカーと販売店は、今後も転売行為に対抗すべくさらなる対策を模索していくでしょう。しかし最終的には、私たち消費者自身が「転売品は絶対に買わない」という強い意志を持つことが最も重要です。数ヶ月待てば必ず再生産されます。転売ヤーに利益を与える機会を決して作らないようにしたいものです。