1998年のデビュー以来、唯一無二の歌声と恋愛の機微を巧みに描く歌詞で、多くのファンの心を掴んで離さないシンガーソングライター「aiko」さん。日本の音楽シーンで長年トップの人気を誇り、その楽曲はたくさんの人にとっての「青春のBGM」とも言える存在です。
そんなaikoさんが、現在放送中のCygamesPicturesによるオリジナルTVアニメ『アポカリプスホテル』のオープニングテーマを担当。その楽曲「skirt」が、今SNSを中心に大きな注目を集めているんです。

実はこの楽曲「skirt」、昨年8月にリリースされたアルバム『残心残暑』に収録されていた一曲。リリース当時はこれほど大きな話題にはなっていませんでしたが、『アポカリプスホテル』の美麗なオープニングアニメーションとの相乗効果で、今、再評価の波が巻き起こっています。
ネットユーザーからは、その「鳥肌モノだけどクセになる」アレンジに対して、「攻撃性満点」「変な曲なのにめちゃくちゃ良い」といった絶賛の声が殺到。「aiko攻めすぎだろ…こんな音、理論的にありえるのか?」と、その斬新さに驚く声も上がっています。
この楽曲が持つ独特の“違和感”について、音楽に詳しいファンからは「Bメロの旋律が意図的に1/4音から半音くらいズレてる気がする。特にAメロが強烈。ブルース特有のちょっとけだるい感じの音のずらし方に似てる」といった、専門的な分析も投稿されています。

この盛り上がりに、音楽家の菊地成孔さんも自身の見解をポスト。専門的な視点から楽曲を詳細に分析しました。菊地さんによれば、この曲の鍵は「複調(ポリトーナリティ)」の使用にあるとのこと。これは単なる音程の補正ミスなどではなく、意図的にボーカルのキーと伴奏を半音ずらすことで、聴感上の「違和感」や緊張感を生み出す高等テクニックなのだそうです。
菊地さんは、この手法がブルースにルーツを持つ「理論上は成立する奇妙さ」だと解説。さらに、自身の音楽スタジオで制作した「ヘ短調の伴奏 vs ホ短調のメロディ」という実験曲とも通じるものがあると明かしました。そして、こうした挑戦的な楽曲の登場は、私たちが従来の「十二平均律」という音楽体系から一歩踏み出し、「より自由な音程や調性を取り入れる」新しい時代に突入したことを示唆しているのかもしれない、と分析しています。



菊地さんはさらに、この楽曲がこれほど大きな注目を集めた背景には、アニメ主題歌であるという点が大きく関わっていると指摘。「アニメ自体の音楽と映像のシンクロ技術が非常に優れていて、美しい。この土台があるからこそ、この曲の実験性が多くの人に受け入れられた。これこそが、いわゆるジャパン・クールの真髄です」と絶賛しています。
菊地さんは、かつてニューヨークで『機動戦士ガンダム サンダーボルト』の音楽を演奏した際、観客2000人全員がガンダムのコスプレをしていたという体験談にも触れ、その光景に心から感動したと告白。アニメと音楽が結びつくことのパワーを改めて強調しました。
ネット上での大きな反響を受け、aikoさん本人も「こんなにたくさんの人が〈skirt〉について話してくれて本当に嬉しいし感謝です」「この曲を作れて本当に良かった」と、喜びと感謝の気持ちをポストしました。
皆さんもぜひ一度、この楽曲の「不思議な感覚」を体験してみてはいかがでしょうか。アニメのオープニング映像と合わせて視聴すると、その魅力がさらに増すこと間違いなしです。音楽の好みは人それぞれですが、デビューから長い年月を経てもなお、新たな音楽性に挑戦し続けるaikoさんのアーティストとしての実力には、ただただ脱帽ですね。
via: togetter