『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』は日本での公開以降、各地で興行収入記録を塗り替えてきましたが、その勢いはアジアを越え、ついにアメリカでも社会現象を巻き起こしています。
なんと公開からわずか10日間(9月21日時点)で興行収入は1億ドルを突破。2025年に米国で公開された外国語映画の興行収入ランキングで、ぶっちぎりのトップに躍り出ました。この現象について、米国在住のZ世代専門家兼ジャーナリスト、シェリーめぐみさんがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組『NY Future Lab』が、アメリカのZ世代の若者たちのアニメ観を特集しました。

『鬼滅の刃 無限城編』の米国での大ヒットは、1999年に『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』が打ち立てたオープニング興収3100万ドルの記録を大きく塗り替え、日本アニメ史上、歴史的な大記録となりました。一体なぜ、アメリカの若者たちの間でこれほどまでにアニメが受け入れられているのでしょうか?
番組がニューヨーク在住のZ世代の学生にインタビューしたところ、こんな声が聞かれました。「『鬼滅の刃』がウケた理由の一つは、カタナみたいな日本的な要素が強いこと。それに、多くのアメリカ人にとってこれが人生で初めて観る日本のアニメだったんです。そこから口コミで一気に広がって、大ブームになった感じですね。」

さらに、彼らはこんな分析も。「『鬼滅の刃』って、実は吸血鬼モノにちょっと似てるんですよ。鬼に血を分けられると鬼の仲間になってしまう設定とか。主人公の家族が殺されて、妹も鬼にされてしまって、彼女を救う方法を探すっていう悲劇的なストーリーが、すごく共感を呼ぶんです。『トワイライト』シリーズに近い感じですね」。吸血鬼をテーマにした作品はZ世代に根強い人気があり、また「サムライ」も日本を象徴する文化として広く知られているため、すんなり受け入れられたようです。

多くのアメリカ人にとって、『鬼滅の刃』が日本アニメとの初めての出会いとなりました。今やアメリカのZ世代の半数以上が毎週アニメを観ているというデータもあり、この背景にはコロナ禍の巣ごもり需要があったと見られています。自宅で過ごす時間が増えたことで、アニメに触れる機会が格段に増えたのです。
インタビューに答えたZ世代の若者はこう語ります。「2000年代は、アニメはまだニッチな趣味で、アニメファンだと公言するのもはばかられる雰囲気でした。ファンは少数派で、いじめの対象になることさえあったんです。でも、今は全く違います」「今の中学生なんて、アニメを観てるからっていじめられるなんてありえない。むしろ『アニメを観てない』ってだけで仲間外れにされるかもしれないくらいです。それに、今は日本そのものへの関心も高まっていて、アニメファンじゃなくても『日本に行きたい』って話す友達がたくさんいますよ」

また、現在アメリカで視聴できる日本アニメは、ラブコメ、学園モノ、日常系などジャンルが非常に多様化しており、どんな好みにも合う作品が見つかるようになりました。さらに、Netflixやクランチロールといった配信サービスが新旧問わず大量のアニメ作品をラインナップしたことで、コロナ禍に「沼にハマる」人が続出。日本アニメはニッチな趣味から一気にメインストリームへと駆け上がったのです。
特に、「俺が最強、俺が世界を救う」といったアメリカ映画にありがちなヒーロー像に対し、日本アニメでは「家族や仲間を守りたい」という、よりパーソナルで共感しやすいテーマが描かれることが多く、これがZ世代の心に深く響いているようです。

このように、アメリカにおける日本アニメの人気はもはや一過性のブームではなく、確固たるトレンドとなっています。かつては見られなかった光景が次々と生まれ、日本文化への関心も高まっています。これぞ日本のソフトパワーの真骨頂と言えるでしょう。『鬼滅の刃』に続き、今後さらに多くの作品がアメリカ市場に挑戦し、アニメの国際化はますます加速していくに違いありません。
via: TOKYO FM +