「今の映画人は本当に大変」山田洋次監督、東京国際映画祭で日本映画の黄金時代を回顧。心揺さぶるスピーチに共感の嵐

第38回東京国際映画祭が29日、日比谷にて開催され、ガラ・セレクション作品『TOKYOタクシー』の舞台挨拶が行われました。主演の倍賞千恵子さん、木村拓哉さん、そして山田洋次監督が登壇すると、会場は満員の観客で熱気に包まれました。

御年93歳の山田監督は、本映画祭で「特別功労賞」を受賞。そのスピーチで日本映画の黄金時代を感慨深く振り返り、現代を生きる映画人たちへ心からの敬意を捧げました。

『TOKYOタクシー』は、2022年に日本でも公開されたフランス映画『パリタクシー』を原作とした作品。山田監督が物語の舞台を東京に移し、人生の後半に訪れる希望と出会いを温かなタッチで描きます。映画祭のガラ・セレクション作品として上映されると、会場からは万雷の拍手が送られました。

木村さんは昨今の鑑賞スタイルの変化に触れ、「今や自宅でリモコン一つで作品を楽しめる時代ですが、やはり大きなスクリーンで皆さんと感動を共有できるのは最高ですね」とコメント。山田監督も「この映画は、大きなスクリーンで大勢の人に観てもらうためのものだ、と常に自分に言い聞かせながら撮っていました」と深く頷きました。

本作で監督91作目となる山田監督。「特別功労賞」のトロフィーを受け取ると、「長く生きているもんだから、たくさん映画を撮りすぎちゃっただけですよ」と照れ笑い。しかし、すぐに真剣な表情に変わり、約70年前に映画界へ足を踏み入れた当時を振り返り始めました。

「私がこの世界に入った頃、日本映画はまさに黄金期でした。まだテレビも普及しておらず、人々は映画館に押し寄せ、映画こそがエンターテインメントの王様だった。あの頃の映画界には豊かさと余裕がありました」と語る監督。そして、「それに比べて、今の映画人は本当に大変。時々、気の毒にさえ思えてしまう」と、現代の制作者たちを慮る言葉を続けました。


via: TOKYO HEADLINE WEB