「実物大ガンダムが全てを変えた」――バンダイナムコフィルムワークス小形尚弘氏が語る、『ガンダム』が世界的IPへと飛躍した“成功の鍵”

なぜ『機動戦士ガンダム』シリーズは、これほど長く愛され続けているのでしょうか? 数え切れないほどのガンプラや関連グッズ、そして毎年制作される新作アニメ。今年で46年目を迎えるこの巨大IPが、今なお第一線で輝き続ける秘訣は一体どこにあるのでしょう。

先日開催されたAWSのフォーラム「AWS Media & Entertainment Symposium 2025」にて、バンダイナムコでガンダム事業を率いる小形尚弘氏が登壇。長きにわたりシリーズを支えてきたキーマンが、自らの口で『ガンダム』を世界的IPへと押し上げた成功の秘訣を語りました。

小形氏がガンダムの歴史における大きなターニングポイントとして挙げたのが、「2009年にお台場に建造された1:1スケールの実物大ガンダム立像」です。「それまで、ガンダムはあくまでアニメの中のキャラクターでした。しかし、あの実物大立像が登場したことで、国内はもちろん、海外からの見方が劇的に変わったんです」と語ります。この立像は、ガンダムを日本の新たなランドマークへと押し上げ、作品の世界観をリアルに体感できる場として、多くの海外ファンが訪れる「聖地」となりました。

目の前に、本当にガンダムが“在る”」という圧倒的な実在感。この衝撃的な体験こそが、IPの価値をまったく新しい次元へと引き上げたのです。

▼ 2009年にお台場に登場した初代「実物大ガンダム」。2017年にその役目を終え、現在は「実物大ユニコーンガンダム立像」がその地に立っています。

お台場を皮切りに、上海の「実物大フリーダムガンダム立像」、福岡の「実物大νガンダム立像」、横浜の「動くガンダム」、そして2025年の大阪・関西万博で予定されている「ガンダムパビリオン」など、実物大ガンダムは次々と世界各地に登場。これらの立像は、迫力ある演出やイベントと連動することで観光の目玉となり、ガンダムというIPの認知度と影響力を飛躍的に高めました。

さらに、これらの立像の側には公式ガンプラ総合施設「THE GUNDAM BASE」が併設されることが多く、「実物大ガンダムの感動を胸に → そのままガンダムベースでガンプラを買う」という完璧な消費動線が確立されています。現在、全世界で31店舗を展開するガンダムベースは商業的にも大成功。近年ではガンプラの売上の半数以上が海外によるもので、かつては中国や東南アジアが中心でしたが、コロナ禍をきっかけに北米市場が急成長するなど、グローバルな展開が加速しています。

そんな小形氏ですが、入社当時を振り返り、「入社した時、『ガンダムは絶対に失敗させられない。もし失敗すれば、グループ会社の何千人もの生活がかかっているんだぞ』と言われましたよ」と、笑いながらもその重圧を語りました。

アニメ制作の現場からキャリアをスタートし、今やこの巨大IPの事業全体を牽引する立場になったことは、本人にとっても少し意外だったとのこと。しかし、「この責任が自分を突き動かしている。後悔だけはしたくないという思いで、ガンダムを世界へ届けるために日々奮闘しています」と、その覚悟を語りました。

今後の展開については、レジェンダリー・ピクチャーズと共同で制作中の『機動戦士ガンダム』ハリウッド実写版に触れたほか、ゲームやガンプラ、そしてさらなるリアルイベントの企画が進行中であることを明かしました。「成功の方程式なんてものはありません」としながらも、「チーム一丸となってガンダムというIPを世界へ広げ、未来へと繋げていきたい」と、力強く語りました。

小形氏の言葉からは、ガンダムに対する熱い情熱と壮大なビジョンが伝わってきます。近年、これまでにない勢いで世界へと羽ばたいている『ガンダム』。このIPがこれから私たちにどんな驚きと新たなムーブメントを見せてくれるのか、今後の展開から目が離せません。

via: inside-games