原作・那珂山みちる先生、作画・タツワイプ先生による漫画作品『負けヒロインを勝たせたい!!』が、7月23日に秋田書店での連載および出版をすべて停止すると発表しました。
作画担当のタツワイプ先生がXで、原作者の那珂山みちる先生との連名で声明を発表。今回の決定に至った経緯を説明しました。編集部の問題が絶えず、作者側が後始末に追われる状況だったことなどが明かされ、出版社への不満の声がファンから上がるなど、大きな注目を集めています。

『負けヒロインを勝たせたい!!』は、2025年8月から秋田書店の『チャンピオンクロス』で連載開始。学園ラブコメにツッコミ要素を織り交ぜ、主人公が幼なじみの“負けヒロイン”を強力な転校生に勝たせるために奮闘する物語です。単行本は現在2巻まで発売されています。

公式Xでは「いつも応援ありがとうございます。『負けヒロインを勝たせたい!!』は、今回の更新をもちまして、秋田書店での連載・出版を停止させていただきます」と報告。
あわせて、秋田書店との出版契約が今年末で終了した後、2027年1月頃を目処に株式会社ナンバーナインから再配信・連載を再開する予定であることも発表されました。公式は、今回の決定に至った理由について、出版社との信頼関係の構築が困難になったため、作者サイドが連載・出版の終了を決断したと説明し、作品を応援してきた読者へ謝罪しています。連載再開の具体的な時期については、今後公式アカウントで順次告知されるとのことです。
原作者の那珂山みちる先生と作画のタツワイプ先生も連名で声明を発表し、事の経緯を詳細に説明しています。声明によると、連載開始前、前担当編集者との間で「単行本1巻の売れ行きが芳しくない場合、物語を早めに畳む展開になる可能性があるため、販売データを正直に共有してほしい」という合意があったそうです。1巻発売から約1ヶ月後、作者が初月の売上について尋ねたところ、当時の担当編集者は「売れ行きは好調なので、5巻で終わることはまずないでしょう」と回答したとのこと。
しかし、連載が進むにつれて、編集部の業務に数々の問題が浮上したと作者は訴えています。具体的には、ネームチェックの遅延による作業への影響、カバーイラスト確認の遅れ、最終的に提出されたものとは別のイラストがカバーデザインに使用されるといったトラブルや、他社との連携の遅さや情報共有の不備などがあったといいます。編集会議も正常に機能せず、物語の制作はほぼ原作者と作画担当の2人だけで進められていたそうです。
本来編集部が担うべき多くの業務を、最終的にクリエイター側が肩代わりせざるを得ない状況だったと指摘。そのため、前担当編集者と編集長に改善と信頼関係の再構築を申し入れたものの、担当者が交代した後も、基本的な確認・報告・連絡・相談が改善されることはなかったそうです。

さらに、2巻の発売が延期になった際、前担当者からの引き継ぎが不十分で制作資料も 제대로 渡されず、後続の作業に再び支障が出たと述べています。その後、作者が電子書籍の販売明細を確認したところ、実際の売上部数が前担当者の言っていた「売れ行きは好調」という言葉とは大きくかけ離れていることが発覚。現担当者に確認したところ、「1巻の初月売上は、大ヒットと呼べるほどではなかった」と知らされ、その時初めて「2巻の売上次第で5巻での打ち切りが決まる」という事実を聞かされたそうです。
作者が以前、前担当者に作品の今後の展開について尋ね、「もし5巻で完結する場合、別の展開も準備しているのか」と質問した際には、「5巻で終わるなんて全く考えていなかったので、その先の展開は考えていません」との返答があったといいます。
このため、作者側は編集長同席のもと、前担当者と直接対話し、一連の経緯や発言について事実確認をしたいと要望。編集長もその場を設けることに同意しました。
しかし、話し合いの当日、作者側には「編集長の判断で前担当者はすでに席を外しており、話し合いには参加しない」と告げられたとのこと。事前の連絡もなく、当事者である前担当者を退席させたこの対応を受け、作者側はこれ以上秋田書店との信頼関係を築くことはできないと判断。最終的に、秋田書店との協力を打ち切る決断を下しました。

今回の件を受け、『負けヒロインを勝たせたい!!』だけでなく、作者が秋田書店から出版しているすべての作品について、2026年12月31日をもって販売・配信を停止することも発表されています。
最後に、作者は改めて作品を応援してくれた読者へ謝罪するとともに、『負けヒロインを勝たせたい!!』は2027年1月頃にナンバーナインから再配信され、物語の続きが描かれる予定だと報告しました。そして、「これからも全力で創作活動に励みますので、引き続き作品を応援していただけると嬉しいです」と締めくくっています。
この一連の騒動に、ネット上のファンからは秋田書店の編集部に対して失望の声が多数上がっています。本来であれば容易に解決できたはずの問題が、ファンを失望させ、漫画家を移籍させる事態にまで発展したことに対し、「出版業界の体質はどうなっているんだ」と、その企業文化を疑問視する声も噴出しています。

本稿執筆時点で、秋田書店側からの公式な声明は発表されていません。しかし、近年、出版社とクリエイター間のトラブルは珍しくなく、漫画業界の現状に心を痛めるファンも少なくないようです。