『機動戦士ガンダム RG XARX-ZERO』神山健治監督インタビュー 「ガンダムがガンダムであるために欠かせない要素」を語る

7月24日未明、『機動戦士ガンダム』シリーズの新作アニメ『機動戦士ガンダム RG XARX-ZERO』(読み:アレックスゼロ)の制作が正式に発表された。2027年より展開予定で、監督・シリーズ構成を神山健治が務めることも明らかとなり、ファンから大きな注目を集めている。

本作はゲーム『GUNDAM ROGUE ORBIT』と世界観を共有するアニメーション作品。アニメとゲームを横断するこのメディアミックス企画は「RGプロジェクト」と名付けられており、今後どのような広がりを見せていくのかにも期待が高まる。ゲームメディアAUTOMATONは本作の監督・神山健治にインタビューを実施し、『ガンダム』が自身のクリエイター人生に与えた影響や、新たなRGプロジェクトの世界がどのように生まれたのかを聞いている。

新作『機動戦士ガンダム RG XARX-ZERO』は、クロスメディア企画「RGプロジェクト」の一環として制作される作品。まったく新しいポストアポカリプスの『ガンダム』世界を舞台とし、今後登場予定のゲーム『GUNDAM ROGUE ORBIT』へとつながる前日譚として描かれる。

舞台となるのは、新たな暦A.A.(After Apocalypse/アフター・アポカリプス)の時代。主人公は戦災孤児のアズミ・レイ(Ray Azumi)で、「ガンダムZERO」に乗り戦いへ身を投じていく。数十年前、宇宙の彼方から飛来した異星の物体が人類にもたらしたのは、世界を一変させる革新的な技術だった。しかし、その存在はやがて自己増殖しながら人類を激しく攻撃する生態系へと変貌。人類はこれを「アポカリプス(Apocalypse)」と呼ぶようになる。地球を放棄せざるを得なくなった人類は新たな時代を迎え、それ以降の世代は皆、アポカリプスの脅威が続く世界で生まれ育っていく。

この新たな世界観を構築したのは、『攻殻機動隊 S.A.C.』シリーズなどで知られるSFアニメーション監督・脚本家の神山健治と、作家の円城塔。以下、インタビューのQ&Aを紹介する。

Q:『ガンダム』シリーズへの参加は今回が初めてだと思いますが、どのような経緯で本企画に加わったのでしょうか?

神山健治:当時、「ガンダム」を題材にしながらも、宇宙世紀でも西暦でもない、まったく新しい世界線の『ガンダム』を作る企画がゲームと並行して進んでいて、その新作アニメの監督をやってみないかと声をかけていただきました。いろいろと悩んだのですが、「令和の時代に、自分の大好きな『ガンダム』をゼロから作れる機会が巡ってきたなんて、最高じゃないか」と思うようになり、引き受けることにしました。

Q:新作『機動戦士ガンダム RG XARX-ZERO』と、その周囲に広がる世界観をどのような作品だと捉えていますか?

神山健治:太陽系外から飛来した自律型の星間物体と人類との戦争を描く物語です。後に「アポカリプス」と呼ばれるその存在を相手に、人類は地球で生き延びる権利を懸けて戦います。そして、その大きな戦いの裏側で、若い男女たちが経験する葛藤や成長も描いていきます。

▼ 「アポカリプス」の姿は、すでに公式ティザーPVにも登場

Q:歴代の『ガンダム』作品に対して、個人的にどのような印象をお持ちですか? また、『ガンダム』シリーズ最大の魅力は何だと思いますか? 特に好きな作品があれば教えてください。

神山健治:『機動戦士ガンダム』は、日本のアニメーション史において、ごく普通の平凡な少年を主人公として描いた最初の作品だったと思います。初放送当時、僕は主人公のアムロと同じくらいの年齢だったので、自分自身の感情をキャラクターに重ね合わせながら見ていたことを覚えています。

アニメーションというものが、これほど豊かな感情を描ける表現になり得るのだと初めて気付かせてくれた、僕にとって非常に特別な作品です。だからこそ、1979年の『機動戦士ガンダム』は、今でも自分の中で中心にある作品です。

Q:今回、『ガンダム』シリーズにまったく新しい世界を作るにあたり、シリーズが受け継いできたテーマや伝統と、新しい要素とのバランスをどのように考えましたか?

神山健治:僕が考える「ガンダムがガンダムであるために必要な要素」は、太陽系が舞台であること、主人公が三色のロボット、あるいはMSに乗ること、そして人間同士の戦争に巻き込まれていくことです。この3つは絶対に外してはいけないと思いました。僕にとっては、これこそがシリーズの根幹にあるものであり、今回の作品もそれらを軸に完成させていくつもりです。

Q:新作アニメと、今後発売予定のアクションゲーム『GUNDAM ROGUE ORBIT』は同じ世界を舞台としており、アニメはゲームの100年前を描くとされています。両作品はどの程度密接につながっているのでしょうか?

神山健治:基本的には、どちらも僕たちが一緒に作った共通の基本設定をベースにしています。つまり、地球へ飛来して後に「アポカリプス」と呼ばれることになる自律型の星間物体と、それを相手にした戦いです。ただし、アニメとゲームの物語そのものが直接つながるわけではないと考えていますし、ゲーム側も独立したストーリーを展開していくようです。

Q:この共通世界を構築するにあたり、アニメとゲームの制作チームはどの程度密接に連携していたのでしょうか?

神山健治:最初にゲームチームから、ガンダムが巨大な宇宙怪獣のようなメカと戦うという基本的なアイデアが提示されました。そこからアニメチームが、敵の正体やこの世界における戦争の構造などを含めて世界観を掘り下げ、その上でアニメ独自の物語を組み立てていきました。

そして今度はゲームチームが、それらの設定をベースに、100年後の時代におけるゲーム独自の世界と物語を作っています。

Q:『GUNDAM ROGUE ORBIT』で、人類の敵として地球外からの脅威が登場することに驚いたファンも多かったと思います。新作アニメでも、この対立が物語の中心になるのでしょうか? また、なぜこのような設定にしたのでしょうか?

神山健治:はい、アニメでもこの戦いは描かれます。ただ、まずはゲームの操作性やゲームプレイから逆算して考えられた「敵」のイメージを、両作品に共通する土台として設定しました。その上で、それぞれのチームが自分たちの作品形式に最も適した世界設定や表現方法を選んでいます。

Q:新作アニメに登場するガンダムやその他のMSについて、メカニックデザインに何か特別な要望は出しましたか? また、物語上の役割に合わせたデザインコンセプトなどはありますか?

神山健治:僕から特別に何かを要求したことはありません。ただ、『ガンダム』シリーズには昔から、それぞれのクリエイターがクラシックなデザインを自分なりに解釈して受け継ぎ、そこへ独自の個性を加えていくという流れがあると思っています。ファンもそこを期待しているのではないでしょうか。

ですから今回は、ファンが期待する『ガンダム』らしい要素を残しながら、細部には独特な「有機的な感覚(organic)」も加えています。今後さらに情報が公開されていけば、このコンセプトもより分かりやすくなっていくと思います。

Q:この新作には、どのような人たちに届いてほしいと思っていますか?

神山健治:これまで『ガンダム』シリーズを一度も見たことがない人たちにも届いてほしいと思っています。

Q:現時点で、この新プロジェクトについてファンに最も知っておいてほしいことは何でしょうか?

神山健治:まだ発表されたばかりなので、世界観の設定や物語の展開についてお話しできないことがたくさんあります。これから順次、『機動戦士ガンダム RG XARX-ZERO』ならではの、これまでとはひと味違う姿をお見せしていけると思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。

via: AUTOMATON