PVC、フィギュア、ガレージキット、スケールフィギュア、キャラクターフィギュア…これら全部、実は同じものなんです!
上記のような様々な名称は、ホビーショップでよく目にします。模型玩具に初めて触れる方にとっては、どれも同じように見えて戸惑うかもしれません。しかし、これらは実際にはすべて同じ種類の製品を指しています。それは、固定ポーズの塗装済み完成品フィギュアです。その名の通り、各パーツが組み立てられ、彩色まで施された完成品を意味します。各国で完成品フィギュアに対する呼び方は異なり、日本では一般的にフィギュアと総称されます。中国で使われる「手辦(ショウバン)」という言葉は、原型師が制作する「首辦(ショウバン)」、つまり原型に由来しています。台湾で一般的に使われる「公仔(ゴンザイ)」は、香港の広東語が語源ですが、台湾語の「尪仔(アンアー)」も同様の意味を持ちます。
フィギュアの原型の一例:式波・アスカ・ラングレー Ver.RADIO EVA Part.2 Image credit:HOBBYMAX

塗装済み完成品フィギュアのほとんどはPVC素材で作られています。この素材は、可塑剤の添加量で硬度を調整でき、塗装しやすく、経年劣化しにくいという特性から、量産品に適しています。そのため、「PVCフィギュア」と呼ばれることもあります。初期のPVCにはDEHPという可塑剤が使われていましたが、時間が経つとフィギュアが「ベタつく」(可塑剤が表面に浮き出る現象)原因となり、人体への生殖毒性も指摘されていました。近年では日米欧で規制が厳しくなり、ほとんどのメーカーが、より環境に優しく、毒性が低く、ベタつきにくい「ATBC-PVC」素材に切り替えています。
PVC素材の劣化により、フィギュア表面に可塑剤が浮き出てベタついた状態 Image credit:さのっち

塗装済み完成品フィギュアは、アニメ、ゲーム、映画などのキャラクターを立体化したものがほとんどです。複雑に考えず、「キャラクターフィギュア」と呼ぶのが最も分かりやすいでしょう。商品の性質をより正確に表現するなら、「スケールフィギュア(SCALE FIGURE)」とも呼ばれます。国内メーカーから発売される完成品フィギュアは、1/7、1/8スケールといった全高20cm前後の、省スペースでコレクションしやすいサイズが主流です。商品カテゴリの表記では、「1/7スケールフィギュア」「1/8スケールフィギュア」といった形で呼ばれることがよくあります。しかし、すべてのキャラクターが正確なスケールで立体化するのに適しているわけではありません。そのため、適切なサイズ感を優先した「ノンスケールフィギュア」も数多く存在します。
各種スケールのサイズ比較 Image credit:アーニマのフィギュアキングダム!

「スタチュー」と「フィギュア」の違いとは?
「スタチュー(STATUE)」は彫像や彫刻物を指し、「フィギュア」は立体模型を意味します。玩具業界において、両者の性質は非常に近く、その境界線は曖昧です。メーカーによって定義が異なることも珍しくありません。多くの場合、素材、造形の精巧さ、スケールサイズなどで区別される傾向があります。しかし、現在の国内業界のトレンドを見ると、「スタチュー」と呼ばれる商品は、キャラクター本体だけでなく、その周囲や台座にエフェクトパーツや情景を盛り込み、作品の世界観やストーリー性を表現しているものが多いようです。例えば、日本の有名大型スタチューブランド「プライム1スタジオ」の製品は、そのほとんどがこのタイプのスタチューです。
プライム1スタジオから発売されているスタチュー商品『エヴァンゲリオン第13号機 CONCEPT BY JOSH NIZZI』 Image credit:PRIME 1 STUDIO

その巨大スタチューは「GK」じゃない!
近年、ネット通販などで「GK」と称される中国製の大型スタチューがよく見られます。安価でボリュームがあるように見え、造形も一定のクオリティに見えるかもしれませんが、購入ボタンを押すのは少し待ってください。これらの商品は無許諾の海賊版である可能性が非常に高く、そしてそもそも「GK」ではありません!
では、一体「ガレージキット(GK)」とは何なのでしょうか? 広義には、GKは模型の一つの生産形態を指します。大企業による量産品の模型とは対照的に、GKは原型師個人やサークルが製作した原型を、少量だけ複製して販売する商品のことです。最も一般的な製法は、シリコン型や真空成形などで作った型にレジンなどの素材を流し込む「キャスト」製法です。こうして出来上がったのが「GKキット」であり、パーツは基本的に単色成形です。組み立てから塗装まで、すべての工程を自分の手で行う必要があり、完成させるには相応の模型製作スキルが求められます。しかし、PVC製の量産フィギュアと比べて、GKは原型師の造形ディテールや、その彫刻技術、作風をより忠実に再現しているものが多く、高価でありながらも絶大な人気を誇る理由の一つとなっています。
B-CLUB製『MS少女F91 GIRL』のガレージキット。パーツがバラバラの状態で、すべて単色成形であることがわかります。 Image credit:駿河屋

ガレージキットのより詳しい解説や文化については、こちらの特集記事『「GK」って何? あなたのGKはGKじゃないかも? ガレージキットの本当の意味を解説!』をご覧ください。
騙されないで!「港版」は海賊版の代名詞!
海賊版といえば、「港版(こうはん)」という言葉に触れないわけにはいきません。もし販売されているフィギュアに「港版」と書かれており、パッケージは正規品とほぼ同じなのに価格が驚くほど安い場合、注意が必要です。泥棒が自ら「盗品です」と言わないのと同じで、香港の正規代理店版かと思いきや、実際には海賊版の代名詞なのです! これらの海賊版フィギュアは、正規品の製品画像を使って購入者を騙し、いざ商品が届いてみれば、多くは作りが粗悪な「邪神像」だった、というケースが後を絶ちません!
通販サイトに溢れる、無許諾の海賊版商品 Image credit:shopee

海賊版プライズの邪神像 Image credit:shopee

種類は千差万別!「カプセルトイ」の世界
玩具店や書店、時にはコンビニエンスストアなどで、ずらりと並んだカプセルトイ(ガチャガチャ、ガシャポン)の販売機を見かけたことがあるでしょう。カプセルトイは、数ある玩具の中でも比較的手に取りやすいアイテムで、通常は数百円で楽しむことができます。ハンドルを回す行為そのものの楽しさに加え、何が出てくるかわからないワクワク感も大きな魅力です。カプセルトイは「カプセル」に収める必要があるため、サイズはこぶし大より小さいものがほとんどですが、「小さいから大したものはない」と侮ってはいけません。例えば、日本のブランド「パンダの穴」は、精巧でクリエイティブな人気商品を数多く展開しています。また、カプセルに収まりさえすれば何でも商品になるのもカプセルトイの特徴で、フィギュアや模型から、日用雑貨、3Cパーツまで、その種類は多岐にわたり、掘り出し物を見つける楽しさもあります。
ずらりと並んだカプセルトイのマシン Image credit:Facebook navi

「食玩」からお菓子がなくなると「コレクショントイ」?
食玩やコレクショントイも、カプセルトイと似たようなサイズの玩具です。食玩とはその名の通り「食品と玩具」がセットになった商品のこと。子供の頃に親しんだキンダーサプライズや、森永のチョコボールなども食玩の一種です。一方、コレクショントイは、お菓子が付属しない「箱入りの玩具」と考えることができます。一つのシリーズで数種類のアイテムがラインナップされているのが一般的ですが、その多くは箱を開けるまで中身がわからないブラインドボックス仕様となっています。
1980年代に発売された森永製菓のガンダム食玩。当時の価格はわずか100円でした。 Image credit:gundam-morinaga

かつての食玩は、あくまで食品がメインで、付属する玩具は簡単な作りのものがほとんどでした。価格も数十円程度で、お小遣いを握りしめた子供たちが主なターゲットでした。しかし、ここ20年ほどで食玩は大人のホビー市場にも進出。食品の存在感は薄れ、小さなガムが1個だけといった商品も珍しくなくなり、その一方で玩具はますます精巧になっています。ミニサイズの完成品フィギュアから、可動フィギュア、組み立て式のプラキットまで、その種類は多岐にわたり、価格も大人が満足するクオリティに見合ったものへと変化しています。
バンダイの食玩「ガオキング」の新旧比較。新版はよりシャープで精巧な造形に進化しており、全種集めるには5,000円以上が必要となります。 Image credit:BANDAI CANDY STAFF BLOG

リーメントも、精巧で可愛らしい食玩を数多く展開しています。 Image credit:RE-MENT

「景品」=フィギュア、ではありません! 言葉の誤用に注意
「景品(けいひん)」とは、その名の通り「賞品(PRIZE)」を指す言葉で、主にゲームセンターなどのアミューズメント施設専用に展開されるアイテムです。一般の店舗で現金で購入するのではなく、クレーンゲームなどのプライズゲーム機をプレイして獲得します。景品フィギュアは、サイズや造形、塗装の精巧さにおいて一般販売のフィギュアに及ばない場合が多いですが、時としてそれらを凌駕するほどの傑作が登場することもあります。また、景品はフィギュアや玩具に限りません。ゲーム機で手に入る生活雑貨や3C小物などもすべて景品に含まれるため、「景品」という言葉をフィギュア全般の呼称として使うのは誤りです。
景品に関するより詳しい解説は、以前の特集記事『いわゆる「プライズ」って何?「一番くじ」との違いは?』をご覧ください。
ゲームセンターのクレーンゲームには、様々な人気景品が並びます。 Image credit:Yahoo!JAPAN

「一番くじ」だけじゃない! 多彩なキャラクターくじの世界
「一番くじ」は、株式会社BANDAI SPIRITS(旧バンプレスト)が2003年から展開しているキャラクターくじです。1回680円~850円程度の価格で挑戦でき、その最大の特徴は「ハズレなしで、必ずいずれかの賞が当たる」こと。景品には、キャラクターフィギュアやぬいぐるみ、美麗なイラストボードのほか、作品やキャラクターをモチーフにした生活雑貨、文房具、デジタルグッズなど、非常に幅広いラインナップが用意されています。
BANDAI SPIRITSが展開する『一番くじ』ブランド。 Image credit:一番くじ

『一番くじ』の詳しいルールや楽しみ方については、特集記事「「一番くじ」って何? ダブルチャンスキャンペーンの参加方法は?」でご紹介しています。
しかし、こうしたキャラクターくじは「一番くじ」だけではありません。セガの「ラッキーくじ」、タイトーの「タイトーくじ本舗」、フリューの「みんなのくじ」など、各社がそれぞれ独自の魅力的な賞品を揃えたくじを展開しています。
「一番くじ」のほかにも、多くの日本のメーカーから同様のくじ形式の商品が発売されています。 Image credit:みんなのくじ【フリュー公式】

どんなポーズも思いのまま!大人気の「アクションフィギュア」
アクションフィギュア(ACTION FIGURE)とは、その名の通り「可動関節を備えた模型玩具」のことです。怪獣やロボットなどが主なテーマですが、その中でも人型のキャラクターは特に「可動フィギュア」と呼ばれます。また、可動素体に布製の衣装を着せた「ドール(DOLL)」も広義ではアクションフィギュアの一種ですが、通常は別のカテゴリーとして扱われることが多いです。主流のサイズは1/12スケールと1/6スケールで、現在の技術では全身の関節が可動するモデルが基本となっています。バンダイのS.H.FiguartsやS.H.MonsterArts、マックスファクトリーのfigma、海洋堂のリボルテック、ホットトイズなどが代表的なブランドとして知られています。
figmaシリーズは独自の関節パーツを採用し、優れた可動域を実現しています。 Image credit:GOOD SMILE COMPANY

ホットトイズのアクションフィギュアは関節パーツが巧みに隠されており、よりリアルな造形となっています。 Image credit:HOT TOYS

自分の手で作り上げる楽しさ!「組立て式模型」
「組立て式模型」は、一般的に「プラモデル(プラスチックモデル)」として知られています。プラスチックの射出成形技術を用いてパーツが作られており、商品はパーツが配置された「ランナー」と呼ばれる枠の状態でパッケージングされています。通常はニッパーでパーツを切り出し、ゲート跡を処理してから一つひとつ組み上げていきます。バンダイが展開するガンダムのプラモデル「ガンプラ」は、その代表格として最も有名です。半世紀ほど前の黎明期には、現在のような精密なスナップフィット(はめ込み式)や多色成形技術はなく、パーツは単色成形が基本で塗装が必須でした。また、パーツ同士の接着には模型用接着剤が必要で、製作にはかなりの手間がかかりました。それに比べ、現在のキットは手でパーツを外せるものまであり、豊かな色分けで塗装せずともイメージに近い仕上がりになるなど、技術は飛躍的に進歩しています。業界のトップを走るバンダイはもちろん、コトブキヤやグッドスマイルカンパニーといったメーカーの製品も非常にクオリティが高く、組み立ての難易度も低いため、初心者でも完成させたときの達成感を存分に味わうことができます。また、模型製作のスキルを持つ上級者は、「改造のしやすさ」という特性を活かして、自由な発想でオリジナル作品を生み出すことも可能です。
MODEROID新作『ダイナゼノン』のランナーパーツ。 Image credit:GOOD SMILE COMPANY

コトブキヤが展開する美少女プラモデルの最新作『アルカナディア ルミティア』。 Image credit:KOTOBUKIYA

「合金トイ」はどんな金属製?全部カチカチなの?
合金トイとは、パーツに合金を使用した完成品トイのことで、主にロボットや鎧をまとったキャラクターが商品化されます。合金パーツには、一般的に成形精度が高い亜鉛合金がダイキャスト(Die-casting)製法で用いられます。これにより、シャープな造形を忠実に再現できるだけでなく、プラスチックにはない強度とズッシリとした重量感が生まれ、手にしたときの満足感を高めてくれます。基本的に、一部でも合金パーツが使われていれば「合金トイ」と呼ぶことができます。もちろん、ほとんどの商品はごく一部だけというわけではありませんが、コストや重量バランスを考慮して、全身が金属でできているわけではありません。バンダイの代表的なシリーズである「超合金魂」や「METAL BUILD」を例に挙げると、主に内部フレームや足首、一部の装甲などに合金パーツが効果的に使用されており、プラスチック製モデルとは一味違った、独特の感触が楽しめます。ただし注意点として、合金製・プラスチック製を問わず、関節を動かすことでパーツは摩耗します。そのため、繰り返し動かして遊んでいると、関節が緩くなってしまうことがあります。
バンダイ METAL ROBOT魂シリーズにおける合金パーツの使用箇所 Image credit:魂ウェブ

バンダイの人気合金トイ『METAL BUILD エヴァンゲリオン初号機』 Image credit:魂ウェブ

「ブリスターパック」はパッケージの一種!
ハズブロをはじめとする欧米メーカーの製品でよく見られる「ブリスターパック」。言葉だけではどんな玩具か想像しにくいかもしれませんが、これは玩具そのものではなくパッケージの形式を指しています。最も一般的なのは、商品を固定する透明なプラスチック製のカバー(ブリスター)と、商品情報が印刷されフック穴の開いたボール紙の台紙で構成されるもの。中には主に、無可動または可動式のキャラクターフィギュアが収められています。このパッケージ形式は1980~90年代に全盛期を迎え、商品内容が一目でわかり、量販店のフックに大量に陳列しやすいという利点から、アメリカのトイ文化を象徴するスタイルとなりました。そのためコレクターは、この台紙のコンディションを非常に重視しています。
店頭のフックに陳列されたアメリカントイのブリスターパック Image credit:garimpeiro-toys

ここまで読んで、様々な玩具用語への理解が深まったのではないでしょうか。さらに詳しく知りたい方は、特集コーナー「トイ・ナレッジ」もぜひチェックしてみてください!