海洋堂 × Zu and Pi 陋室五月『嘆きの星河シリーズ 第4弾 カフカの月光曲』開封レビュー!細密さを極めた、手のひらの芸術と呼ぶべきトレーディングフィギュア!

大手メーカーが様々なアイテムをリリースするトレーディングフィギュアの世界。近年では、多くのデザイナーズトイ作家もこのフォーマットで自身の代表キャラクターを発表しています。その中でも、細密な造形と独特のテーマ性で際立った存在感を放つのが、香港のデザインスタジオ「[[OBJ_3707]]Zu and Pi 陋室五月」です。今回は、日本の老舗メーカー「海洋堂」と再びタッグを組んで贈る最新作、『嘆きの星河シリーズ 第4弾 カフカの月光曲』を撮り下ろしレビューでご紹介します!

陋室五月の主宰であるSteven Choi氏がデザインを手掛ける、詩情あふれる「嘆きの星河シリーズ」。これまでのシリーズでは、第2弾の「パズル」や第3弾の「折り紙」といった、フィギュア本体以外のサプライズも魅力でした。しかし今回の第4弾では、その情熱のすべてがフィギュア本体に注ぎ込まれ、「生命」をテーマに過去作を凌駕するほどの細密さを実現しています!さらに、ミニチュアアートと呼ぶにふさわしいシークレットも存在。今回は通常版の「カフカの月光曲」BOXを開封。ノーマル8種+シークレット1種の全9種構成となっています。それでは、早速見ていきましょう。

▼ デザインのこだわりが詰まった美しいパッケージボックス。

▼ 天面と側面には全ラインナップのイラストがプリントされています。

▼ これまで同様、高級感のある部分光沢加工に加え、青い文字にはきらめくラメが混ぜ込まれています。

▼ 蓋を開けると、恒例の美しいイラストが迎えてくれます。

▼ 個別の小箱のデザイン一覧です。

▼ BOXと同じテイストのイラストが本当に美しいです。

▼ 内容物は、ブリスターで丁寧に保護されたフィギュア本体、ウェイトコイン、そして番号が記されたレコードです。

▼ 今回、ピンバッジ形式で製作されたウェイトコインは3種類。
タイプライター - 人生はタイプライターのようだ。どんな打ち間違いをするか、誰にもわからない。
時のトランク - 記憶の背後にはトランクがあり、そこには人々に与えられた忘却が詰まっている。
迷宮の帽子 - 人生は迷宮だ。どんな決断も、出口になりうる。

▼ レコードのパッケージを裏返すと、著名な作家「フランツ・カフカ」の名言が記されています。

1. Elephant's tears(象の涙)

まずは、ぴったりと寄り添う象とアPi。アPiが穏やかに音楽を奏でる傍らで、象の目からは一粒の涙が。この幸せな時が永遠ではないこと、そして流浪の民であるアPiがいつか去ってしまうことを知っているからでしょうか。

▼ 地面に伏せたポーズによって折れ曲がった耳がとてもキュートです!

2. Fix me(水中の月)

自分だけの個性を追い求める一方で、誰もが迷いや困難に直面します。しかし、時がどれだけ流れようとも、大切にすべき美しい記憶は残しておくべきです。この作品では、無数の数字が書かれた透明な布が、まるで私たちの人生の断片のよう。時折取り出しては思い出に浸り、思わず笑みがこぼれる。存分に味わったら、また優しく畳んで大切にしまっておくのです。

▼ クリアパーツの美しさは格別です。

3. Now is good(相合い傘)

「愛とは、お互いを見つめ合うことではなく、ともに同じ方向を見つめることである」。『星の王子さま』の作者サン=テグジュペリの『人間の土地』にある一節です。本作「カフカの月光曲」のラインナップの中で、個人的に最も可愛いと感じたのがこちら。寄り添う二人の小白(シャオバイ)と、花びらが舞うピンク色の傘。まるで、この美しい瞬間から離れがたくて、ずっとここに座っているかのようです。

4. Loneliness(暗闇が怖い物語)

デザイナーのSteven氏にとって、過去の悲しい記憶が蘇ることは、まるで暗闇に落ちていくような感覚だといいます。しかしこの作品からは、暗闇を恐れながらも誰かを守ろうとする温かさが感じられます。

▼ 小黒(シャオヘイ)の体の中には、一隻の船が隠されています。

5. Every cloud has a silver lining(0と1の間)

誰しも、深く傷つき、暗闇に沈むような失意を経験します。しかし、勇気さえあれば、本来進むべき道を取り戻せるはず。この小白の姿は、ピンク色のマフラーのせいか、どこか星の王子さまを彷彿とさせます。全体は割れた電球のようにも見えますが、角度を変えれば、澄んだ夜空を切り裂く流星のようにも。見るほどに詩的な魅力が増す作品です。小白は、壊れた電球の中から新たな可能性を探しているのかもしれません。

▼ このモデルにはコンパスが付属するバージョンもあるようですが、今回のレビュー品には含まれていませんでした。

6. The garden of sorrows(悲しみの誕生)

Steven氏はかつて「風立ちぬ(風起)」という大型彫刻を制作しました。今回の「悲しみの誕生」は、その作品をスケールダウンして再び登場させたものと言えるでしょう。作品名は、彫刻発表時の詩「風が立つ時…いつも挫折や、世の移ろいが、人を憂鬱にさせる」という一節を思い起こさせます。カラフルで独創的な色使いは、いつまで見ていても飽きることがありません。

7. The end of all our exploring(薔薇の名前)

いつもクールな猫伯爵が、今回は神獣の背に乗り、口に花をくわえて颯爽と登場!コートにあしらわれた時計のモチーフや、台座の惑星が、時空を超えた幻想的な雰囲気を醸し出しています。

▼ 後ろ足のグラデーション塗装も見事です。

8. Nesnesitelná lehkost bytí(生命の重さ)

この「嘆きの星河の大神」は、2021年9月から10月にかけて、台北のギャラリー「[[OBJ_3287]]靠邊走藝術空間」にて絵画作品として発表されました。今回、これほどまでに緻密な造形と複雑な工程を経て立体化されたことには、レビュー担当者だけでなく、デザイナーのSteven氏自身も「実現は不可能だと思っていた」と語るほど。優雅な立ち姿、衣装の自然な浮遊感、そして足元で渦巻く波しぶき。そのすべてが息をのむほど美しい仕上がりです。

「Nesnesitelná lehkost bytí」はチェコ語で「存在の耐えられない軽さ」を意味し、チェコ出身のフランスの作家ミラン・クンデラが1984年に発表した同名の小説の原題です。

9. secret(シークレット、星の流浪曲)

漂泊は心の赴くままに。流浪は自分だけの星を追い求めるため。「友情」こそが、宇宙で最も偉大な力!Steven氏がかつて描き、台北のギャラリーでも展示された「アPiと友人たちの船出」のイラスト。作家にとって非常に思い入れの深いこの作品が、今回「カフカの月光曲」のシークレットとして登場しました。その魅力はファンの皆さんにとっても格別なはず。重層的な塗装、圧倒的な造形密度、そしてずっしりとしたボリューム感。まさに「嘆きの星河」シリーズ史上、最強のシークレットと言えるでしょう。

▼ なんと、底面を回すとオルゴールが!流れるのは『千と千尋の神隠し』のエンディングテーマです。

▼ シンプルに飾るだけでも、その魅力に引き込まれます。

▼ ジオラマと組み合わせれば、さらに幻想的な雰囲気が増します。

嘆きの星河シリーズ 第4弾 カフカの月光曲

Wrong Gallery Taipei 靠邊走藝術空間にて販売、価格は3400台湾ドル/セット

1セット8種入り、シークレットはランダムで封入、全9種