ラーメン好きの皆さんに、ちょっとショッキングなニュースです。国民食ともいえるラーメンですが、今、その専門店がかつてない苦境に立たされているのをご存知でしょうか。
東京商工リサーチの調査によると、2024年上半期(1~6月)のラーメン店の倒産件数が、なんと25件に達したとのこと。過去最多を記録した前年同期の33件よりは減少したものの、依然として過去2番目の高水準という厳しい状況が続いています。日本メディアのITmediaもこの現象を取り上げ、ラーメン市場の過酷な現状を伝えています。

倒産の主な原因は、やはり「販売不振」。その背景には、円安などによる原材料費の高騰、さらに人件費や光熱費の上昇といった、店主たちの努力だけではどうにもならないコスト増があります。しかし、値上げすれば客足が遠のくかもしれない…そんなジレンマから価格転嫁に踏み切れず、苦しい経営を強いられているお店が少なくないのです。

しかし、苦境の原因はコスト高だけではありません。ラーメン専門店にとって、今やライバルは同業者だけではないのです。なんと、回転寿司チェーンや居酒屋、ファミリーレストラン、果てはコンビニや自動販売機までがラーメン市場に参入し、まさに“異業種格闘技戦”の様相を呈しています。
しかも厄介なことに、これらの「非専門店」が提供するラーメンは、有名店が監修した本格的なものが多く、クオリティも侮れません。物珍しさも手伝って多くの客がそちらに流れ、街のラーメン店はますます厳しい戦いを強いられているのです。
▼ コンビニでは、有名店とコラボしたチルド麺などが定番商品になっていますよね。


例えば、「スシロー」「はま寿司」「くら寿司」「かっぱ寿司」といった大手回転寿司チェーンでは、今やラーメンは定番のサイドメニュー。お寿司だけでなく、そばやうどん、デザート、コーヒーまで揃い、もはや“総合和食レストラン”と化しています。
彼らの狙いは明確です。主力商品である寿司は価格競争が激しく値上げが難しい一方、サイドメニューのラーメンは比較的高めの価格設定が可能で、利益率も高い。そのため、各社こぞってラーメンのラインナップを強化しているのです。
▼ スシローも有名店とのコラボラーメンを期間限定で提供するなど、力を入れています。

▼ 中でも、かっぱ寿司は特にラーメンに力を入れているチェーンの一つで、豊富なバリエーションと頻繁な期間限定メニューの投入で知られています。

では、なぜラーメンの専門ではないチェーン店が、専門店に引けを取らない一杯を提供できるのでしょうか?その秘密は、冷凍・冷蔵技術の進化にあります。スープや麺、チャーシューといった主要なパーツを工場で一括生産(セントラルキッチン方式)し、急速冷凍して各店舗に配送。店舗では簡単な調理・盛り付けだけで、安定したクオリティのラーメンを提供できるというわけです。
もう一つの大きな転機が、数年前のコロナ禍です。多くのラーメン専門店が時短営業や休業を余儀なくされる中、逆に大手チェーンやコンビニは、客足と売上を取り戻すべくラーメン商品の開発に注力。有名店とのコラボで話題性を生み出し、着々とファンを増やしていきました。その結果、客層が大きくシフトし、もともと固定ファンを持つ一部の有名店を除き、多くの個人経営店は顧客を奪われる形となったのです。今や、大手企業とコラボできるような一部の「強者」だけが生き残り、その他多くの小規模店が淘汰されていく…そんな厳しい現実が広がっています。

もちろん、ラーメンは日本の食文化を代表する花形。新しいお店がオープンすれば、一方で閉店するお店があるのも自然な新陳代謝と言えるでしょう。
しかし、今回の異業種からの参入という大きな波は、これまでの競争とは質が違うのかもしれません。手軽に食べられるチェーン店やコンビニのラーメンも魅力的ですが、一杯に魂を込める街のラーメン店の味も守り続けたいもの。皆さんも、今度のお休みには、お気に入りのラーメン店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
via: ITmedia