「『パズドラ』以外、何も生み出していない」ガンホー社長に株主が解任要求。「一発屋」と経営手腕を痛烈批判し臨時株主総会の開催を請求

『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)や『サモンズボード』、『ケリ姫スイーツ』といった人気スマホゲームを開発・運営し、PCオンラインゲーム『ラグナロクオンライン』の国内運営でも知られるガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下、ガンホー)。安定した収益を上げている一方で、近年の業績停滞を受け、投資家から厳しい目が向けられていました。

そんな中、7月23日、ガンホーの株主であるINTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITED(JAPAN-UPを代表)と株式会社ストラテジックキャピタルが共同で、臨時株主総会の開催を請求。さらに、現代表取締役社長である森下一喜氏の取締役解任を求める株主提案を行うことを発表し、ゲームファンの間でも大きな話題となっています。

今回、解任案を提出した2社は、合計でガンホーの株式約8%を保有。両社が指摘するのは、同業他社(カプコン、任天堂、コナミグループなど6社)との株価パフォーマンスの著しい格差です。競合他社の株価が過去10年間で258%から1780%もの上昇を見せる中、ガンホーの株価は約35%も下落しており、業績も低迷が続いていると厳しく指摘しています。

この状況を受け、「代表取締役社長である森下氏は、深刻な経営不振と株価の低迷の責任を負うべきである」と主張しています。

▼ストラテジックキャピタルが公開した臨時株主総会招集請求に関するお知らせ

株主側はさらに、ガンホーが2012年に『パズル&ドラゴンズ』をリリースして以来、13年近くにわたって第二の柱となるヒット作を生み出せていない点を問題視。「一発屋」と揶揄される状況にあると断じています。その間も新規タイトルの開発は行われたものの、そのほとんどが短命に終わり、多額の資金を投じながらも成果に繋がっていないと批判しています。

この停滞の原因として、森下社長個人に開発の権限が集中しているにもかかわらず、ヒット作を生み出せていない経営体制を挙げています。このようなパフォーマンスでは投資家が納得できるはずもありません。さらに、業績が振るわない一方で、森下社長の役員報酬が過去10年間で2億1,100万円から3億2,900万円に増加していることも指摘。「森下氏は取締役として不適格であり、代表取締役社長としての自覚にも欠けている」と痛烈に批判しています。

ストラテジックキャピタルは今後、特設サイトを開設し、今回の提案に関する詳細な背景や考えを公開。他の株主に対しても、解任案への賛同を呼びかけていく方針です。

この臨時株主総会の開催請求に対し、ガンホー側は「内容を慎重に検討する」としており、現時点では正式なコメントを発表していません。

株主が危機感を募らせる背景には、ガンホーが約1,400億円もの莫大な現預金を保有していることもあります。今後10年間、新作が全くヒットしなくても会社が存続できてしまうほどの内部留保が、結果として経営の「ぬるま湯」体質を生み、挑戦的な開発を妨げているのではないか、というわけです。これが、株主から「やる気がない」と批判される一因にもなっています。

とはいえ、単一のヒット作への過度な依存は、ゲーム業界全体が抱える構造的な問題であり、ガンホーだけの話ではありません。ただ、家庭用ゲーム機向けに定期的にシリーズ作品をリリースできる大手他社と異なり、ガンホーのような企業は常に新しいIPを創出し続けなければならない宿命を背負っています。しかし、ご存知の通りゲーム開発は成功率の低いハイリスクな事業。一本でも歴史に残るタイトルを生み出すこと自体が、いかに困難であるかは言うまでもありません。

▼ガンホーは今年も『パズドラ』の派生タイトルをリリースしていますが、その評価はこれからといったところです。

今回の一件は、業界関係者だけでなく、多くのプレイヤーにとってもガンホーが抱える『パズドラ』への依存体質や、企業統治(ガバナンス)の問題を改めて考えるきっかけとなりました。特に最近の『パズドラ』は、ゲームデザインの進化やコラボ企画のマンネリ化に対してユーザーからの不満も噴出。トッププレイヤーや有名YouTuberの引退宣言も相次いでおり、今後の動向に不安を覚える声も少なくありません。

▼X(旧Twitter)で『パズドラ』の編成を紹介していたトッププレイヤーの「あげぱん」氏も、昨日(7月23日)、アカウント削除による引退を表明し、多くのファンに衝撃を与えました。


via: Strategic Capital GungHo