「人生そのもの」とまで評される不朽の名作RPG『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』。主人公の誕生から結婚、そして親子三代にわたる壮大な物語は、多くのプレイヤーの心に深く刻み込まれていますよね。
そんな中、漫画家の柴田亜美先生がX(旧Twitter)に投稿した、『ドラゴンクエスト4コママンガ劇場』執筆時の裏話が話題に。特に、ヒロインの一人であるビアンカの“悲しい設定”に言及したことで、多くの古参ファンから「思い出が蘇る…!」との声が上がっています。

柴田先生は、かつて一世を風靡した『ドラゴンクエスト』の4コマ漫画の初期メンバーの一人。現在、10月30日に発売予定の新刊『勇者鬥惡龍四格漫畫劇場 ニセ勇者本』を制作中とのこと。しかし、今回の担当編集者はRPGに疎く、なんと『ドラクエ』シリーズ未経験者!そのため、ネタの背景をいちいち説明しながら原稿を渡すという、「地獄のような作業」になっているとユーモラスに語りました。

そして、ビアンカに関するネームを提出した際、担当編集者に“花嫁に選ばれなかった場合”の彼女の境遇を説明したそうです。先生いわく、「もし主人公がビアンカを奥さんに選ばないと、彼女はずっと山奥で、血の繋がらない病弱な養父の面倒を見ながら暮らすことになる」とのこと。これには先生自身も「心から悲しい」ネタだと感じていたようです。
ご存知の通り、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』では、物語の途中で結婚相手を選ぶ重大な決断を迫られます。一人は、幼い頃から主人公と共に冒険した幼なじみのビアンカ。ちょっぴりお姉さんで、快活な性格と強い正義感の持ち主です。主人公への想いは一途で、たとえ選ばれなかったとしても、生涯独身を貫くという健気さも……。
そしてもう一人が、大富豪の娘であるフローラ。修道院で育った淑やかで品のある女性で、父親から結婚を勧められる中で主人公と出会い、惹かれていきます。もし主人公が彼女を選ばなかった場合、フローラは幼なじみのアンディと結ばれることになります。

そう、ゲームのシナリオ上、フローラを花嫁に選ぶと、ビアンカは山奥の村で養父と暮らし、再婚することなく生涯を終えるのです。このあまりにも切ない展開は、当時プレイヤーの間で大きな議論を巻き起こし、今なおシリーズ史上“最も過酷な選択”の一つとして語り継がれています。
柴田先生の投稿には、当時のプレイヤーたちから共感の声が殺到。「フローラを選んだ後、罪悪感でアルカパの町(ビアンカの故郷)に立ち寄れなかった…」「ビアンカが不憫すぎて……!」「だから俺は毎回ビアンカ一択。フローラにはアンディがいるからね」「昔、フローラを選ぶとビアンカの家の裏に墓が立つっていう都市伝説、あったよな…」など、当時の葛藤を思い出すコメントで溢れました。

これらの反応は、発売から長い年月が経った今でも、ビアンカというキャラクターがどれだけプレイヤーの心に深く、そして複雑な爪痕を残しているかを物語っています。
この“究極の選択”がいかにプレイヤーにとって重大な問題であったかは、2023年に就任したスクウェア・エニックスの桐生隆司社長が、初の株主総会で株主から「社長はどちらを選びますか?」と質問されたというエピソードからも伺えます(笑)。改めて、往年の名作が持つシナリオの重みを感じさせられますね。