最近、ゲーマーコミュニティで大きな波紋を呼んでいる「アダルトゲームの販売停止」問題。この件について、Steamやitch.ioは決済サービス会社からの圧力があったことを認めており、その背景にはオーストラリアの人権団体「Collective Shout」による、性的暴行や女性への拷問を描写するコンテンツへの通報があったことが明らかになっています。
そんな中、Steamの親会社であるValveは、海外メディアPC Gamerを通じて声明を発表。昨今の状況について説明し、クレジットカード会社との現在の関係性を明らかにしました。

Valveの説明によると、Mastercardに直接コンタクトを試みたものの拒否され、最終的には決済代行業者や銀行を通じてメッセージを伝えるしかなかったとのこと。また、決済サービス会社側がMastercardの規約「第5.12.7条」を引用していることにも言及。この規約は、プラットフォームがブランドイメージを損なう可能性のある取引を処理することを禁じています。
禁止されているコンテンツには、以下のようなものが含まれます。
著しく攻撃的または不快なコンテンツ
同意のない性的行為
未成年者の性的搾取
同意のない身体の切断
獣姦などの違法または過激なコンテンツ
プラットフォームがこれらの規約に違反した場合、決済サービスの利用停止だけでなく、罰金が科される可能性もあるとのこと。Valveはこれにより、Mastercardの規約が影響していることを事実上認めた形です。


この騒動の渦中、クレジットカード会社の Mastercard は8月1日、公式サイトで「ゲームコンテンツに関する最近の報道について」と題した声明を発表しました。名指しこそ避けているものの、今回のアダルトゲーム販売停止騒動を受けたものであることは明らかです。
Mastercardは、ゲーム内容の評価には関与しておらず、プラットフォームに対していかなるコンテンツ制限も課していないと説明。同社のスタンスは「コンテンツが『合法的』である限り、クレジットカードでの支払いを許可する」というものです。ただし、「販売者自身が、取引に違法なアダルトコンテンツが含まれていないことを保証する責任を負う」とも強調しており、ネット上で囁かれていた「黒幕はカード会社」という噂を否定する内容となっています。
他のプラットフォームとは一線を画し、CD PROJEKT傘下のGOGは8月2日、「FreedomToBuy」キャンペーンを開始。表現の自由を掲げ、検閲に対抗する姿勢を鮮明にしました。このキャンペーンでは、13本のアダルトゲームが全世界のプレイヤーに無料配布され、48時間の期間限定にもかかわらず100万人以上が受け取るなど、今回の騒動に対する抗議のアクションとして注目を集めています。

今回の人権団体の動きを発端として、一部のクレジットカード会社がプラットフォームに「特定コンテンツの制限」を要求したことに対し、ネットユーザーからは「事実上の検閲ではないか」「カード会社による表現規制だ」といった疑念や批判の声が上がっています。日本のゲームファンにとってもこの状況は他人事ではなく、過去にDLsiteやメロンブックスなどが同様にクレジットカード会社から制限を受けた経緯もあり、苦い経験を持つユーザーも少なくありません。

実際、こうした問題は日本国内でも以前から発生していました。2024年頃から、日本の同人誌や同人ゲームの販売プラットフォームがクレジットカード会社のポリシー変更の影響を受け、大きな議論を巻き起こしたことは記憶に新しいでしょう。そして今回、世界最大級のゲームプラットフォームであるSteamまでもが巻き込まれたことで、この問題は世界的な騒動へと発展したのです。
via: PC Gamer