大場つぐみ先生(原作)、小畑健先生(作画)による大人気マンガ『バクマン。』が、現在「少年ジャンプ+」にて全話無料公開され、2010年代に一世を風靡した本作を多くのファンが懐かしく読み返しています。
しかし、連載開始から十数年が経った今、改めて読み返してみると、作中で描かれるマンガ業界の常識が現代とは大きく異なっていることに気づかされます。ネット上では、もはや「旧時代の象徴」とまで言われるその内容が、大きな話題を呼んでいるようです。
あるX(旧Twitter)ユーザーが特に「旧時代的だ」と指摘したのは、天才マンガ家・新妻エイジが繰り広げた「自分の好きなマンガを終わらせないための人気投票対決」のエピソードです。
当時は「ジャンプ編集部の日常」として描かれていたこの展開も、今となってはかなり大げさに感じられます。「今のジャンプは、あの『鬼滅の刃』ですら作者が望むタイミングで綺麗に完結させられる」と指摘し、「今の感覚で見ると、キャラクターたちが一体何のためにあんなに必死になっていたのか…と思ってしまう」と語っています。

確かに、かつての「週刊少年ジャンプ」といえば、超人気作品は読者の声に応える形で「引き伸ばし」とも言える長期連載になるのが当たり前、というイメージがありました。稼ぎ頭の作品をそう簡単には終わらせない、という商業的な戦略が見え隠れしていましたよね。
しかし、近年その風潮は大きく変化。『暗殺教室』、『鬼滅の刃』、『呪術廻戦』、『チェンソーマン』といった大ヒット作が、人気絶頂のタイミングで作者の構想通りに完結。その後はアニメやグッズ展開で人気を継続させるスタイルが主流になっています。

一部のファンからは、『バクマン。』の物語は当時の連載競争をデフォルメして描いてはいるものの、結果的に読者や業界に「作者が終わりたいタイミングを尊重する」という意識を根付かせたのではないか、という意見も。まさにマンガ界の分水嶺、『バクマン。』以前と以後で空気が変わった、と分析する声もあります。
しかし皮肉なことに、『バクマン。』がもたらしたかもしれない変化によって、作中で描かれるマンガ観そのものが「時代遅れ」になってしまった、とも言えるのかもしれません。現代のマンガ業界は、当時とは全く違う景色になっているのです。

今や「ジャンプ」で無理な引き伸ばしが行われることは稀になりましたが、その一方で新たな現象も生まれています。それは、アニメのクオリティや制作期間が向上した結果、アニメ放送開始時には原作マンガがすでに完結間近、あるいは完結済みというケースが増えていることです。
また、2004年に連載が始まった『銀魂』以降、「ジャンプ」作品で50巻を超えるものは少なくなり、現代の長編マンガは30巻から40巻台で完結するケースが多くなっています。例えば『呪術廻戦』や『僕のヒーローアカデミア』なども、この「ちょうどいい長さ」で物語を締めくくるのではないかと見られています。

もちろん、これらはあくまでネット上の一意見であり、『バクマン。』が本当に業界を変えた直接の原因ではないかもしれません。それでも、今改めて作中の熾烈なアンケート競争や、新妻エイジが叫んだ「僕がジャンプで一番の人気作家になったら 僕の嫌いなマンガをひとつ終わらせる権利をください」という名ゼリフを振り返ると、当時とはまた違った感慨が湧いてきますね。
via: togetter