「『ドラえもん』、欧米ではウケない」は間違いだった? イタリアやスペインで絶大な人気を誇る理由を考察したツイートが話題に

藤子・F・不二雄先生による国民的まんが『ドラえもん』。多くの人にとって子供時代の思い出の一つであり、原作はもちろん、現在も続くテレビアニメや毎年の劇場版も大ヒットを記録するなど、その魅力は今なお色褪せません。

そんな『ドラえもん』ですが、最近X(旧Twitter)で「欧米圏での人気ってどうなの?」という疑問が話題に。アジアに比べるとファンが少ない印象があるこの疑問に対し、あるユーザーが「『欧米で人気がない』と一括りにはできない。国によって大きな差があるんです」と解説し、大きな注目を集めています。

話題の投稿によると、ヨーロッパの中でもイタリア、ポルトガル、スペインといった南欧諸国では『ドラえもん』は非常に人気が高い作品なのだとか。一方で、人気に大きな差が出るのがドイツ語圏などのゲルマン文化圏で、これらの国々ではあまり関心を持たれていないそうです。

投稿者はその理由を政治・経済・文化の観点から分析。南欧諸国はかつて経済発展が比較的緩やかだったため、テレビ局が「安価で高品質」な日本のアニメを大量に買い付け、子供向けに放送する傾向があったと指摘します。特にスペインやポルトガルは、長期的な独裁政権の影響でテレビの民営化が遅れ、海外からの輸入アニメへの依存度が高かったとのこと。対照的に、イギリス、アメリカ、ドイツ語圏は自国でアニメを制作する能力が高く『ドラえもん』のような子供向け作品を輸入する必要性が低かったようです。

ゲルマン文化圏で『ドラえもん』が根付かなかったもう一つの理由として、宗教的な背景が挙げられています。これらの地域はプロテスタントの国が多く、印刷技術と聖書の普及により、古くから『グリム童話』のような子供向けの読み物や童話が非常に充実していました

このため、子供向けのコンテンツは自給自足が可能で、海外のカートゥーンに頼る必要がなかったのです。さらに、保護者が「教育的価値」を非常に重視する文化も影響しているとのこと。のび太のような「すぐに逃げ出して、他力本願」なキャラクターは、「子供が手本にすべきではない」と見なされがちで、保護者が積極的に子供に見せようとは考えにくいのかもしれません。

そして最大の要因は、文化的な価値観の違いです。ゲルマン文化圏では「独立」「勤勉」「努力」といった価値観が重んじられますが、のび太はまさに「ドラえもんに依存し、努力から逃げる」キャラクターの代表格。この性格は、アジアやラテン文化圏では「コミカルで愛すべき欠点」として受け入れられますが、ドイツやイギリスなどでは「意気地なし」「怠け者」と解釈されやすいのです。自分で作品を選ぶ年齢の子供向けとは異なり、幼児向けの作品は特に「親に好かれる」ことが重要になってきます

このような文化的なギャップは、ユーモアのセンスの違いにも繋がります。アジア的なスタイルのギャグは、現地の童話などに慣れ親しんだ視聴者には、必ずしもすんなりとは受け入れられないのかもしれません。

一方で、イタリアでの人気はまさに「爆発的」だったという声も。あるユーザーによれば、2000年代のイタリアでは、「最も有名な日本人」はのび太だった、なんて話もあるほど。

イタリアのベルルスコーニ元首相が(安価だったという理由で)日本のアニメやテレビ番組を大量に輸入したことも、現地のオタク文化の普及を後押ししたようです。ちなみにスペインでは、ジャイアンが「Jaguar(ジャガー)」という、なんだかカッコいい名前に改名されていたという面白いエピソードも。

実は『ドラえもん』は、これまで何度も英語圏への進出を試みています。1980年代にはアメリカでの放送が計画されましたが、実現には至りませんでした。1990年代にはイギリスのMTVで「パロディ風」の吹き替え版が作られたものの、すぐに放送中止に。記憶に新しいところでは、2014年にディズニー・チャンネルで放送されたアメリカ版『ドラえもん』がありますが、キャラクター名や舞台設定を徹底的にアメリカナイズしたものの、残念ながら大きな成功を収めることはできませんでした。

まとめると、『ドラえもん』が南欧で絶大な人気を博したのは、経済的な背景やメディア戦略だけでなく、現地文化の「ダメな部分を持つキャラクター」に対する寛容さも関係しているようです。

逆に、ゲルマン語圏の国々では、勤勉さや自立心を重んじる価値観が、のび太の「ヘタレ属性」を受け入れがたくさせ、保護者が子供に見せるのをためらう一因となったのかもしれません。いずれにせよ、「欧米では人気がない」と一括りにするのは早計で、ヨーロッパにも『ドラえもん』を愛するファンがたくさんいることがよくわかる、興味深い考察でした!

via: togetter