イラストレーターは「好きな絵を描いて褒められて稼げる」夢の職業じゃない――人気絵師・深井涼介さんの“現実的なアドバイス”が胸に刺さると話題に

絵を描くのが好きで、将来はイラストレーターやキャラクターデザイナーといった仕事に就きたいと夢見る人も多いのではないでしょうか。

そんな中、人気イラストレーターの深井涼介さん(@fpworks)が自身のX(旧Twitter)に投稿した、「どうすればイラストレーターになれますか」という質問に対する長年の本音が、業界内外で大きな話題を呼んでいます。

深井涼介さんは、『ブルーアーカイブ』や『アズールレーン』、『仮面ライダーゼロワン』への参加をはじめ、にじさんじやあおぎり高校所属VTuberのキャラクターデザイン、さらには多くのフィギュアデザインも手掛けるなど、その多彩な活躍で多くのファンを魅了しています。

深井さんは、多くの人から寄せられる「どうすればイラストレーターになれますか」という質問に対し、「好きなものを描いて、褒められて、お金がもらえて、会社に行かなくていい」という夢のような仕事では決してないと断言。現実的な思考と多角的な能力が求められるプロフェッショナルな職業であると語ります。

深井さんが指摘するのは、多くの人が混同しがちな「絵を描くことを仕事にしたい」と「ただ絵を描いて褒められたい」という、全く異なる2つの道です。「もし後者であれば、SNSで人気はあっても業界での評価は低い、という状況に陥りがちです。一方で、絵で生計を立てるのであれば、クライアントとの折衝、厳しい締め切り、修正依頼への対応、そして円滑なコミュニケーション能力といった、数々の現実的な課題と向き合う必要があります」と説明しています。

投稿には多くの反響が寄せられ、「ペンタブがないと絵は始められない」という意見に対して、深井さんは「僕も形から入るタイプ」と共感を示しつつも、「大事なのは道具じゃなくて考え方。『道具がないと描けない』のか、『紙とペンでも創作を楽しめる』のか。この違いが、その後の道を大きく分けることになる」と、本質を突くコメントを返しています。

また、別のユーザーから寄せられた「急に『この穴埋めお願い、明日まで、1枚1000円で』みたいな無茶振りが来る」というイラストレーターあるあるには、「そういった状況は、コミュニケーション能力、交渉力、そしてセルフブランディングを含む発信力で回避できるんです。いわゆる『好きなものを描いてるだけで稼げるわけじゃない』っていうのは、そういう意味も含まれてるんですよね」と、プロとしての立ち回り方を解説しました。

このやり取りには、他のイラストレーターからも共感の声が殺到。「好きなものを描くだけじゃ食っていけない」「好きじゃないジャンルも描けないと、生活は厳しい」「会社に行かない=自由じゃない。自分で経営して、契約交渉して、入金催促して、確定申告もしなきゃいけない」「SNSのキラキラした姿に騙されないで。裏には血の滲むような努力と不安がある」など、リアルな声が多数寄せられました。

あるファンから「先生のオリジナルキャラクターは、ご自身の『好き』が詰まっていると思っていました」というコメントが寄せられると、深井さんは「たとえオリジナルの作品であっても、『どう発信すれば見てもらえるか』『どんなデザインが特定の層に刺さるか』『どう見せれば商品化に繋がるか』といったことを常に考えています。キャラクターをフィギュアにしてもらい、多くの人に見てもらい、好きになってもらうためには、すべてに戦略が必要なんです」と、創作の裏側にあるプロとしての思考を明かしました。

一方で、「自分は少し夢を見すぎていたかもしれません」と吐露する若いファンには、「夢は素晴らしいものです、ぜひ持ち続けてください!ただ、絵を描く技術だけでなく、自分がどの分野で活躍したいのか、どれくらい稼ぎたいのか、世の中にどう見られたいのかを考えてみると、創作の方向性が定まって、もっと楽しくなりますよ」と、温かいエールを送っています。

この一連のやり取りは、多くの業界関係者の共感を呼び、「好きなこと、褒められること、稼げること、そして会社に行かなくていいこと――この4つがすべて揃うことは、まずありえない」という、ある種の結論に集約されていきました。

深井涼介さんの今回の投稿は、イラストレーターという職業が、単なる自由でロマンチックな仕事ではなく、高度な専門性、戦略、交渉力、そして自己管理能力が求められる厳しい道のりであることを、改めて多くの人に示しました。好きなものを描けるのはもちろん幸せなことですが、それ以上に「絵を描くことで生きていく」ことこそが、本当の挑戦なのかもしれません。

via: togetter