「おじさん主人公」がアツい! 近年のアニメ・漫画におけるブームを考察 平凡な日常にこそ輝きが?

同名漫画を原作とするアニメ『野原ひろし 昼メシの流儀』が放送を開始し、そのミーム的な表現がネットで大きな話題を呼んでいます

ここ数年、漫画界では「おじさん主人公」ブームが巻き起こっています。これらの作品に共通しているのは、主人公がステレオタイプなイケメン青年ではなく、どこかお疲れ気味で、ちょっぴり老いを感じさせつつも、ひたむきに前を向いて生きる「大人」であるという点です。大手メディア「Real Sound」でもこの現象が取り上げられ、いくつかの作品が例として挙げられました。

「偽ひろし」などとイジられながらも人気爆発中の『野原ひろし 昼メシの流儀』に加えて、今シーズンも強力な「おじさん」作品が登場。『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』が、また違った切り口で注目を集めています。

本作は、40歳になっても「いつか仮面ライダーになる」という夢を追い続ける男、東島丹三郎の物語です。夢を諦めかけていた矢先、彼は偶然にも「ニセショッカー」による強盗事件に巻き込まれてしまいます。「仮面ライダーを愛しすぎるおじさんたち」をテーマにした本作では、丹三郎が若さゆえの勢いではなく、年齢を重ねたからこその経験と信念、そして大人の知恵で困難に立ち向かう姿が描かれます。その姿は、多くの読者の目に「年齢に縛られないヒーロー」として映っているのです。

また、今年4月から放送が開始されたライトノベル原作のアニメ『片田舎のおっさん、剣聖になる ~ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件~』(通称:片田舎のおっさん、剣聖になる)も、おじさん主人公が活躍する作品です。本作は、田舎の剣術師範が弟子たちを指導する中で再び情熱を取り戻していく物語が描かれます。

アニメの評価は賛否両論あるものの、ヨーロッパなど海外で熱い注目を集めており、失われたドイツ剣術の復興に取り組む専門家が監修に協力していることから、「剣術ガチ勢の福音」との呼び声も。多くのファンが「年をとっても、もう一度立ち上がれる」というその精神に心を打たれており、「渋いおじさんこそ至高」「弟子との関係性が尊い」といった声が上がっています。

数年前に大きな話題を呼んだ『異世界おじさん』も、コメディタッチで中年男性の新たな一面を描き出した作品です。17年間も異世界で過ごした主人公が現実世界に帰還し、「ゲーム実況者」としてデビュー。懐かしのセガネタを連発するかたわら、「ツンデレ」といった現代の流行語が分からない……。そんな「時代から取り残された中年オタク」というキャラクター像は、視聴者に笑いと郷愁を届け、「ネット時代のおじさんヒーロー」像を再定義しました。

これらの作品が描いているのは、派手な冒険活劇や壮大なバトルではなく、「ありふれた日常の中で、いかに自分だけの誇りを見つけるか」というテーマです。誰もがどこか疲れを感じている現代において、このテーマはより一層、象徴的な意味を持つのかもしれません。

かつてのような若くてカッコいい主人公よりも、こうした中年の、ルックスも決して完璧ではない主人公たちのほうが、かえって多くの人々の共感を呼ぶのかもしれませんね。


via: Real Sound