2025年11月22日、23日に中国・上海で開催されたゲームイベント「WePlay 2025」にて、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)でかつてワールドワイド・スタジオのトップを務めたゲーム業界の重鎮、吉田修平氏が登壇。『原神』で知られるmiHoYoの最新技術や戦略について言及し、中国の開発スタジオの成長スピードが我々の想像を遥かに超えていると語りました。

miHoYoが『原神』や『崩壊』シリーズ、そして最新作『ゼンレスゾーンゼロ』で巨大なプレイヤーコミュニティを形成していることについて、吉田氏は「既存タイトルのプレイヤー層は、すでにある程度重なっているはずです。だからこそ、彼らはこれまでとは違う方向へ進む必要があったのでしょう」と分析。miHoYoの新作が示すリアル志向のアートスタイルや、ゲームエンジンの変更、そしてハイエンドな制作体制は、これまでとは全く異なる野心を感じさせると指摘しました。
miHoYoがUnreal Engineを採用したことへの評価を問われると、「彼らがUnityを使わないのは初めてのこと。技術的な挑戦も含め、よりハイエンドで、長期的な未来を見据えていることがうかがえます」とコメント。これは単なるアートスタイルの変化だけでなく、会社全体の技術戦略や運営方針が次のステージに進んだことの表れだとの見方を示しました。
また、吉田氏は自身が関わる「China Hero Project」での経験を踏まえ、中国の大手スタジオの開発環境について、miHoYoから聞いたという実情を明かしました。

「miHoYoのような開発スタイルは、日本ではおそらく真似できないでしょう」と語り、その理由として法律や労働環境、そして仕事のペースの違いを挙げ、「大量の人員を投入し、かつ長時間開発に打ち込める。こうした点が中国のゲーム開発の強みになっている」と分析しました。
miHoYoだけでなく、中国の開発者全体に対しても高い評価を送っており、「中国のデベロッパーは『ビジネス意識』が非常に高い。特に『China Hero Project』に参加しているクリエイターたちは、ただゲームを作りたいというだけでなく、ゲームを一つの『事業』として捉えています」と述べました。
一方で、中国のインディーゲームの独創性もグローバルレベルに達しており、もはや国籍を見分けるのは困難だと指摘。「最近の作品は、パッと見ただけでは中国製か海外製か、まったく見分けがつきません」と語り、中国のインディー開発者たちは、クリエイティビティ、技術力、そして完成度の面で「すでに海外のクリエイターと“同じ土俵”に立っている」と強調しました。

中国の開発スピードについて、吉田氏は改めて「今の日本の開発体制では、このペースに追いつくのは非常に難しい」と、危機感をにじませました。もちろん、今後の業界がどう変化するかは誰にも予測できないとしつつも、少なくとも現時点では、中国のゲーム開発シーンの勢いは増す一方だと締めくくりました。
via: 4Gamer.net