このほど筑波大学とアサヒ飲料の研究チームが発表した論文『Sparkling water consumption mitigates cognitive fatigue during prolonged esports play』が話題を呼んでいます。研究結果によると、カフェインや糖分を含まない炭酸水を飲むことで、長時間eスポーツをプレイした際の認知疲労が軽減されるとのこと。まさか炭酸水にそんな効果があったとは…!

この論文は、国際的な学術雑誌『Computers in Human Behavior Reports Volume 21』にも掲載されています。

研究では、普段からゲームをプレイしている若者14名を対象に、サッカーゲーム(eFootball)を3時間連続でプレイしてもらう「クロスオーバー試験」(同じ被験者が異なる条件を体験する試験)を実施。実験中は4℃に冷やした普通の水、または炭酸水を飲んでもらい、疲労感、ゲームの楽しさ、認知機能(反応速度テスト)、瞳孔径、心拍数、血糖値、ストレスホルモンなどのデータが測定されました。

その結果、驚きの事実が判明しました。
普通の水を飲んだ場合、プレイ開始から2時間を超えると疲労感が顕著に増加し、反応も遅くなるという、明らかな「脳疲労」の状態が見られました。
しかし、炭酸水を飲んだ場合は疲労感の増加が明らかに抑制され、ゲームの「楽しさ」も高いレベルで維持。3時間プレイし続けても、反応速度や正答率の低下は見られず、全体的なパフォーマンスが良好に保たれたのです。

その鍵の一つが「瞳孔の大きさ」です。瞳孔は脳の覚醒度や前頭前野の活動を反映します。普通の水を飲んだ場合、疲労が蓄積するにつれて瞳孔は小さくなりますが、炭酸水を飲むとこの縮小が抑制され、脳がより覚醒した状態に保たれていることが示されました。また、心拍数や血糖値、ストレスホルモンには両グループで差がなかったことから、炭酸水は「覚醒作用」や「エネルギー補給」によって効果を発揮しているのではなく、脳の働きそのものを維持するのに役立っていると考えられます。

さらに興味深いのは、ゲーム内のパフォーマンスです。シュートやパスの回数に差はなかったものの、炭酸水を飲んだグループは「ファウルの回数が明らかに減少」しました。これは現実のスポーツと同じで、疲れてくると自制心が低下し、ラフプレーや反則を犯しやすくなります。脳疲労が軽減されることで衝動のコントロールが向上し、結果としてクリーンなプレイスタイルに繋がったと考えられます。

では、なぜ炭酸水にこのような効果があるのでしょうか? 研究チームは、炭酸ガスが口や喉の感覚受容器を刺激し、その信号が脳幹や前頭前野に影響を与えることで、覚醒度や実行機能が向上するためだと推測しています。簡単に言えば、無理やりテンションを上げるのではなく、脳を「呼び覚まして」安定した状態に保つ、ということのようです。
ゲームを長時間プレイしたいけど、コーヒーをがぶ飲みするのはちょっと…というゲーマーの皆さん。次のお供には、炭酸水を選んでみてはいかがでしょうか。
via: ScienceDirect itmedia