諫山創氏、『進撃の巨人』の結末に後悔を吐露 エレンへの過度な感情移入が「不誠実さ」に繋がったと告白。「あれは若さゆえの愚かさだった」

『進撃の巨人』の作者である諫山創氏が、作品の結末について、今なお悔いが残っていることを明かしました。主人公エレン・イェーガーを描く上で感情を込めすぎたあまり、物語が本来あるべき着地点から少しズレてしまったと感じているようです。

『進撃の巨人』は2009年から2021年にかけて連載され、2013年にはアニメ化。その壮大な世界観と複雑な人間ドラマで世界的な大ヒットを記録し、累計発行部数は1億4000万部を突破しています。物語の後半、人類を守る存在だったはずのエレンが、大規模な破壊活動を引き起こす側へと変貌を遂げる展開は、ファンの間でも長きにわたり熱い議論の的となってきました。

諫山氏は、故郷である大分県日田市で開催された『進撃の巨人』関連の展示で、パネル解説を通じてキャラクター創造の原点を振り返りました。氏いわく、「エレンは他の作品ではあまり見られない、大量虐殺を行った主人公になりました……被害者が加害者へと変わっていく物語を描きたかった」とのこと。さらに、この構想が若さゆえの発想だったと認め、「あれは20代の頃の未熟さや愚かさであり、それがエレンの性格の核になった」と語っています。

しかし、作品が社会現象となるにつれて、エレンは多くの読者にとって感情的な支えとなっていきました。諫山氏は「エレンは多くの人に愛されるキャラクターになってしまい、最終的に彼を完全な『悪』として描き切ることができなかった」と指摘。そして、「その結果、自分の中では、物語の結末にどこか不誠実さが残ってしまったように感じています」と、胸の内を明かしました。

多くのファンに愛された主人公を悪役に転じさせることは、読者の反発を招きやすく、作者にとっては感情と物語のバランスを取る難しい舵取りが求められます。諫山氏は、もし今改めて描くとしても、エレンは同じ結末を辿るかもしれないとしつつも、その描写においてはもっと感情を抑え、キャラクターが元々持っていた残酷な本質により忠実に描くだろう、と示唆しています。


via: Dexerto