「AIすげぇ!」と世界中で話題の生成AI。画像や動画、文章まで作れちゃう万能っぷりで利用シーンも急拡大中ですが、こと商業利用となると、なにかと物議を醸しがちです。
そんな中、化粧品やスキンケア用品でおなじみのウテナが、生成AIで制作した広告を公開したところ、「これって『美少女戦士セーラームーン』のパクリじゃね?」とネットで大炎上。事態を重く見た同社は5月6日に謝罪文を発表し、YouTubeの動画を非公開に。さらに交通広告もすべて取り下げる事態となりました。

今回、物議を醸したのは、ウテナのスキンケアブランド「ウテナ モイスチャー」のプロモーション企画「潤い戦士モイスチャー」。
4月末からJR山手線の28駅、5月からは大阪メトロ御堂筋線でも交通広告を展開。さらにYouTubeでは「全編を生成AIで制作した」という触れ込みのPR動画も公開されました。ところが、この動画が公開されると即座に、「キャラデザも構図も色使いも、どう見ても『美少女戦士セーラームーン』……」「完全にアウトでは?」といった声が殺到し、SNSで一気に燃え広がったのです。

PR動画はすでに非公開となっていますが、こちらがネットユーザーによってキャプチャされた画像。デザインが完全に一致しているわけではないものの、キャラクターの雰囲気には確かに既視感が……。

そもそも社名が90年代の名作アニメ『少女革命ウテナ』と同じだったこともあり、「ウテナがAIでセーラームーン風のキャラ作るとか、もう何が何だか」「公式コラボと勘違いするレベル」といったツッコミも飛び交うカオスな状況となっていました。


この炎上を受け、ウテナは公式サイトで声明を発表。「皆様から頂戴した多くのご意見を真摯に受け止め、今回のAIによる表現が、既存の創作物の持つ固有性や文化的背景への尊重、そして何よりも、その作品を愛するファンの方々のお気持ちへの配慮に欠けていた点を深く反省しております」と正式に謝罪しました。
広告の公開当初、ウテナは「AI技術によって、通常は半年以上かかるアニメ制作を『数時間から半日程度』に短縮できた」とそのスピード感をアピール。さらに、「特定の既存作品をAIに学習させた事実はなく、人の手による監修と類似性の確認も行っている」と説明していました。
しかし、今回の広告取り下げに際しては、事前に外部専門家による法的な確認は実施していたとしつつも、今後は改めて第三者の専門家から指導を受け、既存作品との類似性や法的な問題点を再検証するとのこと。再発防止策として、法令遵守だけでなく、視聴者の感情にも配慮した社内審査体制を再構築するとしています。

「AI活用」を大々的にアピールしたものの、結果的に有名作品との類似性を指摘され、炎上につながってしまった今回の騒動。企業によるAI活用そのものが悪いわけではありませんが、そのアウトプットが世の中にどう受け取られるか、より一層の慎重な判断が求められそうです。