『ハリー・ポッター』(Harry Potter)の原作者J.K.ローリング(J.K. Rowling)がこのほど、自身の公式サイトに長文を掲載し、トランスジェンダー権利運動に対する批判的な立場をあらためて表明した。殺害やレイプ、拷問をほのめかす脅迫を受けても、女性の権利をめぐる自身の考えは変わっていないと強調。さらに、21世紀のトランスジェンダー運動について「本質的にエリート主義だ」と主張した。
ローリングは記事の冒頭で、物議を醸した2020年のエッセイを振り返り、当時公に声を上げたのは、この運動が女性の権利だけでなく、すべての人の言論と信条の自由を脅かす可能性があると懸念したためだと説明した。

「私の考えは変わっていません。しかし、状況は明らかに変化しました。そして私自身も、この問題に理論だけでなく実際の行動として関わるようになりました。だから今こそ、近況を報告すべき時だと思ったのです」とつづった。議論を展開するだけでなく、法的支援や公益活動にも乗り出すようになったことから、あらためて自身の立場を説明したという。
ローリングは、一部のトランスジェンダー活動家について、男性が自らを女性だと宣言すれば、女性用更衣室の利用、女子スポーツへの参加、女性限定の仕事や賞への応募、さらには女性刑務所への収容まで、あらゆる場面で女性と同じ扱いを受けるべきだと主張していると批判した。
「女性が服を脱ぐ場所なら、彼もそこで服を脱げるべきだということになります。女性限定と明記された賞や仕事があれば、彼にも応募資格がある。スポーツ競技に出たいのなら、女子チームに入れなければならない」
「授乳支援グループやレイプ被害者の支援団体にも、彼を排除する権利はない。彼が女性を性的対象としているなら、レズビアンは彼を交際相手の候補に含めるべきだという。犯罪で有罪判決を受けた場合は、それがレイプであっても、女性刑務所に収容されるべきだというのです」
ローリングは、こうした主張が女性の権利と安全を軽視していると訴えた。一方で、自身に向けられている「反トランスジェンダー」というレッテルは否定し、トランスジェンダーの人々にも基本的人権が保障されるべきだと強調している。
「トランスジェンダーの人々が、住居や雇用で差別されるべきでしょうか? もちろん、そんなことはありません。人権を奪われたり、身の安全を保障されなかったりしてよいのでしょうか? これも当然、あってはなりません」。ローリングは、トランスジェンダーの中にも弱い立場に置かれ、支援を必要としている人がいると指摘。その一方で、女性専用の空間やサービスから、生物学的性別に基づく制限をすべて撤廃すべきだということにはならないとの考えを示した。
ローリングはまた、英国最高裁判所が2025年に下した判決にも言及した。この判決では、2010年平等法における「女性」という言葉は、生物学的性別に基づいて解釈されるとの判断が示された。ローリングは、一部の活動家が長年にわたって女性の権利を時代遅れの概念として扱い、女性たちに「代名詞を一つ間違えただけで懲戒処分を受けるかもしれない」と恐れさせる空気をつくり出したと批判。そうした圧力は今も消えていないと主張した。

さらにローリングは、トランスジェンダー運動と、歴史上の公民権運動、同性愛者の権利運動、女性運動を比較。後者は権力を持たない一般市民が草の根で立ち上がり、政府や巨大組織による差別に異議を唱えた運動だったと指摘した。一方で、現代のトランスジェンダー運動は正反対だという。
「21世紀のトランスジェンダー運動は、そうした運動とは完全に逆方向へ進んでいます。本質的にエリート主義の運動なのです」とローリングは述べた。
J.K.ローリング女性基金は、前述の訴訟を起こしたフェミニスト団体に資金援助を行っていた。ローリングは今後も、訴訟費用を負担できない女性たちへの法的支援を続けると表明。さらに、自身が暮らす地域のレイプ被害者が、女性による女性中心の支援サービスを受けられる環境も守っていくとしている。
via: J.K. Rowling