テイラー・スウィフトでもJ・K・ローリングでもない!憶測を呼んだ『ARGYLLE/アーガイル』謎の原作者、ついに正体が判明

(画像:ユニバーサル・ピクチャーズ)

メタフィクション的なストーリーが特徴の映画『ARGYLLE/アーガイル』は、製作当初から一つの謎に包まれていた。「エリー・コンウェイとは誰なのか?」ということだ。当初、公式は『ARGYLLE/アーガイル』が未発表の同名小説から着想を得たものであり、コンウェイはその本を執筆した新人作家だと発表していた。しかし、映画の撮影が終わり予告編が公開されると、ブライス・ダラス・ハワードが劇中で演じる主人公の名前も「エリー・コンウェイ」で、職業も同じく小説家であることが判明した。

映画の宣伝のため、公式はコンウェイのSNSアカウントまで開設したが、このアカウントにコンウェイ本人の写真が投稿されることはなく、ネット上をくまなく探しても彼女に関する情報は一切見つからなかった。こうした状況から、多くの映画ファンは「コンウェイは実在せず、映画会社が話題作りのために作り上げた架空の人物ではないか」、あるいは「実在はするが、正体を隠すためにペンネームを使っているのではないか」と推測し始めた。

(画像:Pinterest)

公開日が近づくにつれ、コンウェイに関する陰謀説はますます広まった。中でも有力視された説の一つが、J・K・ローリングがコンウェイの正体だというものだ。ローリングには過去に別名義で異なるジャンルの作品を発表した前例があるためだ。さらに熱狂的に支持されたのが、テイラー・スウィフトがコンウェイだという説。この説を信じる人々が挙げる根拠の一つは、テイラーがロサンゼルスにあるコンウェイ・レコーディング・スタジオを頻繁に利用しており、「コンウェイ」という名前はそこから取られたのではないか、というものだった。

マシュー・ヴォーン監督やキャスト陣も、最近のプロモーション活動で「コンウェイは誰なのか?」「実在するのか?」「テイラー・スウィフトなのか?」と頻繁に質問された。彼らは一貫してテイラー・スウィフト説を否定し、「コンウェイは実在するが、控えめな人物でインタビューを受けたくないだけだ」と強調していた。しかし、映画が正式に公開され、物語の結末が明らかになった今、公式はもはやコンウェイの正体を隠す必要はないと判断したようだ。そしてついに、コンウェイ本人が『デイリー・テレグラフ』紙の独占インタビューに応じ、初めてその素顔を明かした。

(画像:The Telegraph)

真相はこうだ。エリー・コンウェイは実在する。しかし、それはペンネームであり、その名前の裏には実は二人の人物が隠されていた。オーストラリアの作家テリー・ヘイズ(上写真)と、イギリスの作家タミー・コーエン(上写真)である。彼らは、映画会社が3年もの間、意図的に彼らの正体を隠していたことを認めた。コーエンは、この秘密を守るため、執筆に行き詰まっても同業者に相談できなかったと笑いながら語った。

ヘイズとヴォーン監督は、ヘイズの小説デビュー作『ピルグリム』(下写真)がきっかけで知り合った。ヴォーンは数年前に『ピルグリム』の映画化を望んでいたが、数年にわたる開発の末、製作権を持つMGMとの間でいくつかの合意に至らず、企画は頓挫してしまった。

その後、ヴォーンはオリジナルの物語である『ARGYLLE/アーガイル』の製作に乗り出し、ヘイズに映画のタイアップ小説、つまり劇中のコンウェイが書くであろう小説(劇中でコンウェイが執筆する『アーガイル』)を執筆してほしいと依頼した。しかし当時、ヘイズは自身の別の著作『The Year of the Locust』の執筆で多忙だったため、共同執筆者を探す必要があり、そこでコーエンに白羽の矢を立てたのだった。

(画像:Kobo)

「エリー・コンウェイ」名義で執筆された同名小説『アーガイル』は先月初めに正式に出版された。小説の主人公アーガイル(フルネーム:オーブリー・アーガイル)は、ロシアの悪役と戦うCIAエージェントで、ナチスによって解体・略奪された「琥珀の間」の行方を探す任務を負っている。

ヘイズによると、『ARGYLLE/アーガイル』の配給を手がけるAppleとユニバーサル・ピクチャーズも小説にいくつか助言を与えたという。彼らは『ARGYLLE/アーガイル』をシリーズ映画として展開したいと考えており、小説の内容がIPとして発展可能かどうかも検討していたからだ。

ヘイズは、ヴォーンが映画化を望んだ『ピルグリム』を含め、すでに2作のスパイものを執筆していたため、このジャンルには飽き飽きしていたと語る。しかし、『ARGYLLE/アーガイル』はよりユーモラスで風刺的なスタイルであり、異なるアプローチを試せることから、喜んで仕事を引き受けたという。

(画像:Bookazine)

ヘイズは、MGMが保有する『ピルグリム』の製作権が早く失効し、再びヴォーンに映画化を任せられることを望んでいる。「彼は私の作品の本質を理解してくれている。これまで映画業界のバカどもとたくさん仕事をしてきたよ――それも、超がつくほどの世紀の大バカとね。だから彼と仕事ができるのは、宝くじに当たったようなものだ」

ヘイズは現在、『ピルグリム』の続編『Cruel people, my children included, say to me, do you think you’ll finish it before you die?』を執筆中だが、『アーガイル』の続編執筆にも意欲的だ。「それは映画の興行成績次第だね。大ヒットしてくれれば、あと10冊は『アーガイル』を書けるよ」


via: The Telegraph