昨年3月、サウジアラビアのQiddiya投資会社が、世界で唯一となる『ドラゴンボール』のテーマパークを建設すると発表しました。公開されたコンセプトアートは、世界中の『ドラゴンボール』ファンを熱狂させました。
当時、多くのネットユーザーやファンからは、「なんでサウジアラビアなんだよ?日本に作るべきだろ!」といった困惑の声が上がっていました。日本の超人気ACG作品なのに、なぜテーマパークが日本にないのか、不思議に思うのも無理はありません。
そんな中、先日、経済ジャーナリストの谷頭和希氏が「日刊SPA!」に寄稿。なぜサウジアラビアが選ばれたのか、そして彼らの日本ACGへの熱意はどれほどのものなのかを考察した記事が、多くのネットユーザーの注目を集めています。

計画中の『ドラゴンボール』テーマパークは、2030年までの完成を目指しており、総面積は50万平方メートル超と、東京ディズニーランドとほぼ同じ規模になる予定です。園内では『ドラゴンボール』のクラシックな名シーンが再現され、7つのエリアに分かれて30以上のアトラクションが設置されるとのこと。そのうち5つは世界初の体験型ア施設になるというから胸熱!パークの目玉となる「神龍ジェットコースター」は、なんと高さ70メートルにも達するそうで、その規模と本気度がうかがえます。



谷頭和希氏は、日本人にとって最も気になるであろう「なぜサウジアラビアなのか?」という点について、以下の2つの理由を挙げています。
1. サウジアラビアにおける日本のアニメ・漫画への情熱が急上昇している。
2. サウジアラビア国家レベルでの開発プロジェクト推進。
近年、サウジアラビアの若者の間で、日本のアニメや漫画への関心は急速に高まっています。サウジアラビアのアニメ制作会社Manga Productionsのエッサム・ブカリーCEOによると、2022年のデータでは、サウジアラビアの若者3人に1人が日本のアニメを視聴しているとのこと。首都リヤドのブルバード・リヤド・シティで開催された「アニメタウン」イベントでは、来場したコスプレイヤーの8割が日本アニメのキャラクターを選んでいたそうです。
さらに、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相も大のアニメファン。ご自身が日本文化を愛好しており、現地で数々の巨大開発プロジェクトを主導しています。彼の個人的な興味が、関連プロジェクトの推進に影響を与えているのは明らかでしょう。



もちろん、サウジアラビアがこれほど大規模な開発を進められるのは、主に以下の3つの条件が揃っているからです。
- 広大な未開発の砂漠地帯。
- 豊富な石油収入に裏打ちされた潤沢な資金力。
- 皇太子の強力なリーダーシップ。
これらの巨大プロジェクトは、「サウジ・ビジョン2030」という国家戦略から生まれています。これは石油産業への依存度を下げ、経済の多角化を推進するためのもので、『ドラゴンボール』テーマパークも、その中核をなす「キディヤ・シティ」内に建設されます。この計画では、東京23区の約半分に相当する広大なエリアに、eスポーツ&ゲームゾーンやF1サーキットなどを整備し、観光需要の創出と雇用促進を目指しています。

谷頭和希氏は、日本の特徴は「ハード」は強くないが「ソフトパワー」が驚異的だと指摘しています。サウジアラビアの計画は野心的ですが、課題も抱えています。開発に伴う地元住民の強制移住といったネガティブなニュースや、資金調達の難航といった情報も流れています。「キディヤ・シティ」も同様の課題に直面する可能性があり、『ドラゴンボール』テーマパークの最終的な規模にも影響が出るかもしれません。
最後に、多くの人が「こんな素晴らしい計画、なぜ日本じゃないんだ!」と嘆くかもしれません。しかし、日本のエンタメ産業は、コンテンツ(ソフトパワー)を重視する傾向にあります。東京ディズニーランドやユニバーサル・スタジオ・ジャパンといった国際的なテーマパークも、海外から「ハード」を導入し、そこに日本独自のコンテンツやクリエイティブを融合させることで成功を収めてきました。この事例は、まさに日本の強みを反映していると言えるのではないでしょうか。
via: 日刊SPA!