藤本タツキ先生が手がける大人気コミック『チェンソーマン』。その初となる劇場版アニメ『チェンソーマン レゼ篇』が公開され大ヒットを記録し、再び作品が大きな注目を集めています。
物語の考察はもちろんのこと、現在X(旧Twitter)では、あるユーザーが投稿した映画鑑賞後の奥さんとの会話がきっかけで、「作者は女性なのでは?」という一風変わった議論が白熱。その理由は、あまりにも女性キャラクターの描写の“解像度”が高く、まるで女性自身の実体験から描かれているように感じられるからだとか。

話題のきっかけとなったのは、あるユーザーの投稿。劇場版『チェンソーマン レゼ篇』を鑑賞後、奥さんと作品の魅力を語り合っていたそうです。「世界観とか起きることはブッ飛んでるけど、思春期の男の子の感情の描き方がめちゃくちゃリアルだよね」と話したところ、奥さんから突然「この漫画の作者って男の人なの?」という、まさかの一言が。これには投稿者もかなり驚いた様子。

投稿者が「ずっと男目線で描かれてるのに、どこに女性っぽさを感じたの?」と聞き返すと、
奥さんはこう答えたそうです。「だって、男の人の欲望をうまく利用する“手練れ”な女性の描写がリアルすぎるんだもん。まるで実体験か、本人がそういう人じゃないと描けないレベル。マキマさんもレゼも、どっちもそう」。この鋭い指摘に、投稿者も思わず「なるほど!」と膝を打ったといいます。

この投稿は瞬く間に拡散され、多くのユーザーから共感の声が殺到。「私もずっと女性だと思ってた✋」「最近まで女性じゃないって知らなかった…」といったコメントに加え、「『ルックバック』を読んだ時、あの叙情的な雰囲気は完全に女性作家のものだと思った」「レゼの解像度の高さは異常。生身の人間の経験から描かれてるとしか思えないし、劇場版の主役にピッタリ」など、具体的な作品名を挙げて納得する声も多数寄せられています。

多くのコメントで指摘されているのは、『チェンソーマン』に登場する女性キャラクターたちの造形が非常にリアルで立体的であり、いわゆる少年漫画にありがちな「お色気担当」のキャラクターとは一線を画している点です。こうした繊細な心理描写や、『ルックバック』などで見られる抒情的な作風が、読者に「作者は女性に違いない」と無意識に思わせるのかもしれません。
また、あるユーザーからは「もちろん藤本タツキ先生が男性なのは知ってるけど、もし予備知識ゼロで作品だけを読んで作者像を想像したら、もっと面白いかもね」といった、興味深い意見も投稿されていました。

確かに、主人公デンジの行動原理は、いかにも男性作家が描いた思春期のソレ!と感じさせます。しかしその一方で、レゼやマキマといったキャラクターは、まるで女性視点から描かれたかのように、強かで、男性を手玉に取るしたたかさを持っています。この両極端なキャラクターを違和感なく描き分ける心理描写の巧みさこそ、藤本タツキ先生の真骨頂と言えるでしょう。



もちろん、ファンの皆さんは藤本タツキ先生が男性であることはご存知かと思います。しかし、もし全くの白紙の状態で作品に触れたなら、今回話題になったような感想を抱く人も少なくないはず。この男女双方の視点から共感を呼ぶリアルな人物描写こそが、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』が性別を問わず多くのファンを映画館に惹きつけている理由の一つなのかもしれませんね。
via: togetter