戦後日本を代表する俳優の仲代達矢さんが11日、92歳で亡くなりました。『影武者』や『人間の條件』といった数々の名作で知られ、舞台と映画の両方で活躍した、まさに日本映画黄金時代を象徴する巨星でした。

仲代さんは高校卒業後、俳優座養成所の第4期生として入所。卒業後は劇団の中核を担う俳優として活躍しました。その重厚なセリフ回しと圧倒的な存在感で、『ハムレット』、『オセロ』、『東海道四谷怪談』といった数々の舞台に出演。演出家・千田是也さんの下で演技を磨き、新劇のスターとしての地位を確立しました。
1954年、黒澤明監督の『七人の侍』で映画デビューを果たすと、小林正樹監督の『人間の條件』や『切腹』、『上意討ち-拝領妻始末-』で鬼気迫る演技を披露。さらに黒澤監督作品の『用心棒』、『椿三十郎』、『天国と地獄』などにも立て続けに出演し、三船敏郎さんと並び称される大スターへの階段を駆け上がりました。

1980年には、黒澤監督の『影武者』で急遽主演を務め、作品はカンヌ国際映画祭で最高賞のパルムドールを受賞。これにより、仲代さんの名は世界に轟くこととなりました。出演作はカンヌ、ヴェネツィア、ベルリンの三大映画祭で受賞歴があり、国際的な評価を不動のものに。また、テレビドラマ『大地の子』では、中国残留孤児の父親役を演じ、その繊細な演技で多くの視聴者の涙を誘いました。
生涯で数々の賞を受賞し、2015年には文化勲章を受章。自伝『遺し書き: 仲代達矢自伝』では、戦後日本を駆け抜けた巨匠の波乱万丈の人生が綴られています。