「生成AIによる声・容姿の無断利用」問題に法務省がメス! 緒方恵美さんも「やっとスタートラインに」と期待の声

テクノロジーの進化は凄まじく、昨今話題の「生成AI」は、イラストだけでなく音声学習の分野にも進出しています。特定の人物の声をAIに学習させることで、その人そっくりの声でコンテンツを生成できてしまうため、声の仕事をされている方々にとっては深刻な問題となっています。

この「生成AIが他人の声や容姿を無断で利用する」問題に対し、日本の法務省が本格的に対策へ乗り出しました。専門家による検討会を設置し、こうしたケースにおける民事上の責任について法的な論点を整理するとのことです。具体的な事例ごとに、著名人の肖像が持つ商業的価値である「パブリシティ権」や「肖像権」の侵害にあたるかどうかを明確にし、7月までをめどに実務上の指針をまとめる予定です。この動きに対し、声優の緒方恵美さんも政府の対応を歓迎し、業界の保護に繋がることへの期待を表明しています。

この検討会は4月24日に初会合を開き、今後5回程度の開催が予定されています。さまざまな具体例を基に、権利侵害の有無や損害賠償の考え方などを議論し、法的な判断基準を整理するとしています。これまで、著名人の氏名や肖像がもたらす商業的価値(いわゆる「パブリシティ権」)や、一般的な肖像権は、法律に明確な条文がなく、主に過去の判例によってルールが形成されてきました。

しかし、生成AIの急速な普及で新たな問題が浮上。特に「声が肖像権やパブリシティ権の保護対象に含まれるか」という点は、司法の判断が定まっておらず、大きな争点となっています。

また、「AIによる生成コンテンツで収益を得る」ケースについても重点的に議論される見込みです。例えば、特定の俳優の顔を使い、本人が演じているかのようなアクション動画を生成する、あるいは歌手の音声データから特定の楽曲を歌わせた音源を作成するといったケースが、分析の対象となります。


声優の緒方恵美さんは関連ニュースを引用し、「これまで粘り強く交渉して下さった関係各位、そして耳を傾けて下さった皆様に、心から感謝を」と投稿。「やっとスタートラインに立てた」と述べつつ、「私達だけでなく、ディープフェイクなど、誰もが被害者になりうる問題。今後の法整備を注視していきたい」と、今後の展開への思いを綴っています。

ただし法務省は、今回の取り組みが直ちに新たな立法を目指すものではなく、まずは現行法でどこまで対応できるかを整理し、実務上の判断の拠り所とすることを目指す、と説明しています。

いずれにせよ、日本政府が「AIによる顔や声の無断利用」というグレーゾーンに本格的にメスを入れる第一歩と言えそうです。まずはルールの整理から始め、将来的にはより明確な法整備につながることも期待されます。

via: 日本經濟新聞